第四話。騎士団本部へ乗り込む。
少し曇り空。
それでもチュンチュンと小鳥は鳴き、鉄格子の向こうから仄暗い光が差し込む。
身体が重い。気も重い。
かすかな陽の光で目覚めたのか、石畳による腰の痛みなのか分からない。
左側の頬が痛い。首も痛い。
それはそう。昨日あれだけビンタを喰らったのだ。
昔から寝ると大概のことは忘れるし、怒りや悲しみといった負の感情も落ち着くタイプだ。
だから、今はとても冷静だ。しかし、首、腰、頬の痛みが思い出させる。
昨日女騎士アレイラを連れ、ギルドへと向かった。
リーリアさんに相談しようと思ったが、リーリアさんは体調不良のため休みとの事だ。
もう正直、リーリアさんも前日の酒場でだいぶメンタルやられてたもんなと思ったが、俺は俺で困っていた。
そう、女騎士の件だ。
こいつマジで話を聞かなすぎて、このままだと本当に指名手配されかねないので、どうにかしたい。
しかもなんどもスキルを掛けると、スキル効果中は俺も人に近づかない。私のような知将は同じミスを繰り返さない。酒場の時のようなのはこりごりである。
しかしどうしたもんか?女騎士もずっと俯いたまま睨みつけてる。
俺「なぁアレイラさん。本当に一度話をちゃんと聞いてくれ。全て手違いとミスでこうなっただけで、マジで悪者や怪しい者じゃないんだよ。」
女騎士アレイラ「女を無理やり森の中へ転移させ、体の自由を奪いゴブリンに襲わせた上に、檻に入れて拉致監禁している人間の事をどう信じろと!?それだけ高度な魔法を駆使しておいて魔法は初めてだ?もう少しまともな嘘をつくのだな。」
俺「い、いや、そう言われるとマジでごもっともなんだけど、本当なんだって!」
アレイラ「だから、お前のいうギルドの者に確認してみろと言ってたから、黙っていてやったんだろうが。はやく連れてこい。どうせ嘘だろうがな。もういい。煮るなり焼くなり犯すなり好きにしろ。」
俺「それが、その俺の事知ってるギルドの人が、そのー…今日休んでるみたいで…。」
(犯すなりとか言ってだけど、さっきまですげー泣いてた癖に!!と言いかけたが、俺のような紳士は無粋な事は言わないのだ。)
アレイラ「ほらな。」
俺「い、いや!ちょっと待て!わかった!そのギルドの人をここに呼んでみる!!」
アレイラ「ほう。連絡先か家でも知ってるのか?」
俺「あ、家も連絡先も分かんない…。でも、さっき全く知らないアレイラさんを間違って呼べたくらいだから、多分知ってるリーリアさんも召喚魔法的なので呼べると思う!」
アレイラ「ん? い、いや、ちょっと待て休みの女性をそうやっ」
俺「いでよ!リーリアさん!」
アレイラ「て呼ぶもんじゃな。って呼んだの!?正気!?」
俺「え?あれ?ダメな感じ??」
煙と共に下着姿でくつろぐリーリアさん登場。
リーリア「!?キャァァァァッッ!!!」
アレイラ「ほらぁ!!言ったじゃないか!!ダメだろ!休みの日の年頃の女性召喚するの!」
俺「え?え?あ、あー。リーリアさん。こんにちは。そしてごめんなさい。」
リーリア「な、中村さん!!ま、ま、ま、また!!!あなたは!!本当に最低!スケベ!犯罪者!!死んじゃえ!!」
バチーン!!
本日七回目のビンタが飛ぶ。
アレイラ「ほら、言ったぞ!やはりお前犯罪者じゃないか!!」
俺「違う!いや、ごめん!いや、でも違う!とりあえずリーリアさんこれ着て!」
とりあえずリーリアに上着を渡して事情を説明する。
リーリア「はぁーーー。とりあえず経緯は分かりました。王国騎士団のアレイラさん?ですね。このゴミ屑性犯罪者みたいな方は中村優作さん。人格と人となりは兎も角、確かに王国にも確認して一応召喚された勇者様で間違いはないです。人格はどうあれそれは確かです。」
アレイラ「し、しかし王国で召喚した勇者は現在きちんと客人として王室管理で魔王討伐のために準備していると聞いていたが、そこらへんはどうなのか?」
リーリア「なるほど。召喚された勇者は1人だけだと思いその前提で確認したので、その前提が違うとなると、もはやこの方が召喚された本人か怪しくなってきますね。ただ、神官の方に確認の際の見た目やステータス値は類似していたので、うーん。微妙なところですね。」
あれ?なんか潔白を示してくれるはずだった唯一の味方すら消えようとしている!?
