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第三話。朝チュン。からの女騎士。

カーテンの隙間から木漏れ日が差し込む。

小鳥がチュンチュン鳴き、1日の始まりとしてこの上ない天気だ。


普通の人ならね。


受付嬢『う、うーん……ッ!!?  え!?ここは…まさか…!!』

焦った表情で自分の格好を確認する。


受付嬢『きゃぁ!!なんで下着姿!?まさか!中村さん!!スキルで私の事無理やり…うぅ……。初めては好きな人としたかったのに…。中村さん素直な人だから悪い事はしないって信じてたのに…。


これは立派な犯罪ですよ!!鬼!悪魔!ひとでなし!ロリコンーッ!!!』

大泣きしながらすげー罵倒してきた。


でもこの状況じゃ勘違いするのも無理はない。

そんでもって多分昨夜の真実を聞いたらもっと気が滅入ると思うが、性犯罪者にされたら困るので真実を話した。


俺『リーリアさん。少し勘違いしてます。僕は何もしてませんよ。ただ、こんな状況になったのは僕のスキルのせいではありますが、リーリアさんは誰ともしてません。ただ……』


リーリア『グス…ッ。ほ、本当ですか…?それでただなんです?じゃあ何があってこうなったんです?言い訳だけでも聞きますよ。』


俺『信じてください。ただ、リーリアさんにとってはもっと酷い話かもしれません。』

そう言って俺は昨日あった事を説明した。



昨日、酒場へ行きリーリアさんと食事をしながらスキルを使って見る事にした。

俺『凄く今更なんですが、受付嬢のお姉さんの名前ってなんていうんですか?』


受付嬢『そういえば、中村さんに自己紹介まだでしたね。私はリーリア・ブラウンと言います。気安く呼び捨てにしたら許しませんからね?笑』


最初はこんな感じで雑談をしてて楽しい食事だった。


そして本題へと話は移り、知能が低下してる状態だとどのように食事をするのか?会話を出来るのか?それを検証する事にした。

俺『リーリアさん。それでは行きますよ。【知能低下】発動。』


するとさっきまで笑顔だったリーリアさんが凄くボケーっとした顔になった。

この時はまだ気づかなかった。そう、後ろの席と僕が3メートルも離れてなかった事に。


ひとまず効果がどれくらいか試すのに、俺はリーリアさんに指示をしてみた。

『食事をしてみて。』すると表情を変えず、ナイフやフォークを使い食べ始めた。

続けて『僕の事わかります?』するとリーリアさんは困った顔して首を傾げてる。

あ、俺のことは分からなくなってるんだ。


俺『両親や友人の名前は?』

リーリア『父はジョン・ブラウン、母はカーリー・ブラウン。友人はクロエ・スミスです。』


そこは分かるんだ。

『自分の事は分かります?自己紹介してみて。』

リーリア『私はリーリア・ブラウンです。17歳です。』

ここで終わった。なるほど、抽象的な質問や指示は理解しづらいのか。また、俺みたいな付き合いの浅い人の事は覚えてなくて、付き合いの深い人の事は覚えていると。


俺『身長と体重と、す、スリーサイズは?』

リーリア『164センチ、54kg、上から93・59・88です。』


俺はすぐさまメモった。こんな情報もペラペラと…これは凄い効果だ…。

俺は興奮しててもう理性が外れかけてた。


俺『リーリアさん。あの、少しだけおっぱい触ってもいい?』

この質問が悪かった。(ちなみにリーリアさんには説明してない。というか言えない。)

コクリとリーリアは頷くと、いきなり服を脱ぎ、胸をさらけ出したのだ。


俺『リーリアさん!?何してるの!!』

ここで他の客がヤジをかける。

『いいぞー!姉ちゃん!もっとぬげー!!』


もう、頭が痛かった。だって本当にそのまま全部脱いじゃうんだもん。

すると後ろの席のおっさんも全部脱ぎ始めた。


ここで気付いた。(やば。こいつスキルの範囲内か!)


