94歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
「これは酷いな……」
「ここまでするんですね……」
「よくある光景よ。この国ではね。100年生きてれば見慣れてしまう……でも……慣れない……」
その村だった場所には村人全員の首があった。顔はほとんどカラスに食われたのであろう。目などは無いものがほとんどでカラスが未だに空を飛んでいた。
「人がいなければ税が取れない。税が取れなければお上が困る……それでもここまでするのね……」
「反逆を企てている。数で圧倒してる農民たちがそれに気づく前に潰す。そうしないと自分達が潰されるから……」
「最低の考えね。でも理に適ってる。」
クラリスが魔法陣を書きながらサクラと話をしていた。クラリスは言葉の端々に怒りが篭ってるのが見て取れた。
「チヨちゃんは無事ですかね?」
「心配ない。無事でなければクラリスが向かうからの。」
「えっ?それってどういう?」
サクラはチヨにあげたぬいぐるみの効果を知らないのでダークが解説してあげた。
「……魔法ってなんでもアリだね。」
「まぁ、大抵の事はの。」
あのぬいぐるみの効果を聞いたサクラは魔法というものが便利過ぎて引いていた。
「まぁ、それは置いといて。この人たちを浄化してあげましょう。」
怒る気持ちを抑えて魔法陣を書き上げたクラリス。そこへ遺体を置いていく。
「どうか、迷わず天国へ……」
クラリスが手を合わせると魔法陣が光出した。すると遺体の損傷はみるみるうちに治っていく。
「ごめんなさい。あなたたちの平穏を壊してしまいました。私にできる唯一の償いです。どうか……安らかに。」
光が消えていくと魔法陣の中にあった遺体は消えていた。
「あの人たちどうしたの?」
「自然に還したのよ。これ以上辱める必要ないでしょ。」
「そうね。それでこれからどうするの?」
「まずはチヨちゃん達のところに行きましょうか。その後はリーフ達のところに戻るか、村の人達の仇を取るか決めましょう。」
くるりと背を向けクラリスは歩き出した。その後ろをダークとサクラが付いて行く。村の少し離れた場所にはエールとボタンが待っていた。ボタンがあまりの瘴気に耐えきれなかった為、2人で待っていてくれたのだ。
「2人ともお待たせ。ボタンは大丈夫?」
「うん……瘴気もだいぶ薄まったから平気。今までにあんな死臭嗅いだ事なかったからごめんなさい。」
「謝らないでいいよ。あんな澄んだ場所に居たら人の死臭なんて嗅がないものね。」
クラリスはボタンの頭を撫でてあげた。
「じゃあチヨちゃんに会って行きましょう。」
そうして5人は歩き出した。
その頃リーフ達はというと……
「遅いわね……」
「遅いですね……」
物凄いオーラがリーフとフロールを纏っていた。
「ウール……ここ最近あの2人機嫌悪いよね……」
「そりゃー……もう数週間会ってないんだからね。」
「明日も明後日も帰って来なかったら……」
「私たちの修行が過激になるわね……」
リーフとフロールに翻弄される日々である。するとフロールが立ち上がる。
「リーフさん。風魔法で様子見れますかね?」
「うーん……もしかしたら出来るかもしれないけど、やった事ないもんなーでも……やってみる価値はあるかも!」
リーフも立ち上がり2人で魔法開発を始めた。そして、少し離れてた場所のウールとニコラを呼んで発案をお願いした。
「これは風魔法専門のウールが良い案ありそうじゃない?」
「えっ、私⁉︎」
ニコラに推薦されて驚くウール。しかし何も考えてなかったウールは驚く事しか出来なかった。
「無いなら無くていいわよ。私も何も良い案出来てないから。」
「うー……無いです……」
リーフにフォローされてとりあえず考えが無い事をウールは伝えた。フロールも天候を扱っているので風の魔法も使えるが……
「私もないですね……でも、風とあと何かがあれば出来そうな気がします……」
「何かか……あっ!」
ニコラは何か思い付いたらしく声を上げた。
「ニコラ、何か思いついたの?」
「うん!もしかしたら上手く行くかも!」
ニコラは近くの木から葉っぱを取ってきた。
「リーフは夜寝る時に木々に監視して貰ってるんですよね?」
「そうね。何かあったら木々や草花が教えてくれるわよ。」
「だったら、この葉っぱに魔力を込めて風で飛ばせば!」
「なるほど!クラリス達がどこに居るのか分かるわけね!」
「そういう事!」
という事でリーフは木の葉を作り出した。一つ一つに魔力を込めて。そしてフロールとウールで風魔法でつむじ風を作り出した。
「「「「飛んでいけ!」」」」
そして4人で木の葉を見送るのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は3月20日日曜日の15時です。お楽しみに!
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