俺「あ、あのちょっと待って!!!」
アレイラ「ただ、召喚が事実なのかどうであれ、こいつが悪人なら私はこいつを捕縛または切り捨てなければならない。その点はどうだ?」
リーリアちゃん!たのむ!
リーリア「うーん。最初の頃は凄く受け答えもしっかりしてる方だと思いましたが、こまめに私の事誘ってくるし、仕方なくスキルの検証を手伝ったら酷い目にあったし、しかも今も年頃の女性の休日にいきなり転移魔法使ってきてるわけで…。本当に終わってますね。」
リーリアさん!?
リーリア「ただ、そこ以外は街でも評判自体は悪くはなく、クエストの達成率も冒険者歴で考えると異常に早く、クソみたいな能力ですが、勇者レベルのチートスキルを持ってるのは確かです。」
アレイラ「なるほど。とりあえず分かった。ひとまず、この男の身元を騎士団へ行き確認しよう。」
俺「あのー。まだ疑いは晴れない感じ?」
アレイラ「もはや当たり前だが、お前の出自がどうであれ現状の行いだけみたら立派に逮捕レベルだ。しかし勇者レベルのチート持ちを訓練も講座も無しに街に放り込んだとすれば、多少の情状酌量の余地があるってだけだからな?」頷くリーリア
俺「え?俺逮捕は確定してるの!?」
アレイラ「いや、冷静に考えて欲しい。王国騎士団員である私を檻に入れて監禁してる時点で罪に問われないとなぜ思う?」
俺「だって事情も聞かずに切り掛かってくるから…」
アレイラ「女性が!あんな目に!あったら!そりゃ切るだろ。」
リーリア「マジ聞いてドン引きしましたもん。切られて当然です。」
俺「悪かったってば!!」
何をどうすれば良かったのか。確かに俺も悪い。
けどさ!幻覚魔法のつもりで使った魔法で見ず知らずの実在する人召喚するとは思わんじゃん!!
はぁ…。マジでノリで使った事ない魔法なんてやってみるもんじゃ無いな…
(注*こんな事言ってますがこいつは懲りてない。今は反省した気分でいるだけで、心底懲りてない。)
アレイラ「何してる?考え込んだような顔をして。早く出せ。」
リーリア「中村さん。とりあえずいつまで罪を犯し続けるつもりですか?早くアレイラさんを出してあげてください。」
俺「え?あ、あぁ。もう切りかからない?」
アレイラ「あぁ。とりあえず召喚された勇者の可能性がある以上、ここで処刑は行わない。むしろ、最初だって切り掛かりはしたものの、ひとまず取り押さえて連行して事情聴取するつもりだったからな。」
俺「は、はぁ。分かりましたよ。」
いやいや、そんな事言われてもあんなバチギレ状態で剣抜かれたら確実に殺されると思うでしょと思ったが、飲み込む。
俺「ほら。出しましたよ。」
アレイラ「ふむ。さて、とりあえずっと。」
バッチーーン!!!