ここでわざとやってんのかってくらいのヤジが飛ぶ。

『おめーは酒でも飲んですっこんでろ!!』


するとおっさんとリーリアさんが酒を一気飲みし始めた。もちろん全裸のまま。

俺はもう見てられなかった…


そしてさらに事態は悪化する。

俺たちの席に人が集まってきた。

そりゃ若い女が全裸で酒を飲んでたら、周りの男や騒ぎを止めようと店のスタッフが俺たちの席に近づいてくる。

みんな全員ボケーっとし始めた。


ここでスキルの仕様を理解する。一度発動すると一定時間(恐らく30分間)俺の半径3メートルに触れた人間全員馬鹿になっちゃうらしい。


しかし、ここで全員馬鹿になっちゃえばヤジを飛ばす奴もいないんじゃね??そう思って俺は店内を駆け巡った。

全員馬鹿にしたところでひとまず安心して、リーリアさんに服を着せようと思ったその時


『服を着せるんじゃねーよ!にいちゃん!良いところなのによ!!』


俺は驚いた。さっきからヤジを飛ばしてるジジイ。馬鹿になってるのに、普通に喋ってる。

俺のスキルやっぱり効かない奴もいるのか?精神耐性スキル的な?


余計に謎が深まった。

とりあえずそのジジイを無視して服を着せた。着せる時に本当にやむを得ず、手が当たったがこれはリーリアちゃんには内緒だ。


ジジイを無視して服を着せた事でジジイは怒りデカい声で叫ぶ。『なんだよ!にいちゃんつまんねぇな!!酒が足りてねぇよ!!もっと飲め飲め!店の酒からにして楽しもうぜ!!』


本当になんてこと言うんだこのジジイ。

しかもこのスキルで知能低下中の人達は先に聞いた指示を優先する傾向にある。ある意味検証としては良いんだけど。この仕様のせいで俺が止めても皆言う事を聞かず、一心不乱に酒を煽り始めた。


本当に店の酒空にするつもりだ…。

しかもそんな事言った当の本人はすげーチビチビ飲んでやがる。ムカつくジジイだ。本当になぜスキルが効かないのか。

しかしよく見ると客の中で他にもスキルの効きが薄そうな奴が何人かいた。

もしかして、スキル等の精神耐性とかじゃなく、俺のスキルの効果って本人の知能の高さによって変わってる…??

しかし、なんともそれだけじゃ分からないのと、この大惨事をどうしようか考えるのが面倒になって、俺も飲む事にした。

ヤケ酒が美味い。


スキルの効果時間である30分が過ぎ、知能低下が治った頃にはリーリアちゃん含めた全員が泥酔状態になってた。

辛うじて理性を保ってる俺はリーリアちゃんをかかえて、店を出て、道中背中でゲロを浴び、リーリアちゃんの家も知らないので仕方なく俺の泊まってる宿へ連れて行き、シャワーで流して服着せて、寝かせた。


俺も疲れ過ぎて邪な考えなんて全てぶっ飛んでいて、疲労で俺もすぐに寝た。



リーリア『そ、、、それ、、、冗談ですよね?……。』

俺は首を横に振り

俺『紛れもない事実だ。リーリアちゃんは誰ともやってはないけど、店の中で全裸になってたよ。ま、まぁ、ほとんどの人は多分記憶ないから大丈夫ですよ!!……多分ですけど…。』


リーリア『う、うわぁぁん…。酷すぎる…。ひくっ…。』


やばい。めっちゃ泣いてる。何か言って励まさないと…


俺『でも、リーリアさんの裸とても綺麗でしたよ!恥ずかしがらないで大丈夫です!』


人間、テンパった状態でフォローを入れようとしても大体悪化させるものである。


ばちーーん!!!


