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新たなる光明

 自由戦士Nダムガンという作品に出てくる、巨大人型兵器。月からエネルギーをマイクウェーブによって地球上に照射し、そのエネルギーを背面に装備された翼のような板で吸収。巨大な砲門より、絶大な威力を誇るビームを放つという。

 月からのエネルギー供給ではなく、宗一さんから供給されているところといった細かな違いはあれど、かなり似ているところがある。

 ちなみにNはノーマルダムガンで、DXはデラックスダムガンが正式名称らしい。

「ふむふむ。ちなみにだけど、その話をマヤ君と今までにしたことは?」

「あるにはありますが、DXダムガンについて言ってはいないですね」

 宗一さんがこの世界に持ち込んだ娯楽作品は、私も翻訳作業に携わっていることもあり、宗一さんの世界の娯楽作品についてそれなりに知っていたりする。そのため自由戦士ダムガン自体は知っていたけれど、詳しい話は分かっていなかった。

「ふむ……なかなか興味深いね」

 私が知らないことをイメージしたような状況になっていること、そしてライフルの燃費の悪さ。私が思いつく限り、この二つが異常といえた。特に私としては、私だけで撃つことがかなわなかったことが、非常に気になるところではあった。

「まぁ今はとりあえず無事を祝おう。すぐに帰ってきてくれたまえ」

 一難が去ったとはいえ、また新たな敵が来ないとも限らない。まだ救援部隊が招集できていない以上、現場検証することも大事だが、それ以上に物を持ち帰ることを優先したほうがいいだろう。私たちはできる限りの地形データ等を収集し、基地へと帰投することとなった。

 そしてその道のりとして……行きとは違う事をすることとなった。




「大丈夫ですか?」

「はい……何とか」

 ワイヤーで固定されたコンテナを私のフライトアーマーでつり上げ、基地まで飛んでいる状況。そんな中で、私の真下……コンテナの屋根部分に、パワーアップしたアクティブスーツを着て周囲の警戒をしている、真矢さんがいた。

 装備が変わったため、帰投するまで多少でも良いからデータを取ってきて欲しいと、ダヴィさんに依頼されてこの形となった。コンテナの上部ハッチを少し開けて、中から担架アームを無理矢理伸ばし、真矢さんの足部分を固定している。

 少々不安だが、他には命綱としてロープを身に着けている上に、パラシュートも装備した。最悪の場合でも落ちることはないだろう。

 コンテナの上にいるこの状況でも、私のオーラファンネルでエネルギー供給が可能なのはすでに確認している。私のアームキャノンと同等の威力を持つマテリアルライフルと化した真矢さんの狙撃銃であれば、私よりも長距離且つ正確に強力な射撃を行うことができる。剣等を用いた近接戦闘であれば負ける気はしないが、射撃において私は真矢さんに逆立ちしたって、勝てるわけもない。

(というか、マジでこの人、私よりもおかしい人でしょ)

 先ほどの飛行型の新種に対する戦闘。音速を超える速度で移動する存在に対して、弱点と思しき所にピンポイントで狙撃する。しかもオーラスーツではないので、思考加速の恩恵等をほとんど受けずにだ。さらに言えば一発だけでなく、何発も当てていた。恐ろしい射撃能力だ。

 そんなことを思いつつ、私も警戒をしつつ帰路へとついていた。璃兜さんはやれることもないのと、もっとも疲労している人なので、少し休憩してもらっていた。といってもレーダーなんかは見てないといけないし、最悪オーラスーツに緊急で搭乗しなければならないこともありえるので、気休め程度の休憩だが。

 オーラスーツもアクティブスーツも、水上で戦うことはできないし、水中戦などもってのほかだ。現在順調に海の上を飛行出来ているが、正直なところを言えば気が休まるわけがなかった。特に飛行型の新種が確認されたばかりだ。いろいろ思うところもあるだろう。

 しかし幸か不幸か、海上では一種の緊張状態が続いていたが、何とか東京湾に入り、すぐさま陸の上を飛行するようにして、ようやく私たち三人とも少しだけ緊張を解くことができた。

「これである程度はなんとかなるわね」

「だね」

「ですね」

 璃兜さんの言葉に、真矢さんと私が同意した。下が陸地であるのならば、コンテナを破壊されたとしても、中にいる璃兜さんが無事であれば私が飛んで回収できる。真矢さんの場合は、パラシュートを装備しているので落下自体はどうとでもなる。私は敵の攻撃が直撃して、航行不能等にならなければ何とでもなるだろう。さらに言えば海上でなければ、救援を期待することもできる。