強烈なビンタが飛ぶ。リーリアさんのとは比べ物にならない。というか現役王国騎士の全力ビンタなんてとてもシャレになってない。
俺は転がり悶絶する。
アレイラ「今はこれくらいで勘弁してやる。ほら。早く。」
俺「今はって!?クソ痛過ぎるんですけどまたやられる可能性あるの!?てか、早くって!?何がですか!?」
そう言いながらアレイラさん達を見上げると
アゴでクイッと檻の方を指すアレイラさんと静かに頷くリーリアさんがいた。
そうやって檻に入れられた俺は夕日が沈む中、騎士団本部へと連れて行かれた。
ガタガタと揺れる台車。その上に積まれた狭い檻。街の人々からの嘲笑と軽蔑の目。
あぁ、アレイラさんにもこんな思いをさせてたのかと反省しながら、俺は静かに項垂れるのであった。
(注*反省はしていても恐らく懲りてません。)
そうこうしているうちに騎士団本部へと到着した。リーリアさんも一度家で着替えたのち、参考人として来ていた。
衛兵「アレイラか!先ほどは一体何があった!?」
アレイラ「王国騎士団第二中隊隊長補佐のアレイラです。勇者を自称する人物を保護しましたが、我々の聞いている勇者の状況と情報が乖離していたので、この者の身元を確認して頂きたく参りました!あと、先ほどはお騒がせして申し訳ありません。その騒動にもこの者が関わってきますので、大隊長にお取り継ぎ願います。」
衛兵「なるほど。とりあえずその者は牢屋に入れておこう。大隊長は執務室におられる。今取り継ごう。」
そう言われ俺はとりあえず牢屋にぶち込まれる事となった。
騎士団本部はかなり大きく、訓練中なのかわからないがすげー掛け声も聞こえた。しかし、牢屋は防犯上なのかなんなのか分からないが、入り口からすぐの地下への階段みたいな所にあり、暗く長い廊下を歩かされた。
俺「あのー、俺いつまでここに入れられるんですかね?」
俺を連行している騎士に聞いた。
騎士「貴様の身元と罪状を確認して問題が無ければすぐ出られる。問題があれば、犯した罪により当然刑期は変わる。あっと、逃げ出そうとしても無駄だぞ。今貴様にかけている手錠は王国の魔法師団が開発したスキルと魔力を封じる手錠だ。暴れん方が身のためだぞ。」
俺「俺は無罪です。色んな行き違いでこうなったので、ちゃんと確認してもらえるなら大丈夫です。ところで、この世界の魔法具というのはそういった拘束具もあるんですね!」
騎士「あぁ、一応召喚された勇者様と自称してるんだもんな?笑。いいだろう。その茶番に少し付き合って答えてやる。
そうだ。貴様のような勇者だの賢者だの自称する変人から盗賊や殺人犯など凶悪犯まで収容する為にはこのような魔法具は欠かせないものであり、それらを留めておく為に国、いや世界をあげて開発されたものがこれだ。」
俺「ほぇー。そうなんですねー。いや、本当にこの世界分からなくて、凶悪犯とかどうやって捕まえるのかな?とか色々知りたい事や興味ある事でいっぱいなんですよ。」
騎士「ほう。なんか今の受け答えは本物の召喚者っぽい言い回しだったぞ。わはははは。しかし送られてくる召喚者も全てが善人とは限らん。過去にある国で召喚した勇者が魔族に与して国を滅ぼしたという例もある。だからこそ勇者達ですら捕まえられるこの魔法具はこの世界に無くてはならん代物なのだ。」
俺「この魔法具今まで破られた事はないんですか?」
騎士「ないな。少なくともこの手錠や他の拘束具と対になってる解除用キーを盗まれたなどいった事例はあっても、解除キーを使わずに脱した事例は聞いた事もない。」
俺「あー。そうなんですねー。スキルの不発ってどんな感じなんでしょうね?」
騎士「ははは。試してみるか?やれるもんならな!!殆どの犯罪者はこの魔法具をつけられた瞬間、暴れたり、様々な魔法やスキルを試し、己の無力感に絶望していくのさ!お前さんが魔法やスキルで何が出来るが知らんが勇者様さえ抑える魔法具を破れるもんなら破って見てほしいもんだ!ははは!」
俺「じゃあーー。試しに…【知能低下】!」
そんな事言われると試してみたくなるのが人間だ。
過去に戻れるならこの時に戻り自分の顔を殴りたい。
いや、でもこう言われると本当に使えないのか試してみたくなるのも人間なんだけどさ。
ただ、この時の俺はここまで言われたら大丈夫なんだろうと軽く考えていた。
急に動きが鈍くなった騎士。周りをキョロキョロし始める。
俺「あれ?騎士さん?どうしました?」
騎士「へぁ?あぁ。なんだろう?」
俺はゾッとした。
え?今日どんだけゾッとしなきゃなの??
めちゃくちゃ嫌な予感しかしてない。
俺「あのー。俺のことわかります?」
騎士「んあぁ。分からない…。」
はい。やらかした。
あ、これ。マジでマズイ。てか、スキルや魔法使えないんじゃ無いの!?この魔法具。
なんで使えちゃってるの!?普通の手錠と間違えてる!?
