第二十七話 ソードの8「封鎖」
放課後。
保健室に向かう。
スミ「ナオちゃん、この学校のカード所持者はナオちゃんを入れて、5人いる」
ナオ「知ってるわ。男子が一人、教師が一人でしょ」
ミドリ「あの戦闘の中で、よく覚えてるな」
ナオ「……当然でしょ。まあ、素性は良く知らないけど」
スミ「今から、会いにいく。保健室に……」
ナオ「まさか、保健室の先生がカード所持者?」
スミ「そう。信用できる人に間違いはないんだけど……。ナオちゃん一人で会わせたくない」
ナオ「……もしかして、私を絞め殺そうとした、植物のカード使い?」
スミ「そう……。できれば会ってほしくない。でも、この学校の中で、秋穂先生の目から逃れることはできないから」
ナオ「やばいんだ……。その先生」
ミドリ「やばいっていうより、覚悟が違うっていうか……、そんな感じ」
ナオ「……もう一人の男子は?」
ミドリ「そいつも気をつけた方がいい。戦い慣れしてる感じだしよ」
スミ「ヒロト君はいい子だよ。不愛想なだけ」
ミドリ「さあ、どうだか」
保健室。
コンコン。
スミ「失礼します」
秋穂が振り向く。
ニタニタと笑っている。
ゾッとするナオ。
秋穂「まってたよ~。放課後まで紹介しないなんて、ほんとに意地悪なんだから~」
スミ「すいません。驚かせたくなくて、放課後なら落ち着いて話もできるかと思って」
ミドリ「あの、悪い奴じゃないから、こいつ……、白川ナオはさ」
秋穂「へえ~、白川さんっていうんだ」
ナオの頬がひきつる。
ナオ「白川……、ナオです。2年、2組」
秋穂「強いわね、あなたのカード」
ビクっとするナオの肩。
スミ「せ、先生! 彼女は転校初日なので、一人で不安だと思います。この学校でカードを持つのは私達だけです。彼女も同盟に入れてください」
ナオ「ど、同盟!?」
ミドリ「秋穂先生、アタシらはコイツのカードを奪おうとは思ってない。だから、いいだろ?」
ナオ「な、何の話?」
秋穂「白川さん」
ナオ「は、はい」
秋穂「あなた、カードは集めていないの?」
ナオ「集めて……、いる訳じゃありません」
秋穂「なら、願いごとをしているわけじゃないのね?」
ナオ「……えっと、まあ……」
秋穂「あなたのカード、私達にくれないかしら」
ナオ「え……」
秋穂「それで、この争奪戦から降りちゃいなさい。その方があなたも、あなたの家族も安心よ」
ナオ「……」
ミドリ「ま、まあ、願い事がないなら、それが一番安全だよな。どう思う? 白川ナオ」
スミ「ナオちゃん……」
ナオ「あ、あの……、先生」
秋穂「なに? 白川さん」
ナオ「先生は、私の家族の安全を、保障してくれますか?」
秋穂「……どういう意味かしら?」
ナオ「私がカードを手放した後も、家族が無事でいるって、保証してくれますか?」
ミドリ「白川……」
秋穂をじっと見つめるナオ。
拳は固く握られている。
スミ「ナオちゃん……」
秋穂「出来ないわ。私にそんな力はない。悪いわね」
ナオ「……。なら、カードは渡せません」
スミ「……」
秋穂「そう、いいわ。なら、あなたと私たちはカードを共に集める仲間。そういうことにしない?」
ナオ「……」
秋穂「それとも、ここで奪われてみる? あなたのカード」
ナオがビクっとする。
ポケットに手を入れて身構える。
スミ「先生、怖がらせるのはやめてください」
秋穂「う、うふふ、ごめんごめん。今のは冗談よ」
ミドリ「冗談……、だよな」
秋穂「こんなところで戦闘なんてなったら大変だもの」
ナオ「……」
秋穂「安心しなさい、もう怖がらせたりしないわ。私は養護教諭の秋穂。よろしくね、白川ナオさん」
ナオ「よろしく、おねがいします」
保健室の扉が開く。
スミ「あ、ヒロト君。紹介するね、今日転校してきた、」
ヒロト「なんで転校してきたの?」
スミ「あ、えっと、それは」
ナオ「……あなたに説明する必要、ある?」
ヒロト「別に。興味本位」
ナオが怪訝そうに、ヒロトを睨む。
ミドリ「おい、女子の先輩に突っかかるなよ、青少年」
ヒロト「悪かったって」
スミ「あ、あの、こちら白川ナオちゃん。私達と同じクラス。ナオちゃん、こちら、新藤ヒロト君」
ヒロト「どうも」
ナオ「……ええ」
ミドリ「……仲良くしてくれよ。頼むから」
スミ「あはは……」
秋穂「はいはい、自己紹介はそこまでにして、今後の方針について話し合いをしましょうか」
ナオ「今後の方針?」
秋穂「ええ、私達は警察に監視されてるのね。だから、カードを集めに行けないってわけ」
ナオ「なら、目立つようなことはやめたら? 目をつけられてるんでしょ」
秋穂「まあね。でも、私達を襲ってくる人間もいるかもしれないから。そこで派手に戦っていたら、どっちみち目立つんじゃないしら」
スミ「私は……、しばらくカード集めは反対です。捕まりたくないし……」
ミドリ「アタシも……。悔しいけど、親や、おばさんに迷惑かけらんないしよ……」
秋穂「あらら……。新藤君も同じ気持ちかしら?」
ヒロト「聞くなよ。先輩達がそう言ってるじゃん」
秋穂「わかりました~。カード集めは止めにして、大人しくしてます~」
スミ「良かった……」
秋穂「まあ、でも、新人さんも来たんだし、定期的にここでミーティングを開きましょ。私達は夜でも会えるけど、白川さんと情報共有もしたいしね」
ミドリ「わかった」
ナオ「あなた達は、夜も会えるって、どういうこと?」
スミ「あ、私達、一緒に住んでるから?」
ナオ「え?」
スミ「だって……、家に居て襲われたら、家族に迷惑がかかるし……。固まっていたほうがいいじゃない?」
ナオ「ふーん……」
秋穂「ま、じゃあ、今日はこの辺にしときましょ。よろしくね~、白川さん」
ミドリ「よろしくー」
スミ「よろしくね」
ナオ「え、ええ……」
警察署。
カード犯罪特別捜査室。
刑事達が詰めている。
部屋の隅に座るナオ。
水際「はーい。水際セナ、ただいま戻りましたー」
刑事達「おつかれー」
ナオ「……」
水際「白川さん、どうだったー? 転校初日」
ナオ「むちゃくちゃよ。これも全部、あんたのせい」
睨むナオ。
水際「こわーい。そんなに怒らないでよー。ところで、カード所持者どうしで接触したんでしょ? どうだった?」
ナオ「どうもこうない。でも、黒瀬スミも、西野ミドリも、悪いヤツではないわ。あとの二人は、まだわからない」
水際「いいねいいね。友達が増えてよかったねー」
ナオ「ふざけんな。このサイコが」
水際「ひどいー。私、泣いちゃう」
ナオ「でも、あいつら、しばらくカードを集めないと言ってたし、大人しくしているんじゃない」
水際「そんなの許さないわ」
ナオ「え?」
水際「必ずあぶりだす。大人しく休憩なんて、許すわけないじゃない」
ナオ「……どういうことよ」
水際「だって、私たちも暇じゃないし~。いつまでも待ってられないから~」
ナオ「……」
ニタニタと笑う水際。
その様子を他の刑事達も見ている。




