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第二十八話 ワンドの5「混乱」





スミ「よっと」


夜。

大きな鍋を持って座敷に向かうスミ。


ミドリ「ガスコンロってどうやって使うんだ?」


スミ「あ、やるね」


コンロに鍋をセットして火をつける。


スミ「ヒロト君は?」


ミドリ「さっき出てった。もうすぐメシだって言ったのによ」


スミ「ふーん……」


秋穂「やった〜。今日はお鍋」


スミ「白菜と豚のミルフィーユ鍋です」


秋穂「うんうん。いいわね〜」


くつくつと煮え始める。


ミドリ「新藤のヤツどこ行っちまったんだ。煮えちまうぞ」


スミ「どこに行ったんだろ。ちょっと外、見てくるね」


ミドリ「おう、早くしないと食っちまうぞって言っといて」


スミ「あは。うん」







玄関を出て見回す。

遠目に黒い車が止まっているのが見えて、

ドキっとする。


スミ「……」


ヒロト「その格好じゃ寒いよ」


スミ「あ、ヒロト君。ご飯、もうすぐできるよ」


ヒロト「ああ……」


スミ「どうしたの?」


ヒロト「感じない? ずっと見られてる」


スミ「黒い車、警察だよね?」


ヒロト「それもだけどさ……」


スミ「……カード使い?」


ヒロト「ある程度の距離がありそう。なんか変な感覚」


スミ「……。遠くから見られてるのかも。それって様子見されてるってことだよね……。ねえ、ご飯食べちゃわない? 心配して待ってても、疲れるだけかも」


ヒロト「……わかった」


スミ「……」






座敷で鍋を囲む。

白い湯気。

スミがお椀にヨソって渡す。


スミ「はい、先生」


秋穂「ありがと〜。おいしそ〜」


ヒロト「相変わらず余裕だな。先生は」


ミドリ「青少年、なにつっかかってんだよ」


秋穂「警察の監視に交じって、カード所持者の監視の目も感じる……。そういうことでしょう?」


ミドリ「なに!? い、いや、待てよ。さすがに来ねえだろ。アタシら、あからさまに監視されてるんだし」


ヒロト「だといいけど、来たみたいじゃん」


ミドリ「え……、来たって?」


スミ「カード使い……」



ピンポーン。



秋穂「あら、誰か来たみたいね」


ヒロト「余裕ぶってんじゃねーよ。敵襲だ」


スミ「……どうしますか?」


秋穂「インターフォンを鳴らす礼儀のある人なのよ? 出てあげたら?」


ミドリ「え!?」


ヒロト「それ、マジでいってる?」


秋穂「当然よ。ほら、黒瀬さん、行ってきて」


スミ「で、でも……」


秋穂「仕方ないわね。新藤君、西野さん、一緒に行ってあげなさい」


3人が顔を見合わせる。


スミ「わ、わかりました」


ヒロト「……」




廊下をスミを先頭に歩く。


スミ「……なんで、先生はこんな無茶を」


ヒロト「カードは持ってるよね?」


スミ「うん」


ミドリ「どうする? 下手すりゃ玄関ぶっ壊れるぞ」


ヒロト「勘弁してよ」




玄関。

扉の向こうに人影。


スミ「どうしよう……」


ヒロト「俺が開ける」


スミ「うん……」


ヒロトが前に出る。

サンダルをつっかけ、扉を開ける。


スミ「……え!?」


ナオ「こんばんは」


ミドリ「し、白川ナオ!? どうしたんだよ、こんな夜中に」


ナオ「あ、あの……、ちょっといいかな?」


ヒロト「何しに来たの?」


スミ「ま、まあ、ヒロト君。ナオちゃん、と、とりあえず入ったら? 外は寒いし、ね?」


ナオ「……」


ヒロト「ここに来た目的は?」


ミドリ「し、新藤、中に入ってからでいいだろ?」


ヒロト「おかしいだろ、あんた俺んちの場所とか、話した覚えもない。この家に俺らがいるってわかって来たなんておかしくね?」


スミ「や、やめてよ、ヒロト君……。ナオちゃんも同盟の一員でしょ? どうしてそんな言い方……」