恐らく全力で放ったと思われる威力のビンタが飛んできた。

後で考えれば必然の結果である。



リーリア『皆んな忘れてたって中村さんは覚えてるじゃないですか!!ロリコン!変態!性犯罪者!!』


俺『本当にすみません!!お詫びに何でもしますから!!』


リーリア『ひく…。じゃあ、何でも言うこと聞く権利10回分とあとビンタ5回します。』


俺『わ、分かりました…。』

この時、日本というイかれた性癖が通常運転の環境に慣れ過ぎていた俺は(これはいわゆるご褒美なんじゃ…?)と頭の悪い妄想で興奮でいっぱいだった。



リーリア『とりあえず、あなたのスキルは凶悪過ぎます。一般市民には使わないようにお願いしますね。』


俺『分かりました。それで…あのー…』


リーリア『まだ何かありますか?』(むすっとした表情)


俺『さっきから、めっちゃ下着姿を隠してないので、その見えちゃってます…』


リーリア『バカ!!』


ばちーん!!


その後、残り4回の全力ビンタを喰らった後、リーリアさんを帰した俺はスキルの追加検証を行いに森へ出た。


昨日のジジイや何人かの効き目が弱いやつ、リーリアさんやクソうさぎみたいにもはや【知能低下】などという範疇で収まらないむしろ催眠効果に近いレベルの効き目のやつ。

一見知能の低そうなローウルフも今思えばスキル後は棒立ちしてたけど、知能の差じゃ無いのか?


違いはなんなんだ?スキルや魔法による耐性的なやつなのか?または俺のスキルの効果で対象によって効き目が違うのか?今日はゴブリンの巣に突撃して効果を検証してみる事にした。


この世界のゴブリンはいわば知能のある害獣で、成体で人間の子供10歳前後の知能があるようだ。つまりこいつらにスキルを使うとどれくらいの効果が見込めるかによって少しスキルの事が分かる気がする。


そうこうしているうちにゴブリンを発見。バレないようにとりあえず茂みに隠れる。

武器も持たずにプラプラ歩いてる。もし自分より馬鹿な対象には効果が薄いまたは効果無しの場合、囲まれると大変なので単独のゴブリンは都合が良い。


幻覚魔法で誘き寄せる作戦で行こうと思う。(使った事も無ければ、そんな魔法あるかどうかは知らんけどなんか出来そうな気がする。)


ゴブリンにかける幻覚は当然お約束の女騎士でしょ!

いでよ!女騎士!!ゴブリンを誘惑しちゃってー!


ゴブリンの目の前に煙と共に女騎士が出てきた。

(なんか分からんが成功した!!さすが俺!)


女騎士「なんだ!?ここはどこだ!?う、うわ!ゴブリン!?」

ひどく狼狽している女騎士。


自分で出しといてなんだけど、すげーリアルに喋るし、ゴブリンにかけた幻覚魔法なのに俺にも見えるもんなんだな?いやまぁ、でも俺以外とリアル嗜好だからそんな性格が影響してるのかもな。



ゴブリン「ギャギャァぁっ!?…ぎゃあ?ギャギャぁぁ…(ニヤリ)」


ゴブリンもいきなり人間が出てくるもんだから腰抜かしてたが、好物の女騎士(多分、いや好物なはず。)だと分かったらニンマリしていた。


とりあえずゴブリンの興味を引くのは成功だ。あとは幻覚を見せつつ巣から遠ざけなきゃ。

さぁ女騎士さん!誘惑しながら誘導だぁー!

俺はノリノリで魔法杖をヒュンヒュン振り回す。


女騎士「なんだ!?体が勝手にィィィッ!?怖い!なにこれ!?」

そう言いながら甲冑を少しずつ脱ぎ、下着姿で人里近くへ誘導していく。ゴブリンは興奮しながら女騎士を追いかけ、そして俺も自分で操作しながら興奮しながらそれを見守っていた。

個人的な気分としては、幼き頃初めて洋画や少し大人向けの映像作品でお色気や下着姿のシーンを見た時の背徳感や興奮に近い。

正直この時すでに違和感を感じてたが、下心で何も冷静に考えられなかった当時の俺を殴りたい。


女騎士「う、うぅぅ。怖い…、体が言うことを効かない…。誰か助けて。」

そう言いながら誘導場所に到着し、女騎士は止まる。

女騎士「動け!私の身体!ゴブリンなんて嫌だぁっ!」

そう言いながら下着を脱ぎ始める女騎士(めっちゃ泣いててリアル)


そこにもう興奮しすぎて鼻血出てるゴブリンが服を脱ぎ始めた。

ゴブリン「ギャギャァ!」


ここで少し冷静になった俺(俺は昼間から何をしているんだ…?)

