90歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
クラリスの一撃で地面が割れていた。
「こ……こんなに凄いの?」
放ったクラリスが1番驚いている有様である。一方戦神はというと……
「危なかったですね、戦神。あの一撃をまともに受けていたらあなたは消えていましたよ。」
オオクニヌシは戦神の前に立ち結界を張っていてくれたのだ。国を護る神だからこそ出来た所業である。
「……」
「それでどうします?まだ彼女と戦いますか?」
「いや、俺の負けでいい。」
「だそうですので、クラリスさんあなたの勝ちですよ。」
気楽にそういうオオクニヌシに影響されたのか全身の力が抜けたクラリスは地面にへたり込んだ。しかし、オオクニヌシの右手は焼け爛れていた。結界で護ったとはいえこの威力である。
「ふぅー……良かった、初めて使ったけどこれは本当に切り札ね……力をほとんど持ってかれた。」
ぽつりとつぶやいていると、ダーク達が駆け寄って来た。
「この馬鹿娘が!」
そしてダークからいきなりゲンコツをかまされた。
「いったーい!何すんのよ!」
「それはこっちのセリフじゃ!なぜそんな物をお主が持っておる!そしてなぜわっち達に伝えておらんのだ!」
「だってー!」
どうやら隠し事をされていた事に怒っているダークであった。
「それは……この剣を貰った時に女神様に言われたのよ。この剣は神具だから人相手には決して使ってはいけない。って、そして神様と戦う時も安易に出してはいけないとも言われてたの。」
「何故じゃ。その剣を使えばバンデスも蹴散らせたじゃろう?」
ダークの疑問にエールも頷いた。
「神様も邪神に堕ちた神もいるし、そういう神様は大抵神具を封印されてるから奪われる恐れもあるそうなの。だから使えなかったのよ。神様を剥奪された者でも神具を持てば復権してしまうみたいなのよ。だから……」
「なるほど、お主の言い分は分かった。じゃがな……それを黙っていたのとは話が別じゃ!一言言っておけ!たわけが!」
やはり隠し事をしていた事が1番許せなかった様でもう1発ゲンコツを貰うクラリスでした。
「話は終わりましたか?」
ダークのお説教の頃合いを見てオオクニヌシと戦神が向かってきた。
「ええ、話はまた後でにする。」
「そうですか。では、宮内に戻りましょう。今日は我が宮に泊まって行くといい。」
「良いのですか?」
「何、クラリスさんも疲れておりましょうし、休んで行って下さい。そして新たな神具の担い手でもあるクラリスさんには儀式に参加してもらわなければなりません。」
「えっ?私?」
クラリスはなんの事という感じである。
「そんな堅苦しいものでは有りません。神具を持った人間に我々が加護を与えるだけですので。我が国だけの儀式ですが、受けて頂きますか?」
「分かりました。お受け致します。」
クラリスが了承するとオオクニヌシは微笑んだ。
「稲荷よ、この者達を部屋へと案内してくれんか。」
「嫌です。私はあなたの配下ではありませんので。」
「急に来て話を聞いてやった恩はあるだろう?」
「話をしたのな私ではないぞ。」
「連れて来たのは君だ。頼んだぞ。」
「しゃーないか。じゃあ皆さん付いて来てください。」
嫌々ながらも指示に従うところを見るとこの2人の先程の会話はただのじゃれあいに見えるクラリスだった。
「お2人は仲がいいですね。」
部屋へと向かう途中稲荷に話しかけたクラリス。
「ただの腐れ縁だ。」
「長い付き合いなのですか?」
今度は後ろからエールが聞いてくる。
「まぁな。何度もこの国にくる災いを退治してきたのだ。戦友とも言える。」
「戦友ですか……」
クラリスは何故かその言葉を口に出してしまう。
「クラリスさん?」
「ああ、大丈夫よ。なんでもない。」
少し陰を落としていたらしくサクラが心配そうに見てくる。だが、クラリスも心配かけない様に笑いながら大丈夫と伝えた。
「まぁ、オオクニヌシは物凄い力を秘めてる神だ。伊達にこの国を治めてはおらんわけだ。さぁ、着いたぞ。この部屋を使ってくれ。」
「ひ……ひろ〜い!」
「5人ならこの位普通だろ?じゃあゆっくりしていてくれ。」
案内を終えた稲荷は部屋を出ていく。
「あ、ありがとうございました!」
クラリスがお礼を言うと稲荷は手を振って応えるのであむた。
「2日続けて野宿じゃないっていつ以来ですかね?」
「妖精の里を出てからは初めてかも!」
エールとクラリスは感動のあまり涙を浮かべていた。ダークは昨日の宿同様座ってくつろいでいた。ボタンとサクラは部屋をあちこち開けて部屋を探索していた。
「さて、クラリスよ。先程の神具。改めて見させて貰えんか?」
「えっ?」
ダークの言葉に素っ頓狂な声を出すクラリスであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は3月12日土曜日の15時です。お楽しみに!
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