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第二十三話 ソードの3「後悔」

挿絵(By みてみん)




ボウッ!

バキッ! バキッ!


燃え盛る雑木林。


スミ「……出てきた」


周りにポツポツと見える民家。

玄関に明かりがつき、

人が出てくるのが見える


住民「火事! 火事だって!」


住民「なんで? だれか焚火でもしてたのか?」


遠い周りの民家の話声が聞こえる。

目的の民家からも、数人が出てくるのが見える。


スミ「……出てきた。あの中に、所持者が……、どれ……?」


注視する。

遠目ではっきりとは見えない。

所持者と思われる家から出てきたのは、4人。

両親と思われる人、2人。

その後ろに、中高生と思われる人が、2人。

なんとなく中高生の二人の内、

どちらかがカードを持っているのではないかと感じる。


スミ「……子供のうち、どちらかがカードを持ってるはず……、お願い、カードだけを狙って……、先生……」


じっと4人の動きを見つめる。

すると、中高生の内一人が、突然倒れる。


男の子「む、むうう!!」


女の子「レオ!」


男の子「むう!むう!」


ツタで口をふさがれているのか、

何を喋っているかわからない。


母「な、どうしたの!? レオ」


男の子「むううう!」


父「レオ!」


女の子「離れて!」


中高生と思しき女の子が、ポケットからカードを取り出す。

光るカード。

ぐにゃりと形を変えたかと思えば、

ドレスのように広がって女の子を包む。

金色に眩く輝くローブのように変化。


女の子「レオを離せええ!」


レオという男の子に絡みつくツタを掴んで、

勢いよくちぎる。


母「な、ナオ?」


レオ「あ、ありがとう、ナオ姉ちゃん」


父「ナオ、なんだ、それは!?」


ナオ「お母さん、お父さん、ごめん。説明は後でするから、家の中に入ってて。行くよ、レオ」


レオ「うん」


レオもポケットからカードを取り出す。

変化して、槍のような武器に変わる。


母「ナ、ナオ! レオ!!」


ナオとレオが、燃える雑木林に走って近づく。

激しく揺れる、ナオのカールがかった茶髪。

風のように猛スピードで畑の中を走り抜けていく。


スミ「……作戦失敗だ。逃げなきゃ……」


額に汗が垂れる。

カードを変化させる。

ハサミに変化。

土手に隠れ、姿勢を低くして、車のある場所に向かう。


ナオ「そこだああ、化物おおお!!」


ナオが遠くから、土手に向かって拳を向ける。

衝撃波のような物が、畑の土をなぎ倒しながら土手に向かう。


バァアアアン!!


衝撃波が土手の土を巻き上げる。


スミ「うわああ!」


舞い上がる土に巻き込まれながら、畑の中に吹き飛ばされる。


スミ「うっ、ごほ、げほっ!」


ナオ「な、じょ、女子……!?」


レオ「ネーチャン、コイツら一人じゃない!」


ナオ「わ、わかってる!」


遠くから、畑の中をミドリが走ってくる。


ミドリ「やめろおお!」


ミドリは手にした包丁をナオに向ける。

周囲に何本もの包丁が浮かび上がり、

宙を舞って、ナオに飛んでいく。


ナオ「化物が!」


ナオが両手を大きく広げたと思いきや、

身体の前で勢いよく手を叩く。


パンッ!


衝撃波がナオの前方に大きく広がり、

畑の土と共に、包丁の群れを吹き飛ばす。


ミドリ「なに!?」


ナオ「私の家は、私が守るんだああ!」


拳をミドリに向けて突き出す。

衝撃波が飛び、ミドリを弾き飛ばす。


ミドリ「がはっ!?」


畑の中に転がるミドリ。


ミドリ「ぐ、ぐっそ……、なんだ、あのカード……」


ナオ「カードに呪われた、犯罪者がああ!!」


ナオがミドリに飛び掛かる。

常人とは思えないジャンプ力。


ナオ「うりゃああ!」


空中で正拳突きを放つ。


ミドリ「ぐううううう!」


激しく撒き上がる土煙。

ミドリの周囲がクレーターのように凹む。


ミドリ「が、がはっ、がはっ」


ミドリの目前にナオが着地。


ナオ「わかった!? 私達の家に手を出したらどうなるか!」


スミ「西野さんから、はなれて!!」


長い丸太を垂直に構えるスミ。


ナオ「なによ……、それ……」


スミ「私たちは引きます! だから、あなた達も帰って!」


汗びっしょりの顔で、ナオを見つめる。


ナオ「嘘つき」


スミ「え?」


ナオ「いつもそう。そう言って、隙を見せたら、あんた達は私を襲ってくるじゃん!!」


スミに向かってナオが突進。


スミ「と、止まって!!」


ナオ「お前らなんかにいい!!」


スミ「う、うわああ!」


電柱のような丸太を振り下ろす。


ドシン!!


