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機械遊渡  作者: 月兎
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再会




 思い出した。


 ある日唐突に蘇ったのは1年以上前の、大切だったはずの、暖かい思い出だった。

 どうして忘れていたんだろう。

 どうしていなくなってしまったんだろう。

 情景が思い出せないだけならともかく、忘れていることにさえ気づかなかったなんて...…





 考え事をしながら登校していたら、気が付けば教室のドアの前に着いていた。

 中からクラスメイト達の話す声が聞こえる。

 僕は耳を疑った。毎日聞いていたクラスメイト達の声の中に紛れて、確かに聞こえたのだ。

 1年前、毎日のように聞いていた声を。確かに求めていたあの声を。


 僕は急いで目の前のドアを開け、教室に飛び込んだ。


「杏っ!!!!」


「...…そんなに驚いた顔してどうしたの?介斗」

 杏は何事もなかったような、何があったのかわからないとでも言いたげな顔でそこに立っていた。


 思わず目頭が熱くなる。


「どうしたの!?大丈夫?」

「大...…丈夫だよ。うん。 …...それにしても、生きててくれてよかった」

 杏の顔が一瞬、驚きに染まる。

「...…なにそれ、意味わかんないよ(笑)」


 その笑顔は、どこか寂しそうに見えた気がした。


 いや、気のせいか。


ーーーーーーーー

「雲野杏さん」

「はぁい」


 朝の会が始まり、担任の先生が出席確認を進めていく。



「結城介斗さん」

「はい!」


 やっと日常が戻ってきた気がする。

 気が付かなかっただけで、案外心の知覚できないほどの奥底では、杏のことを覚えていたのかもしれないな。


「…さん。全員出席ね!えらい! それじゃあ今日の連絡事項は…」



 …何を考えていたんだっけか。

 まぁいいか。杏と一緒に帰るのが楽しみだな。


 昨日は何を話したんだっけ...…

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