87歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
「ふぅー満腹!」
「久しぶりにここまで美味いものを食べたのう。」
「動けない……」
「ゲップー……」
「私は少し物足りないです。」
エール以外は満腹の様である。
「このまま寝たいね。」
「でも、明日からの予定立てないと……」
クラリスの真面目さにダークも起き上がる。
「仕方ないの。では、何をする。」
「出雲という場所まで後どのくらいかによるわね。明日の朝に出発して向かう?」
「ああ、それでしたら……」
エールはサクラが動けないので先程聞いた事をクラリスに伝えた。
「ええー、そうなの?それならここでしばらく過ごす?」
「馬鹿者!そんな事をしていたら直ぐに貯金が尽きるわ!」
「まぁ、それもそうよね。じゃあどうしようかなー。」
「今ある貯金はいくらなんですか?」
エールの問いかけにダークは財布を出した。
「ええーっと、金貨が150枚、銀貨が1000枚。これだけじゃあ確かに少ないですね。」
ここでいう金貨一枚は一両、銀貨一枚は一銭である。
「何か仕事があれば良いんだけどね……」
「うーん……明日少し街を散策してみましょう。仕事があるかもしれません。」
「そうじゃな。探してみるか。」
という事で、明日は仕事探す事になり今日は眠る事にした。
翌日……朝食を摂ったクラリス達は街を散策し始めた。
「改めてみて回ると見慣れないものばかりね。」
「ええ、屋根も私たちの国とは全然違います。」
「あまりキョロキョロするでない。田舎者と思われるぞ。」
「「はい……」」
ダークに指摘されて気をつけるクラリスとエール。
「まあまあ、初めて見るのならそうなるよ。そうだ、せっかくならお稲荷様に会って行かない?」
「「お稲荷様?」」
再び聴きなれない単語にクラリスとエールは小首を傾げた。
「ほら、あの山の上、沢山の赤い鳥居があるでしょ?あの上にいるんだよ。」
「ええっと?人なの?」
「ううん、神様だよ。」
「そうなんだ。会えるのかな?」
「えっ?出雲のオオクニヌシ様に会うんでしょ?ならここの神様に会えるんじゃないの?」
「「「あっ……」」」
クラリス、エール、ダークは同時にボタンを見た。
「会えると思いますよ。私の事は知ってるはずですから。」
「えっ?そんな簡単に会えちゃうの?ボタンはそんなに偉い立場なの?」
「そんなに偉くないですよ。ただの神様に仕える狐ですよ。」
コロコロ笑ってるボタンが何を思ってるのかわからないクラリスでした。
そこから昼過ぎまで歩いてお稲荷様が祀られてる伏見稲荷神社という場所へ来ていた。
「はぁ……はぁ……階段多くない?」
「毎日通えば足腰鍛えられそうですね。」
「お主らは鍛え方が足らんの。このくらいの階段くらい息を切らすでない。」
「なんでダークは平気なのよ!」
クラリスとエール、サクラが肩で息をしてる中、ダークとボタンは平然としているのだった。
「おや、お客さんかと思えばボタンではないか。こんな所で何をしておる?」
「あ、お稲荷様。お久しぶりです。」
「挨拶はいい、何をしているのかを聞いておるんだ?」
「はい、異国の来訪者をお連れしました。」
「ふむ。その者達か?」
「はい!」
ボタンは後ろにいたクラリス達を紹介した。
「はじめまして、クラリスと言います。」
「ああ、よろしく。して、この様な場所に何様かの?まさか観光というわけではないのであろう?」
「はい。実は……」
「ちと待て、長話になりそうだな。場所を変えよう。」
そして、お稲荷様は指を鳴らした。するとあっという間に部屋へと来ていた。
「瞬間移動ですか?」
「なーに、私はちょこちょこ遠出をしなければならなくてな、その為にも必要な術だ。さっ、座ると良い。」
そう言うとボタンの様にキツネの耳を生やした子供達がクラリス達の後ろに座布団を敷いてくれた。クラリス達はお礼を言って座らせてもらう。
「では聞かせて貰うかの。」
「はい、実はですね……」
クラリスは今までの事を話した。創造神の事や自分が他国では指名手配犯である事などなど……
「なるほど、にわかに信じがたいが、それで私たちに何を望むのだ?」
「信じてくれるのですか?」
「私も神だ。お前さんが嘘を言っておるのかおらんのかくらい見通せる。」
「ありがとうございます。」
「礼を言えとは言っておらん。お前たちは何を望むのかを聞いておる。」
「望むものですか?ええと、私からは特には……」
「クラリス、お主はもう良い。ここからはわっちが話す。」
「そなたは?」
「妖精界にて、暮らしておりますダークと申します。」
「ほう。して望みとは?」
「まず、クラリスを守ってほしい。」
「ほぅ。」
「相手は神様じゃ。1対1なら戦えるが、民衆ごと敵になられたら流石に何も出来んのでな。」
「なるほど、つまりそのバンデスという創造神がこの国で悪さをしないようにすればよいのだな?」
「そうじゃ。」
「まぁ、この国を守るのは私どもの務めでもある。他国の神々に好き勝手されるのも気に入らん。良かろう。オオクニヌシにも伝えておく……いや、今から行くか。出雲へ。」
「えっ?」
「「「「「えーーーー!」」」」」
お稲荷様の急な提案に驚く5人であった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は3月5日土曜日の15時です。お楽しみに!
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