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92歩目

お待たせしました。

それでは本編をどうぞ!

 翌日、クラリス達はオオクニヌシの元へ行っていた。


「あー……頭いてー完全に二日酔いだー。」

「なんじゃ、神様も二日酔いになるのか?意外じゃな。」


「そういうお前さんは二日酔いになってねぇーな。妖精というのは化け物なのか?」


 お互いに皮肉を言い合っているが、目が2人とも笑っていた。昨日の酒で仲が良くなっていた様だ。


「さて、クラリスさん。祭壇へ。」


 そう言うとオオクニヌシは奥の祭壇へと向かった。その後ろをクラリス達はついていく。


「ああ、皆さんはここで待っててください。これより先は神域ですので。」


 クラリスについて来ていたダーク達だったがお付きの者に止められてしまう。


「なんじゃ、わっちらは入られんのか。つまらんの。」

「ごめん。みんな、少し待ってて。」


 クラリスが部屋へ入ると扉が閉まった。


「あの……ここは私しか入られないのですか?」

「というより、人など入ってはならん場所だ。入ったのは君が初めてだ。」


「ではなぜ?」

「聖天の剣……まさか人の手に渡っていたとはな……君が昨日戦神に撃った最後の技。あれは人が使えるものではないんだ。」


「そうなんですか?」

「ああ、本当なら今すぐ回収して封印したいところだが、その剣は君の事を気に入っているらしい。だから君に力を与えている。」


「えっ?」


 急な事にクラリスは驚いた。ただの儀式と言われてたので身構えてしまう。


「君には神と同等の存在になってもらうよ。」

「神と同等……ですか?」


「ああ、君が不老不死なのはここに来る前から知っていた。だが、それだけではその剣は言うことを聞かなくなる。だから神力を持って制さなければならないのだ。」


「そ、そんなに危険なんですか?」

「ああ、その剣は遥か昔、空と大地を裂いたとさえ言われている。他にもその剣を振った事で雲が割れ長きに渡って降り続けた雨を終わらせたとも聞く。」


「だから聖天の剣なのですね。」


 剣の名前の意味を理解したクラリスだが、どうやって神に近づくのかは未だに分からずにいた。


「そこで君に私の神力と彼の神力を与えよう。」

「彼って……戦神さん⁉︎」


 そう言うと奥から戦神が現れた。流石に予想していなかったのでクラリスは驚いた。


「どうして戦神さんが……?」

「何、負けたままではおられんし、他の神落ちにやられたとあってはこの戦神の名にも傷が付く。だから力を渡すのだ。」


 顔を背けながら照れ臭そうに話す戦神にクラリスはクスクスと笑うのであった。


「さて、儀式を始めよう。」


 そうして儀式が始まった。オオクニヌシは巻物に書かれている文字を唱えていく。


「さぁ、クラリスさんこちらへ。」


 オオクニヌシに呼ばれてクラリスはオオクニヌシと戦神の間に立った。


「彼者を神化(しんか)へ。」


 するとクラリスは今まで体感したことのない何かが身体の中に入ってきたのが分かった。そして周りは白い光に包まれた。


(何この力……)

「心を沈めなさい。大丈夫です。」


 オオクニヌシに肩を支えてもらってなんとか立っていた。


「今あなたの中に入って来てる力は神の力が神力です。神通力とも言いますが……」


(なんか……口調が優しい……)


 先程まで男の人の様だった口調がやけに優しくなっていたのでクラリスは少し違和感を覚えた。


「気にしないで下さい。今は儀式中なので口調も性格も変えているだけですので……」

「えっ?心を読んでるんですか?」


「この空間にいる時だけですよ。さぁ、続けましょう。剣をこちらに。」


 クラリスは聖天の剣を手に持った。


「これよりこの者がこの神具の担い手となる。我、オオクニヌシの名においてここに誓約する。名をクラリス。神具、聖天の剣。」


 オオクニヌシの言葉が終わると白い光も消えていった。


「これで終わりだ。ご苦労であった。」


 オオクニヌシが手を退けるとクラリスはそのまま座り込んだ。


「おいおい、腰が抜けたのか?」

「まぁ、意識があるだけ凄いだろ。神連中ですら力のない奴は意識を失うからな。」


 戦神とオオクニヌシが話す中クラリスは剣が先程より重くなったと感じていた。


「さぁ、戻ろう。お仲間も心配しているだろう。肩を貸そう掴まれ。」

「ありがとうございます……」


 クラリスはオオクニヌシと戦神に掴まりゆっくりと歩き出した。


「おお、ようやくか、またくたびれたぞ。」

「えっ?そんなに待たせたかしら?」


「何を言っておるもう夕方じゃぞ?」

「うそ⁉︎まだ入って10分位のはずよ……」


 クラリスが驚いているとオオクニヌシが説明してくれた。


「そういえば説明してませんでしたね。この中は神域の為に時間の流れも違うんだ。我ら神々には時間の概念はあまりないゆえ知らせるのを忘れてた。」


「先に言わんか!皆ここで半日待たされて心配していたのだぞ!」


 ダークが怒るのも当然であった。


「よし、ならば今日は下界へ行くか。もちろん奢りだ!」

「ふむ。それなら許す。」


 という事で久しぶりの地上に戻るのであった。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新は3月16日の午後21時です。お楽しみに。


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