ナオ「カ、カード」


ヒロト「カード?」


ナオ「あんた達のカード、回収しろって言われてるのよ」


ミドリ「なっ!?」


ナオ「そうしなきゃ、あいつら、容赦なくアンタたちを襲うって!」


ミドリ「な、なに!?」


スミ「……どういう、こと?」


ナオ「カードを渡せば、見逃すって言ってる」


ヒロト「……誰が?」


ナオ「それは言えない」


ヒロト「そんな訳の分からない話をして、俺らが信じると思う?」


ナオ「私は、あんた達を心配して言ってるの!!!」


ナオがヒロトを睨む。


スミ「ナオちゃん……、どうしちゃったの……?」


ミドリ「な、なあ……、落ち着けよ、白川ナオも、新藤もさ。話が見えねぇよ」


ナオ「聞いて。私はとある人達に監視されてる。あいつら手段を選ばないんだ。あんた達も巻きこまれそうなの!」


ヒロト「なあ、白川先輩」


ナオ「なによ……?」


ヒロト「アイツも白川先輩の仲間?」


ナオ「え……」


ナオが振り返る。

庭の向こうに見える門。

黒いコートの男。


コートの男「やあやあ、こんばんは、お嬢さんたち。少年は久しぶりだね。覚えているかな?」


ヒロト「人覚えは悪いほうなんだけど、残念だけど覚えてたね」


スミ「……誰?」


ミドリ「……カード使いだろ」


ヒロト「あんたが、白川先輩の言ってる、アイツラって奴の一人?」


コートの男「どうでしょうねぇ……。私はただ、協力者からの情報で訪ねてきたに過ぎません。ここにカードが多数集まっているとね」


ナオ「協力者……。まさか、あの女……」


コートの男「どうでしょう? 私も手荒なことはしたくないし、取引をしませんか?」


スミ「取引……?」


コートの男「決闘です。私もお嬢様がたを傷つけるのは苦手でしてね。少年と、私で決闘しましょう。私が勝てば、お嬢様がたは私に全てのカードを渡す。それでどうです?」


ヒロト「俺はいんだけどさ。どうしよっか……、なあ、西野先輩」


ミドリ「そんな提案……、飲むわきゃねーだろ!」


ミドリがカードを包丁に変化させる。

包丁をコートの男に向ける。

宙に浮かぶ包丁が、ミドリの周りに複数現れ、

コートの男に向かって飛ぶ。


コートの男「ほう」


男がカードを取り出す。

黒い紐に繋がれてぶら下る。

鈍く光を反射する、丸く、黒い金属に変化。


コートの男「どうぞこちらへ」


宙を舞う包丁の群れが黒い金属に引き寄せられる。


ガシガシガシ!


黒い金属に張り付く包丁たち。

重なるように張り付いて、光になって消える。


ミドリ「引き寄せ……、やがったな」


コートの男「引力とでもいう物です」


ヒロト「あっそ」


ヒロトが細い剣で回転切り。

突風が男を弾き飛ばす。

しかし、黒い金属がヒロトの剣を引き寄せる。

男とヒロトが引き合うようにして、その場にとどまる。


コートの男「ホントに君は狂犬だ」


ヒロト「なにそれ」


コートの男「牙は抜かなければ」


ヒロトの剣が男の黒い金属へ引き寄せられる。


ヒロト「くそが」


細い剣をカードに戻す。

引き寄せられる力が止まる。


ヒロト「カードなら引き寄せることが出来ない。そういうことか」


コートの男「素早い分析ですね。では」


コートの男の新たなカード。

壺のように変化。


ヒロト「ちっ……」


コートの男「まとめて相手してあげましょう」


スミ「……帰っては、くれませんか?」


ナオ「無理でしょ……。こいつ、やる気ありすぎ……」


スミとナオもカードを取り出して構える。


ミドリ「ここに居る全員と、お前ひとりでやる気かよ?」


コートの男「ええ、構いませんよ」


男の持つ壺から大量の蛇が飛び出す。


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