いや、でもそんな簡単に間違えるはずも…
いやいやいや。それどころじゃない。これ、こんなん見られたらマジで本当にここから出してもらえない。どうしよう。
俺「あのー。騎士さんはですね。僕を牢屋に連れて行く途中だったんですけどわかります?」
騎士「んーん。分からない。」
俺「牢屋の場所はわかります?」
騎士「ん。わかる。」
俺「そこに俺を連れて行って、牢屋に入れてもらってもいい?」
騎士「うん。なにか悪いことしたの?」
俺「ううん。悪い事はしてないんだけど、とにかく今すぐそこに入れて欲しいんだ。出来るかな?」
騎士「わかった。」
俺「とりあえず誰か来る前に急いでもらえるかな?」
騎士「うーん。わかった。」
俺「入れたあと騎士さんはどうしろって言われてる?」
騎士「わかんない」
俺「それなら、俺を入れたあとトイレに30分くらい入って、もらえるかな?」
騎士「わかった」
子供のような受け答えと首を大きく横に振ったり、縦に頷いたりしていた騎士にとりあえず急いで牢屋に入れてもらった。
あっぶねー。とりあえず牢屋に入ってればスキル範囲に人は来ないだろう。連行してる騎士も1人で良かった…
てか、アレイラさんやリーリアさんと違ってなんか子供返りしてなかった??あの騎士?なんだ?どういう基準でどういう効果になってんの?このスキル…。
マジで頭痛い。
そうこうしていると、奥から人が来た。
アレイラさんだ。
アレイラ「おい。大隊長室に来いとの事だ。いくぞ。ん?あれ?お前を連行した騎士はどこだ?」
俺「あ、なんかお腹痛いみたいでトイレに行きました…ねー。」
アレイラ「公務中にたるんでるな。ここからは私が連行するのに引き継ぎをせねばならんのだが。まぁ、仕方ない。ほら。出てこい。」
俺「あ、あ、あ、あのー。今まだ出れないかも…。」
アレイラ「ん?なぜだ?今出るか出れないかなど貴様が決める事では無い。早く出ろ。出なければ少し手荒くなるぞ。」
やばい。まだスキル効果時間は過ぎて無い。
俺「いや!出ます!出ますから!ただ、私から3メートル離れて貰っても良いですか?なんとなく、ほら。私みたいな得体の知れない者は何するかわからないでしょうから距離を取った方がアレイラさんも安心かなーって。はははは……。」
アレイラ「逆だろ。貴様のような怪しい輩こそ、近くでいつでも抑えつけれる為にむしろ離れたがるなぞ、もっての外だ。なんだ貴様さっきから。行けば偽物であるとバレるから必死なんだな。」
あ、もうダメだ。どうしよう。困った時はもう白状しちゃうか。いざとなればスキル使って逃げるしかない。
俺「いや!違う違うんです!ちょっと待ってください!話します!あの、連行してくれた騎士さんがこの魔法具は勇者でも抑えれる凄い道具だっていってて、本当にスキルが使えないか試した……んですよねー……そしたら、なんかあのーーー。そのーー。なんというかスキル発動しちゃって騎士さん馬鹿になっちゃって……そんで、ほら。今まだスキル効果時間過ぎて無いんで今俺に近づくとまたアレイラさんも馬鹿になっちゃうというか……は、ははは、はははははは!ていう感じで困ってるんですよねー!はははは!」
アレイラ「は?スキルが使えた?貴様のあの凶悪なスキルが使えただと?その手錠してる最中に??それで騎士はどこへ行った?いや、どこへやった!?」
俺「えぇ、なんか使えちゃったみたいでー、馬鹿な騎士さん見つかるとマズイと思って、トイレに30分篭って貰ってます。」
しゃがみ込み頭を抱えるアレイラ。
アレイラ「ちょ、ちょっと待て。貴様のスキルは本当に凶悪なのに、それが拘束具で制限出来ないとなると色々話が変わってくるな。貴様を大隊長室に連れて行くのは危険すぎる。とりあえず今晩はここにいろ。いいか。もしスキルや魔法を使えても絶対出るなよ。」
俺「ですよね…。はい…。」
こうして一晩を牢屋で過ごし、今に至る。
いやぁ、キツイ。異世界生活舐め切ってた。