でも幻覚魔法だし、触れたらバレそうな気がするからと思い、ゴブリンに近づきスキルを使う。

さぁ、はたしてゴブリンに俺のスキルはどれくらい効くのか!?(この時全く気にしていなかったが、女騎士の幻覚とはまだ距離があり、偶然スキル範囲外ではあった。)


ゴブリン「ギャ?」

俺「やっぱ、効かない感じ?」

ゴブリン「ギャァ。」と頷く。

ゴブリン「ギャギャギャァァァ!!」と襲ってきた。


やはり俺より馬鹿には効かないようだ。

とりあえずゴブリンが襲ってきたが、この後も引き続き効果検証をする為ゴブリンを俺の魔法杖でブン殴り、気絶させた。

俺「我に歯向かうとは愚かな!喰らえ!気絶魔法を付与した私の杖術!△+◯のカチ上げ!」



とりあえず捕獲成功!檻に入れてスキルの追加検証しなきゃだな。

と考えていると


女騎士「そこの御仁!助けて頂き感謝する。つかぬことを効くが、私は王国騎士団員のアレイラと申します。休憩中にいきなりここに来て、体の自由を奪われたのだが、何か知らないか?」


俺はゾッとした。

あれ?俺幻覚魔法かけたよな?

これ幻覚魔法であってるよな?

幻覚魔法って解かないと消えない感じ?

そう思いひとまず

俺「消えろ!幻覚魔法!」

そういうと、煙と共に女騎士は消えた。


一瞬焦ったが、気のせいで良かった。

てか幻覚魔法って自分にも効くのならちょっと不便だなぁとか考えつつ、ゴブリンを檻に入れ、スキルの検証を行った。


目を覚ましたゴブリンにもう一度スキルをかけてみた。

結論からいうと、このスキルは自分より馬鹿には効き目が薄いという事がわかった。ただ、全く効き目が無いわけではなく、ほんのちょっと馬鹿になってるっぽい。そう考えるとこの前のローウルフって犬のくせに意外と賢いのか?

そんで地味にびっくりしたのはゴブリンが普通に人の言葉を理解していること。

ギャギャギャとか言ってるし、知能低いだろうなと思ってたけど、冷静に考えると10歳前後の知能があるんなら、理解はしてても不思議じゃ無いよな。


これを踏まえて昨日の酒場での出来事を予測すると、おそらくだが知能が高ければ高いほどアホになり、そこから俺に知能が近づくにつれ効き目が薄くなり、俺より馬鹿には殆ど効き目が無さそうな感じか。効き目も全然効いてないのも、ちょっと効いてそうなのも色々居たから多分そんな感じだろうな。

戦闘力の高い馬鹿と戦うのは厳しそうだから、チートスキルだと慢心しないようにしないとだな。


さて、この捕獲したゴブリンはスキル検証も終わったら始末する予定だったけど、スキル検証の時意外と言葉通じるのと、あっちも言葉は言えないけどジェスチャーとかで会話した分、少し情が湧いて始末しづれぇー!!


先入観かもだけど

10歳と同じ知能っていうのも、なんか10歳児殺すみたいで抵抗あるし、かといってゴブリンって害悪すぎて討伐依頼しか出てないから、このままギルドに持っていってもなんだよなぁ。


うーん。

悩むの面倒いからコイツこのまま置いていくか。

一瞬使い魔的な感じで街に連れてこうかと思ったけど、やっぱゴブリンって見た目キモいし、ツラもよく見るとヤバい顔してるし。かと言ってなんかコイツ殺すの気がひけるし、一旦ここに置いてこう!