 そう思って少し安堵というか、明るい気持ちになれたのだが……気持ちが前向きになったことでこれからのことが考えられるようになったのだろう、真矢さんの雰囲気が少し暗くなった気がした。

「とりあえず無事に帰れそうだけど……真矢がどうなるかしらね?」

「……多分大丈夫。たぶんね」

 璃兜さんの言葉に、真矢さんが弱弱しい声でそう返していた。これに関しては私も何も言うことができず、声を出さずに苦笑することしかできなかった。

 今回突然反応を示したオーラマテリアルの回収に向かい、襲撃にあった。それも飛行型の新型種で、相当苦戦する羽目になった。私はその新型の対応に追われていたので、その間二人がどうなってるのかよくわかってない。そのため記録を見返したが、真矢さんからなかなか強気というか、普段の真矢さんからは考えられないことを言っている。

(今回採取したオーラマテリアルの適合者であることを、確信しているような言動だな)

 ダヴィさんに許可をもらってオーラマテリアルに接触。触れたことで想いに反応し、先ほどの絶体絶命な状況を打開することが可能な装備を得た。そして狙撃を行って新型の飛行型を撃破。あとは群がってきた残敵の掃討。実にいろいろすごいことが目まぐるしく起こっている。

(装備がすごいことになっているので、ダヴィさんが大興奮するのは間違いないだろうが)

 装備を生み出した……そういってもいい状況だ。興奮しないほうがおかしいのは、これまでの付き合いでいやでもわかるというものだった。

(ダヴィさんの許可もとっているので、大丈夫だと思うが)

 今回のような状況の場合、どのような裁定が下されるのかは謎だが、最低限擁護すべき状況ではあった。きちんと二番目にえらい権力者の許可を得ていること、そして結果論とは言え、真矢さんが許可を得たオーラマテリアルに触れることで新たな武器が誕生し、その武器のおかげで私たち三人は生還することができた。これらで十分に功績となるだろう。

 特に生還して様々なデータを持ち帰ることができるというのは、かなり大きなプラス要因だ。何より、あまり自分を理由にしたくないが、私という特異存在が生きて戻ったというのは、非常に大きな要素といえるだろう。

 これらを加味すれば問題ないとは思うのだが……ダヴィさんではなく、最高権力者の千夏司令がどのような判断を下すかであり、下されるまでやきもきするのはしょうがないというところだろう。

(はてさて?)

 どうなるかは謎だが、怒られることはあっても、処分はないだろう。そう思って私は基地に戻るまでは気を抜くまいと、気合を入れなおして飛行した。




「貴様という男は……本当に……」

 時刻は15時。帰投し、すぐさま指令室へと呼び出され、一通りの報告を終えた千夏司令の第一声がそれだった。この場には私と璃兜さん、千夏司令の三人のみだった。真矢さんは研究対象としての興味や、変化に伴った容体等を確認するため、ダヴィさんに真っ先に連行されていった。これについては、千夏司令も止める気はなかっただろう。

「千夏司令、真矢は――」

「悪いようにはしない。すまんが少し考えたいので、静かにしてくれ」

 いろいろなことがあって頭痛がひどいのだろう。こめかみに手を当てて眉間にしわを寄せながら考え事をする千夏司令。璃兜さんとしても、真矢さんがひどい目に合うとは思ってないが、それでも確証が欲しかったための問いだろう。最低限の言質が取れたので、私たち二人は素直に黙った。

「まぁ悲観的に考えすぎるのもよくないか。とりあえずよく無事に戻ってくれた」

 少々の時間悶々と考えていたが、しかしすぐに開き直ったかのように千夏司令がそう口にした。といっても、まだ眉間にしわが寄っているような表情ではあるので、思うところはあるといった感じなのだろう。

「しかしオーラマテリアルの新たな出現を聞かされた時も驚いたが……新種に真矢中尉の変化には驚いたな」

 そういいながら空中に表示された画面。そこには私と真矢さんの録画記録を停止した画像が表示されていた。その画像の端のほうには、全長等の数値が表示されており……私はそれを見て内心で笑った。

(マッハ3って……速いな)

 全長20m、測定速度マッ3と表記があって笑うしかない。数字と画像を見てもあまり驚かないかもしれないが、この新型は推力を噴射している様子が見受けられなかった。一体どのようにして飛行しているのか不思議だったが、そこで気づいた。

