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機械遊渡  作者: 月兎
2/12

行方

 ―けたたましい目覚まし時計の音で飛び起きた。

 目尻が乾いて違和感があったので、ゆっくりと伸びをしてから洗面所へ向かう。


 蛇口をひねって冷え切った水で顔を洗い、寝ぼけた頭を動かした。


 うん。今日もいつも通りいい日になりそう.......じゃない、すこしずつ思い出してきた。

 今のところ人生最悪の日と呼んでいいであろう昨日を。眠りにつく寸前まで心を掻き乱したあの感情の渦を。

 つー、と涙が頬を伝った。



 ......学校に行かなくちゃ。無事だったっていうあいつの顔が早く見たい。





ーーーーーーー


「……渡辺京子さーん」

「はい」

「はい!全員出席ねー。えーっと、連絡事項は―」



 …...おかしい。あいつがいないのに名前も呼ばずに全員出席って...…


..........…あいつの、名前?




 記憶に靄がかかったようで思い出せない。

 あんなに一緒にいた友達の名前なのに。


...…世界で一番大切な、好きな人なのに。



 今更気づいた。あんなに一緒にいたのに、彼女の家の場所も、

..….親の顔さえも知らないことに。

 知っていたはずのことさえ.…..幾度となく呼んだ名前さえ、今朝からは何も思い出せないことに。


 昨日の記憶も、自覚できないまま、気づくこともなく消え去るのだろうか。まるで...…そんな記憶は最初からなかったかのように。そう考えると、ぞっとした。

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