最初苦労するのもまぁ冒険の醍醐味だなとか思ってたけど、早々に牢屋ぶち込まれるは聞いてない。
これからどうしようかなぁ。と考えていたら、奥からコツコツと誰かがきた。
アレイラ「よく眠れたか?貴様の処遇が決まった。とりあえず、ここにこれから大隊長と魔法師団員と神官がくる。嘘偽りなく正直に質問に答えるように。」
俺「はい。」
うわぁ。緊張する。この回答の如何によっては俺処刑されちゃうのかな。いや、とは言っても監禁と脱獄未遂的な奴のはずだし殺されるは無いと願いたいが…
そうこう考えてるうちに大隊長達が来た。
大隊長「お前が勇者を自称しているやつか。私は王国騎士団大隊長を務めるグランベル•エルドラドだ。貴様に何点か質問がある。まず、ここにいるアレイラを拉致監禁、そして脱獄未遂は事実か?」
俺「いえ、一部事実では無いです。まず結果的にアレイラさんに関してですが、拉致するつもりはなくて、幻覚魔法を使おうとしたらなぜかアレイラさんが召喚してしまい、その後アレイラさんに襲われたので仕方なくクエスト用に準備していた檻に一旦隔離しただけです。また、脱獄未遂に関しても騎士の方にこの魔法具はスキルも魔法も使えないと聞き、試してみろと言われたので試した所スキル効果が発動できてしまい、誤解を招かぬよう自ら檻に入りました。」
アレイラ「お、お前!ニュアンスがちょっ」
グランベル「まて、口を挟むな。どうだ?シャルゼこの者は嘘を付いてるか?魔法具に反応は?」
魔法師団員シャルゼ「いいえ。魔法具に反応は無し。今述べた発言は事実であると思われます。」
グランベル「そうか。では続けて質問だ。貴様は自称勇者との事だが、それは本当か?」
俺「はい。私はこことは別の世界にて生活をしていた25歳中村優作と申します。少し前に召喚されたものの、魔王を倒せとその場にいた神官様に言われ、少しの金銭を渡され町は出されました。なので、本当に自分のスキルの効果や魔法も分からない為、独学でとりあえず使ったみりなど私なりに冒険者業をしながら日々暮らすお金を稼いで過ごしていました。」
グランベル「これも魔法具に反応無し…か…。しかしちょっと待て。自身のスキルが分からないとはどう言う事だ?」
俺「え?だってこの世界ではスキルは条件達成して解放してからじゃ無いと分からないって…」
グランベル「それはそうだが、魔王討伐の勇者を召喚するんだぞ?未解放のスキル情報を確認できるスキル持ちがいて、確認してるはずだが…」
俺「え…?」
グランベル「もう一回聞くぞ。召喚された後どうなった?」
俺「召喚されて、スキルも分からなければ解放方法も分からないから頑張れって感じで金渡されて街へ追い出されました……え?」
グランベルはバッと魔法具を見るが反応無し。
グランベル「え…?」
驚いた表情で魔法師団の奴とキョトンと目を合わせ、同時に神官に目を向ける。
グランベル「神官よ。貴様さきほどの打合せの時から何か都合の悪そうな感じしていたが、この者の言ってる事は本当か?」
神官「え、えぇーとそのー。」
針がピクピクしてる魔法具それをみたグランベルが睨みつける。
神官「は、はい。本当でございます。」
グランベル「んん!?何がどうなっておるのだ。なぜ神官はせっかく召喚した勇者にそんな真似をしたのだ!!訳がわからん。説明せよ!」
神官「ほ、本来勇者様は4名召喚されまして、もともとは勇者様のパーティを組ませて魔王討伐の準備をしていたところ、そのー大変申し訳難いのですが、中村さんのスキルが範囲方の知能低下という扱いに困るスキルでして…。これはパーティに入れられないという事で、いったん1人で魔王討伐してもらおうかなといった流れになりまして…」
俺「は?いやいやいや、ちょっと待て。全然納得出来ないけど、100歩譲ってパーティ組めないにしてもスキルや魔法とかそこらへん知ってたんなら教えてくれても良かっただろ!!何も分からないままで追い出されてさぁ!!そのせいでこんなことになってるんだが!!」