(……人のこと言えないか)

 私のフライトアーマーも、オーラという目では見ることができないエネルギーで飛翔している。そう考えれば、必然的にこの新型がどうやって飛んでいるのかは、導き出せた。

「千夏司令。ダヴィ技術中佐からは、真矢の容体については何か聞いていませんか?」

「それについては私から、報告も含めて回答しようかな」

 千夏司令への質問に割って入るように、室内のスピーカーからそんな音声が流れてくる。そして音声と同時に新たな画面が映し出されて、その画面にはダヴィさんと真矢さんが写っていた。

「いいかな、チカ司令?」

「手間が省けてちょうどいいな。許可する」

 許可が出たこととで、ほかにもいくつかの画面が投影された。真矢さんの身体データや、装備していたアクティブスーツの前後のデータ。狙撃中の装備の変化前後のデータ。専門的なものはよくわからないのだが、それはダヴィさんもわかっているのか、端的に簡潔に、まず最も聞きたいことを教えてくれた。

「まず、マヤ君の容体については、全く問題がない。経過観察も必要なので絶対安全とは言えないけれど、現時点では間違いなく健康的に問題ないことは、私が保証する」

 その言葉を聞いて画面の真矢さん、隣の璃兜さんが安堵の吐息を漏らしていた。真矢さんは本人ゆえに当然だが、璃兜さんも親友のことについて、気が気ではなかったらしい。

(仲が良くて何より)

 当然だが、吐息を洩らさなかったが私も安心してのは一緒だった。

「またオーラマテリアルに触れたたことで変化した、マヤ君のアクティブスーツについても、全体的な性能の向上が確認された。まだ簡易な研究しかできてないので、この程度の上昇率だけど、研究すればもっと向上すると思うよ」

 とりあえず絶対に話すべき事柄を話せてエンジンが温まってきたのか、ダヴィさんの口調がどんどんと熱を帯びていくのを感じたのは……私だけではないだろう。

「最も興味深いのは狙撃銃……と言いたいところだけど、最も注目すべきはマヤ君のアクティブスーツだ」

 ウキウキしながらそう述べて、画面を拡大してくれる。まだ一時間と満たない時間しか調べていないというのに、かなりの項目について調べているのがわかって、驚くやらあきれるやら……というのが私の本音だった。

「驚くべきことに、アクティブスーツの要所部分に同化して、特性を強化している傾向がみられる」

 想いに反応して力に変換する特殊な鉱石のオーラマテリアル。それだけで考えればあまり不思議なことではない……十分不思議な現象だが……が、今回想いによって変化した装備が、ある意味で問題だった。

「ソウイチ君のパワードスーツが、かつての人類が目指した理想だけど、それは実現することがかなわなかった。だからオーラスーツが開発された」

 オーラスーツという、どう見ても人型ロボット兵器にしか見えないこの兵器の呼称に「スーツ」が入っている理由。それは私が装備しているパワードスーツのように、人が装備を着込むような形のパワードスーツを目指していたことに起因する。

 しかし直にオーラマテリアルに触れる装備は、人体に影響はないものの、精神に多大な負荷がかかるため、着込む装備を作っても装備ができなかった。そのTため着込むのではなく乗り込む形の、現在のロボット兵器が誕生した経緯がある。

「今回のマヤ君のアクティブスーツの変化は、マヤ君の現状を打破したいという想いが強く反映された形だというのが考えられる。また装備していた兵装に反応して最適解ともいうべき変化をもたらしたというのが、結果論だけど推察できる」

 先ほどの利島での戦闘で真矢さんが装備していたのは、アクティブスーツと狙撃銃、防護用の盾となっている。その状態で真矢さんが触れたことで、その装備で現状を打破できる装備に変化したというのは、自然といえた。

「またマヤ君にはここに帰ってくるまで、そして今現在もアクティブスーツを装備してもらっているけれど、自覚症状、モニターで計測していても問題が見受けられない」

 詳しくは覚えていないが、オーラスーツを使用した装備を着込むと個人差はあれど、短い時間で精神的に着ているのがつらく感じてしまうため、スーツの装備を断念したという経緯があったはずだ。しかし真矢さんの装備が変化してからすでに数時間経過している。本来であればとっくに着るのがつらくなって脱いでいるはずだというのに、その兆候すらも見られないようだ。



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