表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/52

第三十九話 皇帝・月「城門のヒビ」





ピアスの男「くっそ! 何で警察が……」


繁華街のビルの隙間を走るピアスだらけの男。

後ろを水際たちが追う。


水際「待て!早乙女君!逃がさないで!」


早乙女「わかってますよ!」


スミ「はあ、はあ!」


遅れ気味のスミ。


ピアスの男「畜生が」


ピアスの男が走りながらカードを取り出す。


水際「カード!それから手を離しなさい!」


銃を構える。


ピアスの男「伸びろ!」


ピアスの男のカードが伸びて、細い棒に。

建物の間に置かれたゴミ収集所と、地面の角にそれを突き立てる。


スミ「う、うそ!?」


まるで棒高跳びのように飛び上がる。


ピアスの男「よっと!」


建物の屋上に着地。


水際「くそ!移動補助系カードか!」


スミ「はあ、はあ、あの人、もう、隣のビルに飛び移ってます」


早乙女「わかるのか?」


スミ「はい、カードの反応も薄くなってるから」


水際「ここで逃がしたくないわ。薬のバイヤーがカードを持ってるなんて好都合。押収しやすい優良物件なんだから」


早乙女「どうします?」


水際「黒瀬さんは早乙女君について行って、地上から奴を追いなさい。位置を常に把握しておいて」


スミ「水際さんは?」


水際「近隣に援護要請しながら別ルートで追うわ。アイツを地上に降ろしてはだめよ


スミ「はい」




早乙女と走るスミ。


早乙女「どこにいるか、わかるか?」


スミ「はい!今はこの上!あ、向こう側に移動しました!」


早乙女「次で曲がるぞ」




ビルの下を覗くピアスの男。


ピアスの男「くっそ、しつけーな……」


カー、カー。


ピアスの男「な!」


驚いて振り返る。


ピアスの男「……なんだよ、カラスか。ビビらせんなって」


カー、カー。


バサバサバサバサ!


沢山のカラスがビルの屋上に舞い降り、ピアスの男を囲む。


ピアスの男「……気色悪いな。隣の屋上へ移るか」


手に持った棒がぐーんと伸びる。

棒高跳びのように持って走り出す。


ピアスの男「1,2,3!」


屋上の壁の付け根に棒を当て、隣のビルへ棒高跳び。


カー、カー、カー!!


ピアスの男「なに!う、うわああ!!」


棒高跳びの途中にカラスの群れが飛び掛かる。

棒から手を離してしまう男。


ピアスの男「うわああああああああああ!」


ドシャ!!!


ビルの隙間を落下し、地面に叩きつけられる。


早乙女「今の叫び声、なんだ?」


スミ「カードの反応が、屋上じゃない……。地面に落としたのかも……」


早乙女「どのあたりか、感じ取れるか?」


スミ「このビルの向こう側」


早乙女「よし」




ピアスの男がビルの隙間の細い路地で倒れている。


ピアスの男「お、お……」


水際「大丈夫ー? 死ななくてよかったね。もう少し高さがあったら死んでたかもー」


ピアスの男「な、なにもんだ、てめえ」


水際「ただの刑事ー。でもあなたよりは、カードに詳しいかなー」


チェーンにぶら下る、黒く輝くメダルを見せつける。


ピアスの男「カードか、どうりで嫌な感じがしたんだ……。てめえが、さっきのカラスを……」


水際「はいはい。おしずかにー。とりあえず病院ね。あなたの罪状はあとでゆっくり聞くから」


早乙女「水際さん!」


水際「早乙女君。こいつを病院へ」


早乙女「は、はい」


スミ「はあ、はあ、どうなりましたか?」


倒れているピアスの男が目に入る。


スミ「ヒッ……」


水際「もう片が付いたわ。さあ、ここは早乙女君に任せて、何か食べて帰りましょ」


スミ「え……? ……はい」


水際がスミの視界を隠しながら近づいてくる。






警察署。

カード犯罪対策室。


市之瀬「よくやってくれたね。お手柄だ、黒瀬さん」


スミ「お手柄、ですか……?」


早乙女「ああ、黒瀬さんのおかげだよ、君の力があったから奴を追い詰められたのさ」


スミ「私、戦ってないし、あの人のいそうな場所を教えてただけ……」


市之瀬「それこそが君に求めていた働きだからね。文句のつけようのない働きだよ」


早乙女「そうそう。助かったよ」


スミ「ありがとうございます」


水際「うんうん。これからも期待してるよー。黒線さん」


スミ「……はい」


ガチャ。


扉が開く。

コート姿の幸土教授が顔をのぞかせる。


幸土「お邪魔しますよ」


スミ「こんにちは、教授」


幸土「ええ、お嬢さんも、こちらで上手くやられているようですね」


スミ「……まあ」


市之瀬「幸土教授。お待ちしておりましたよ」


幸土「どうも、折り入ってご相談がありましてね」


市之瀬「ええ、今日はどのような?」


幸土「カードの実態調査を進めているのですが、我々が持つカードの枚数にも限りがありましてね。どうでしょう、あなた方の押収したカード、私に預けてくださいませんか?」


市之瀬「それは……、私の一存では決めれない提案ですね」


幸土「どうです? 上に掛け合ってはくださいませんか?」


市之瀬「そうですねぇ……。カードは未だに謎だらけの代物だ。調査の申し出はありがたいのですが、こちらの取り扱いも厳重ですからね……」


水際「いい提案だと思いますけどねー」


市之瀬「こら、口を挟むな」


水際「私たちの仕事は、カードを悪用する犯罪の取り締まり、そして、カード自体の押収。しかし、実際はカードが何かもわからないまま、捜査に持ち出し、黒瀬さんのような所持者の協力を得ながらの、行き当たりばったりの運用。もう少し何かが判明して欲しいものですけどねー」


幸土「なるほど。水際さんも、カードの運用に慣れてこられたようですね」


水際「まーまーですかねー。持ち出し許可を得てからの一時所持ですけど」


市之瀬「一度上に掛け合ってみましょう。研究機関との協力は必須。幸土教授は既に我々と協力関係にあるのですから」


幸土「ええ、よろしくお願い致します。それでは」


出ていく幸土教授。


市之瀬「黒線さん」


スミ「はい」


市之瀬「どう思う? 幸土教授の申し出」


スミ「よく、わかりません……。ですが、あまり、カードを一カ所に集めるのは、良くないかもしれないって思います」


市之瀬「カードを集めたら、願いが叶う、だったかな」


スミ「はい」


市之瀬「参考にさせてもらうよ」


スミ「……はい」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