貴方
研二は、私を拾った日を私の誕生日とした。拾われた頃の私は日付という概念を知らなかったため、誕生日というものはよくわからなかったが、3回目の誕生日を祝われる頃にははっきりと理解できた。
6歳になる誕生日、研二は神妙な面持ちで「伝えたいことがある。」と言った。
「少し前の話をしよう。数年前、太平洋に突如として新たな島が出現したことがあった。当時、世界中を騒がせた大事件だ。」
初めて聞く話だ。そんなに大きな事件なら図書館に入り浸っている私が知らないというのもおかしな話だが……
「今ではこの時間を覚えてるやつはほとんどいない。国が世界中の人間からそいつに関する記憶を消したからな。」
「待て。私をからかっているのか?今の日本にそんな技術はないはずだ。そんな魔法みたいなことは……」
「そう、それ。魔法だよ。その島……名前は朱雀島っていうんだが、そこから発見された何種類もの動物たちはみんな未知のエネルギーを生み出す器官とそのエネルギーを使った多種多様な生存戦略を持っていた。」
そんなことがあるのか……?いや、まて
「ならなぜ、研二はその朱雀島?のことを覚えているんだ?」
「お前のおかげだよ。」
……は?
「何を言っている。そもさも私は今聞かされて初めてその事件を知ったんだぞ」
「話すと長くなるんだが……まぁ、そうだな。さっき言った朱雀島の生物たちが持つ未知のエネルギー、これを私はその性質にちなんで魔力と呼んでいるんだが……国がやった記憶の削除ってのはな、朱雀島の生物を解析して得た魔法技術によるものなんだ」
「その話と私のおかげで研二の記憶が消えてないってのはどういう関係があるんだ……?」
「研究の結果分かったことなんだけどな、どうやら地球上の生物はな、強い魔力に晒され続けると魔力を使った諸々に対する耐性ができるらしいんだよ」
「ん……?まて、それじゃあ」
「そうだ」
「杏。お前は魔力器官を持ってる。それもかなり優秀な、な」




