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第三十六話 悪魔・塔「崩壊」





夜。

スミの家。


スミ「ただいま」


マユミ「お帰りなさい。遅かったのね」


スミ「うん……」


暗い顔で階段を上っていく。


マユミ「スミ? 御飯は?」


スミ「ごめん。今日はいいかな」


マユミ「えー!?」


スミ「明日の朝食べる」


マユミ「なによー、まったくも~」


制服を脱ぎ壁にかけて、

大きなTシャツ一枚を羽織る。


スミ「ふう……」


ドサっとベッドに寝転び、天井を眺める。


スミ「……あの男の子、泣いてたな……」


むくっと起き上がって、

壁にかかるジャケットのポケットに手を入れる。

一枚のカードを取り出す。


スミ「……カードは危険。持っていても危険を呼び込むだけ」


鏡のような冷たいカード。

写りこむスミの顔。


スミ「仕方なかったんだ。カードを集めて願いを叶えようなんて、危険なことなんだから」


男の子の泣き顔が思い出される。


スミ「あの子がおばあちゃんを治したいって言う願いと、私がアサコを目覚めさせたいと願うことは、まったく同じ。ただ、私はカードを持っていることを許された。正しいとかじゃない。許されただけ」


小さくため息。






夜中。

カードを片手に眠るスミ。


ギャリ、ギャリ、ギャリ……


スミ「ん……」


ギャリ、ギャリ、ギャリ、ギャリ、


スミ「なに……?」


ギャリ、ギャリ、ギャリ、ギャリ、ギャリ、


カーテンの向こうから異音がする。


スミ「なんの……、音?」


身体を起こす。


スミ「あ!?」


カードが輝いている。


スミ「カード使い!?」


ギャリギャリギャリ……、シーン。トスン。


スミ「お、お、オープン!」


スミのカードが金色の円盤に変わる。


ガラガラ……。


窓の開く音、カーテンが開く。

上下黒色の服、黒の帽子、黒のマスク。

手にはのこぎりのような物。


スミ「……、ど、泥棒、……ですか?」


黒服の男「……」


スミ「カードを、盗みに来たんですか……?」


黒服の男「……」


黒服の男が周りを見回す。

スミのジャケットに目を向ける。


スミ「あ、あの……」


黒服の男がジャケットに向かって歩いて行く。


スミ「ちょ、ちょっと……」


黒服の男がジャケットの上から質感を確かめるように触る。

ポケットの上から、固い感触を確認したのち、

手を入れようとする。


スミ「や、やめて!」


スミの手の金色の円盤が輝く。


バサッ。


ジャケットが壁から落ち、

男の手から離れる。


黒服の男「……」


ジャケットをしゃがんで拾い上げようとする男。


スミ「やめてよ!」


スミが男に走って、しゃがんだ男の顔を蹴り上げる。


ドン。


壁に背をつける男。


スミ「はあ、はあ、」


黒服の男「……」


黒服の男がゆっくりと立ち上がる。


スミ「……なに?」


黒服の男がのこぎりを構えてスミに近づく。


スミ「なんですか……」


男がのこぎりを振り上げる。


スミ「きゃあ!」


ガン!


振り下ろされた、のこぎりを金色の円盤で受け止める。

強い力で床に倒される。


ギリギリギリ


のこぎりが円盤を押し付ける。


スミ「う、ぐ!」


男「……」


ギャリギャリギャリ!


金色の円盤をのこぎりがなでる。


スミ「あ、ああああああああ!!?」


何も当たっていないのに、

スミのTシャツが横一直線に破れていく。

破れたTシャツの下にズタズタになる皮膚。


ギャリギャリギャリ


スミ「あ、ああ、あああああ!!!」


上半身の表面を横一直線に切られる。


スミ「た、助けてえええ!!」


ドタドタドタ!! バン!


マユミ「どうしたの!?」


扉を勢いよく開けるマユミ。


スミ「お、おかあ……」


目を大きく開くマユミ。


マユミ「何してんの、アンタ!!」


マユミが男を突き飛ばす。

ベッドに倒れる男。


マユミ「スミ!」


スミを抱き上げるマユミ。


マユミ「大丈夫!?」


スミ「お、お母さん!! 後ろ!!」


マユミの背後でのこぎりを振り上げる男。


スミ「うわあ!」


マユミを押して倒す。


ギャリ


スミ「ううううう!!!」


スミの背中をのこぎりがかすめる。

Tシャツに滲む血。


マユミ「スミ!」


スミ「ううう」


のこぎりを振りかぶる男。


スミ「う、うわあああ!」


スミが起き上がってタックル。

男が尻もちをついて、背中を壁につける。

床に落ちたスミのジャケットから散らばるカード。


スミ「はあ、はあ、」


男が立ち上がる。


スミ「もうやめて……」


男がのこぎりを振りかぶる。


スミ「もうやめて!!」


輝くスミの円盤。


ガシャン!


スミの部屋の電灯が落ちる。

驚いたように、ピクっと動きが止まる男。


スミ「はあ、はあ!」


スミが落ちているカードに手を伸ばす。


ドガッ


男がスミの顔を蹴る。


スミ「うぐ!」


転がるスミ。


マユミ「スミ!!」


スミ「はあ、はあ、」


スミ片方の手に円盤。

もう片方にはさっき拾ったカード。


スミ「出てけ……」


金色の円盤をカードに戻す。


スミ「出てけえええ!!」


拾ったカードが光って伸びる。


男「な!?」


伸びた光が男を突き飛ばす。


ドオオオン!!!


光りが勢いよく男を押して、壁を破壊し、突き抜けていく。


スミ「うあああ!!」


壁を突き抜けた光が太い円柱となり、丸太に変化。


スミ「はあ、はあ、」


ドシン!!


丸太がスミの手から落ち、床に叩きつけられる。

揺れる家。

カードに戻る丸太。


マユミ「な、なに……?」


壁に大きな穴が空いたスミの部屋。





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