ナオが腕をクロスして丸太を受け止める。


スミ「え、ええ!?」


ナオ「家族が! 巻き込まれて! たまるかってえええ!!!」


丸太を跳ね除け、

拳をスミに向けて突き出す。


ドウッ!!!


スミ「がっ……」


衝撃波で、後ろに数メートル弾き飛ばされる。

ごろごろと土の上を転がる。


スミ「はあ……、はあ……」


顔を何とか上げる。


スミ「おっ……。お願い、やめて……」


ナオ「あんたたちが……、攻めて来たんだろぉがああ!!」


倒れるスミに向かって、猛スピードで走り出す。


レオ「姉ちゃん! 左だ!」


ナオが左を向く。


ガルルルル!!


大きな犬がナオに飛び掛かる。


ナオ「きゃっ!! こ、この!」


犬に地面に押し付けられる。


ヒロト「もう、終わりにしない?」


三日月型のペンダントを掲げながら、近づいてくるヒロト。


ヒロト「目撃者が多すぎる。俺らも、これ以上騒ぎにしたくない。ここでお互い、休戦にしてよ」


ヒロトが、周りの民家から遠目に覗く住民たちを見まわす。


ナオ「ふざ、けんな!!」


ナオが犬の顔を殴りつける。


ギャン!!


吹き飛んだ大きな犬が地面に倒れ、

光りになって消える。


ヒロト「ちっ」


レオ「ねえちゃんに、手を出すな!!」


槍を構えてヒロトに突進。

ヒロトは新たなカードを取り出し、細い剣に。


ギギン!


槍を受け流す。


レオ「こいつ!」


ヒロト「俺たちは撤退したいんだ。どうしたら、許してくれる?」


ナオ「なら、武器を捨てなさい! そしたら見逃してあげる!」


ヒロト「そう、いいけど、お前らも武器を捨てろよ」


ナオ「はあ!? そしたら、お前たちがまた襲ってくるだろ!」


ヒロト「俺らもそう思ってんだけど。片方だけってフェアじゃないだろ」


ナオ「あっそう。だったら、この取引はなし。私があんた達を、ぶっ飛ばせば終わる話よ!!」


ヒロト「……めんどくせ」


ヒロトが細い剣で槍を弾く。

そのまま一回転して、回転切りのように剣を振る。

すさまじい風が吹き、レオを吹き飛ばす。


レオ「うわあ!」


ナオ「レオ! よくもやったな!!」


ナオがヒロトに走り寄る。


ナオ「あっ!」


しかし、その途中で勢いよく倒れる。


ナオ「痛っ……、なに?」


足元を見る。

何重にも足に絡みつく、植物のツタ。

青ざめる。


ナオ「しまっ!!」


見る見るうちに全身にツタが絡まり、

磔にされたみたいに十字の姿勢で、

ツタに身体を持ち上げられる。


レオ「姉ちゃん!」


ナオ「ぐ、こ、こんなもの!!」


身体を動かそうとするが、

何重にもツタが絡まり、動かない。


ナオ「う、ぐぐぐ!」


レオ「化物! 姉ちゃんを離せ!」


地面からナオを持ち上げているツタの束を、

槍で切る。

しかし、それ以上の数のツタがナオに絡みつく。


ナオ「う、うう……」


ツタが首元に絡みつく。


ナオ「がっ!? がっ、が……」


ナオの首がツタで締め付けられていく。


スミ「せ、先生……、やめて……」


母「ナオー!!」


畑の中を真っ直ぐ走ってくる、ナオ達の母。


ナオ「に、逃げ……、おか、……」


首を締め続けるツタ。


スミ「お願い……、やめて……」


ナオ「ぐ……、が……」


スミの目に写る、口から泡を吹くナオ。


スミ「やめてえええ!! せんせえぇええ!!!」



ゥゥゥゥゥウウウウウウウ!!!


パトカーのサイレン。

それも複数台に聞こえる。

回転灯の赤い光が、けたたましく山の木々を照らす。


ミドリ「け……、けいさつ!?」


ツタの締め付けがピタっと止まる。


スミ「い、今……、みんな! 撤退します!!」


秋穂のスポーツカーの方向へ走る。

走りながら振り返る。

ツタが緩み、地面に落ちるナオ。

駆け寄るレオと母。


スミ「ごめんなさい……、ごめんなさい……!」


目じりの端に涙を浮かべながら、

泥で汚れた足で走る。




水際が、木々の間から、双眼鏡でその様子を見守る。

耳にはスマホ。


水際「逃げた。黒いスポーツカー。そうです。あー、でも容疑者はまだ泳がせたいんですよねー。はい、所有者は掴んでいますから。はい、お願いします」


スマホを切る。


水際「カード所持者同士の戦闘、そして、新藤ヒロトの使った炎の凶器……。少し前まで連続していた放火事件……。これって、偶然? カード……、あれっていったい、なんなの……?」


双眼鏡を降ろす。

黒いスポーツカーを遠目に追う。





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