神官「いやーそのー。中村さんのスキルは過去の記録にもなく、敵味方関係無く範囲で30分知能を下げるという所までは分かったのですが、正直どの程度のデバフがかかるから未知数でして…いっそ何も分からないことにして外に出した方がいいなとなりまして…。もし強烈な効果だった場合国が傾きかねないと判断されました…。」
突如の自白に呆然とする俺。
グランベル「そもそも鑑定スキルでそこまで分かるなら効果の強さも分かるんじゃ無いのか?」
神官「いえ、これが全く分からずにですね。王国で最高の鑑定スキル5の鑑定者は本来そのスキルが持ちうる最大レベルの効果も確認出来るはずなんですが、中村さんのスキルを確認した時(スキル効果)スキル発動後、30分間自身の肉体から半径3メートル以内の生物の知能を低下させます。レベルがあがると、範囲と低下割合が増加します。とだけしか見えなかったのです。」
グランベル「それだけしか書いてないのか?レベル毎の評価は?」
神官「いえ。これだけです。スキル次第ではありますが、たまに勇者様のようなスキル上限が高いスキルでも最高レベルまで見えるものと、途中までしか見れないものも確かにありますが、こんな表記でレベル1までしか見れないスキルは何が起こるか分からないので、リスクを考えて他の勇者様や国王様の近くには置けなかったのです。」
俺「ふ、ふざけるな!!だからってこんな酷い目に合わせる必要ないだろ!!」
アレイラ「いや、神官様のおっしゃる事は凄く分かる。私もこのスキルを使用された本人としても、凶悪過ぎるし、レベル次第で効果時間も伸びる可能性を考えると本当に恐ろしい。」
あ、アレイラさん!?
グランベル「確かにそれだけ得体が知れないスキルでもあるか…。しかも魔法具にも拘束されないとなるとどうしたものか」
怖い。え?なんかそこ4人ですげー見つめあってコソコソ話してるの何!?
あれ?俺危険すぎてもしかしてマジで処刑とかありえる??やばい。心臓バクバクしてきた。
さすがに死ぬのは怖い。マヂ無理…。
俺「あ、あの!!あの!!ちょっと待ってください!コソコソ話さないで!俺の話も聞いてください!俺本当に悪い事もしてないし、これからもしないので!本当に命だけは助けてください!!」
(えずきながら号泣。)
グランベル「しかしまぁ、昨日のギルド職員との話も合わせて考えると、危険だからと罪もない人間を処刑というのは私の騎士道に反する。それは神官も同じであろう?だからこそ彼を殺さずそのまま街へ出したのだろうに。」
神官「えぇ。王国の事を考えるなら処刑という事が最善であったとは思うのですが、なにぶん我らも神を信仰する身。そして何より勇者様というのは女神の信託の元召喚されし者でもあります。それゆえそのまま街へ出す事になりました。」
俺の「う、うぅぅぅ。大゛隊゛長゛様゛ぁ……神゛官゛様゛ぁ……あ゛びがどうございま゛ずぅ……。ゔぅぅ〜。」
アレイラ「しかしどうしますか?このスキル凶悪なのには変わりませんよ?」
この女マジで、本当に騎士??今の話聞いて俺の事まだ殺そうとしてる!?
シャルゼ「実際にこの者がこの拘束具が効かない事を考えるとこのまま放つのは私は反対です。」
グランベル「よし。決めた。アレイラ!彼の監視と彼が道を踏み外さないようパーティを組み行動せよ!」
アレイラ「だっ、大隊長!!それはあまりにも!!」
俺「大隊長!!この人俺の事目の敵にしてるんですよ!?」
グランベル「だからだ。アレイラはこの男が危険だと考えているのだろう。ならお前が監視しつつ魔王討伐まで共に行動するのが良かろう。そして中村!アレイラの言うとおり貴様が得体の知れないスキル持ちで存在自体がリスクであるのは変わりない!どのみち監視を付けるなら、アレイラの厳しい目で緊張感がある方が道を踏み外す事も無いだろう!」
神官&シャルゼ「良い案ですな!」
グランベル「だろう!」
3人「わははははは!」
こうして奇しくも異世界生活始めてのパーティメンバーが加入したのだった。