ゴブリン「ギャギャ!?ギャー!ギャー!」(手を合わせて出してくれ的なジェスチャー)

俺「いやいや、害悪指定されてるモンスターを逃すのは出来ないし、かと言って今殺すのも嫌だし、お前も今殺されるより一旦ここに置かれる方がいいっしょ!?」


ゴブリン「ぎゃ、ぎゃあ…」(急に正座して大人しくし始めた…)


という事で、とりあえずここに置いといて、一応コイツの巣を潰しに行こうかな。


そう思い、巣に向かっていると最初にゴブリンを発見した場所へ着いた。

そこで俺は再びゾッとする事になる。

あ、あれ?なんか甲冑が残ってる…

いやだって、さっき幻覚解いたのに…


あの甲冑幻覚じゃないの??

いかんいかん。疲れてる。おそらく昨日の酒場での疲れだ。忘れよう。


いったん深く考えるのをやめて、そのまま巣へ向かった。

ゴブリンにはスキルは効かないかもしれないが、さっき戦った感じ的に俺の相棒の「小三郎(魔法杖)」で軽く撫でるだけで倒せたし、多分楽勝だから小遣い稼ぎだ。


巣にはゴブリンが外に15匹くらいいた。洞窟の中には何匹いるか分からないし、外出してる個体もいるだろうから魔法で洞窟の中爆発させて外の個体を殴り倒す作戦で行こうと思う。


そう。爆発魔法なんて使った事は無いし、あるかなんて分からないが何となく出来そうな気がする。

俺「万象を焦がす混沌の火種。持たざる者は狩る事を許されず。

故に火は力、火は命、そして始まりと終わりの使徒なり!巨獣を穿つ終焉の焔よ我が元に集え!喰らえぇぇ!!大◯ル爆弾G!!!」

魔法!身体能力強化!!軽量化魔法!ベクトル固定魔法!!

両手で頭の上に持ち巣に投げつける!

「オラァ!!」


何も知らないゴブリン達「ギャ…?…ッ!?ギャギャギャッ!!?」


轟音と共に巣が爆発し、粉塵と瓦礫が宙を舞う。



き、気持ち良すぎる……。


そこへ外にいたゴブリン達が爆発音を聞き、巣へ戻ってきた。


さぁて、残りは小三郎(魔法杖)の餌食になってもらうぜぇ!!

そんなテンションで残りのゴブリンをボコボコにした。


そんなこんなで充実した1日だったので、帰ろうと来た道を戻っていると、先ほどの場所から甲冑が消えていた。


あれ?と思いつつもまぁ、時間差で消えたんだろうと思う事にした。


そして檻の場所へ着くと目を疑う光景があった。

なんと幻覚魔法で出した女騎士がそこにいたのだった。


女騎士「そこのお前!先ほど消えろと魔法で私を街中に飛ばしたな!!やはりお前が犯人か!!王国騎士団員である私にこの狼藉!許せぬ!!」


そう言いながら襲いかかってきた。


俺は狼狽えながら、「落ち着いてください!何かのまちがいです!」

と言っても

女騎士「うるさい!!本当に!本当に!体が動かずゴブリンに犯されると思ったんだぞ!!その上、あの格好で街中に飛ばされて!!絶対許せない!!殺す!!」


ご、ごめん!!とりあえず「知能低下!!」

ふ、ふぅ。マジびっくりした。え?やっぱ幻覚魔法じゃなかったっぽい?

色んな違和感気にしないようにしてたけど、幻覚じゃなくてマジもんの人間移動させただけっぽいな。


そんでもって女騎士にはぼちぼち効き目があるようだ。多分俺より少し賢い程度か。

ひとまず、アホになってるうちに事情を聞く。


彼女の名前はアレイラ21歳、貴族の出だが、男まさりな性格な為騎士に憧れて騎士団へ入団。実力的には上の中くらいで、もう少し頑張れば副隊長?とかになれそうらしい。スキルは剣術系のスキルを豊富に持っているようだ。

ちなみに身長と体重とスリーサイズは「168センチ、61kg、92、65、95」らしい。

さっき裸少し見ちゃったけど、まぁなかなか筋肉しっかり鍛えてて、本物の騎士って感じがして凄かったもんな。

そんで、俺の事はしっかり覚えてるし、さっきまでムカついてたけど、今はなんか平気なようすだ。


ついでにスキル検証として胸触っていいか聞いてみたらダメって言われた。やはり効き目が薄いようだ。

その他家庭環境や昔のこと、記憶に関わる質問はきちんと答えていて、先ほどまでの俺に対する怒りなど、感情的な部分はかなり落ち着いていた。効き目が強くなると記憶の方まで作用するということは、この会話も覚えているんだろうか??


少し時間を置いてようやくスキルの効果が切れた。

アレイラ「は!?何だったんだ!?今のは!!私、なんか凄いペラペラと話してなかったか!?お前は何者なんだ!」

やはり、スキル効果中の記憶を持ってる。やべ、変な事聞いちゃったけど何とか誤魔化せないかな?


俺「すみません。本当に申し訳ありませんが、私のスキルで少し落ち着いて貰っただけです。また、最初の件についても誤解というか、幻覚魔法でゴブリンを誘き寄せようとしたんですが、間違って転移魔法なのかなんなのかが発動したみたいで、あなたの事ずっと幻覚魔法だと思ってたんです。(以下ry」


とりあえず今までの経緯を話しした。

全然納得してくれなかった。


アレイラ「嘘をつけ!!魔法というのは研鑽と知識の果てに使える技術!間違えて違う魔法が発動しましただ?そんな馬鹿みたいな話あるわけないだろ!!嘘に嘘を重ねるなどと、やはり貴様悪者だな!!」


俺「いや、本当に違います。俺、異世界から召喚されて来たんです。魔法とかも覚えたばかりで、幻覚魔法も使えるかどうか分からなかったんですが、試しにやってみたらあなたが出てきたんです。」


アレイラ「異世界…?そういえば先日王国の神官達が召喚魔法を成功させたと聞いていたが、それがお前なのか!?」

俺「そう!そうです!」

アレイラ「なるほどなるほど。ってそんな重要人物が王国から離れてこんな所にいるかぁぁぁ!!!」

と切り掛かってくる


俺「うわぁ!!あっぶなっ!!マジですって、なんか金渡されて旅立て!みてーなこと言われて、ひとりでなんとか頑張ってんですよ!!」

俺「そんな重要人物とかいいながら、神官みてーな人に軽く説明と金貨渡されて、ポイですよ!?なんなら普通国王様とかにあって魔王討伐とかの依頼くるのかなって思ってたのに、普通に追い出されましたもん!!」


アレイラ「ん?いや、普通に召喚成功して陛下と謁見したって聞いたぞ?そんで今は王国の客人として魔王討伐の準備と訓練をしている。私は担当する地区が違うから会ったことはないがな。つまり、貴様のは全て嘘だ!!勇者の名を騙る不届者め!」


スキル。知能低下。


はい。


ちょっと待った。マジ信じられない事言ってなかった?この子。

俺とてもそんな扱い受けてないんですけど?あれ?もしかして召喚者って俺だけじゃない?他にもいる感じ??


そんで、こっちの方が見込みあるから、こいついらねーや的な?

あれ、そんなパターンあるの!?女神様にS級スキルでとかめっちゃおだてられてたから、他にも召喚者いるなんて夢にも思って無かったけど、俺当て馬的な感じ?


ふ、ふっざけんな!!マジで!

まぁ、なんか復讐系のラノベみたいな酷い扱いを受けた訳ではないけど?いやでも実際さ!俺がこの世界を救う唯一の希望!!みたいな気持ちでいたのに、本命が俺じゃないとかめっちゃ凹む。


いやいやいや、最初から正直に言ってくれよ…


はぁー、でもしゃーない。だからといって帰れる訳でもないし、どのみち女神からの報酬目当てで頑張るしかねーからやるけど。


ところでこの女騎士どうすっかな。この調子じゃ俺にずっと切り掛かってくるけど、かといってほっとくと勝手に指名手配とかされかねないし。

とりあえずリーリアさんに相談するか。


そう思い、もう色々めんどくさくなった俺は檻のゴブリンを始末し、女騎士をその中に入れ、街まで連れて帰ったのだった。

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