85歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
エール達がお風呂に行ってダークと2人きりになったクラリス。
「2人っきりだね。」
「そうじゃな。茶でも淹れてくれんか。」
「ええ、いいわよ。」
クラリスはお茶を淹れようとしたが茶葉などが見当たらず探していた。
「ないから、私の持ってるお茶っ葉から淹れたのでいい?」
「それしかないのだろう。淹れてくれ。」
クラリスは収納魔法から水とお茶っ葉などを取り出してお茶を淹れた。
「なかなか手慣れておるな。」
「まぁ、お茶くらいわね。」
「料理が出来んもんな。何故お主は料理が出来んのじゃ。」
「うーん……何でだろうね。」
そんな会話をしつつもお茶を淹れたクラリスはテーブルにカップを置いた。そうして2人でお茶を飲む。
「うむ。上出来だな。」
「ふふふ。ありがとう。」
ダークが素直に褒めてくれたのでクラリスも素直にお礼を言う。そして、クラリスが話始める。
「ねぇ、ダーク……チヨにあげた人形って何かしてあるの?」
「何故そう思う?」
「いや、なんとなくだけど……」
「まぁその読みは当たっておるな。」
「やっぱり……それで、どんな仕掛けをしてあるの?」
「うむ。1つは安らぎを与えてくれるのじゃ。不安がある時にその不安を吸い取ってくれる。あやつは臆病な性格みたいじゃし、この前の事件もある。機能としては充分じゃろ。」
「確かにね。あんな大人たちに袋叩きにあってるからしばらくは不安でしょうね。それで2つ目は?」
「2つ目はあやつを守ってくれる防衛機能じゃ。」
「えっ?どうやってよ?」
「簡単じゃ。あの子に危機が迫ると自動的に守りの魔法が発動する様にしておる。大体の事はこれで対処出来るはずしゃ。」
「よく出来てるわね。私にも作ってよ。」
「お主は自分で守れるじゃろーが。」
ぷくーっと頬を膨らませるクラリスだが気にせずダークは続ける。
「最後はクラリス、お主を呼び出すんじゃ。」
「はい?なんで?」
いきなり自分が強制的呼び出されると聞いて驚くクラリス。まぁ当然である。
「もしあの人形の力でも守れなかった場合あの子は死ぬ。そんなの見たくないじゃろ?」
「いやいや、それは見たくないけど、そこまでして助ける理由あるの?私たちは正義の味方じゃないわ。たまたま困ってる人がいたら助けて来ただけよ。」
「理由はある。あやつは将来凄腕の魔法使いになる素質があるんじゃ。この国ではそれは叶わず平凡な人生となるが、あやつに魔法使いとしてのノウハウを叩き込めば人生が大きく変わるのじゃ。」
「それは心眼で見たの?」
「心眼など使わなくてもよい。手に触れればどのくらいの魔力量かは分かる。はっきり言うがの。あの子とサクラの魔力量の容量はわっちと出会った時のクラリスお主の比ではないぞ。」
「えっ……」
流石に驚きすぎて声も出ないクラリス。そうしてダークはお茶を一口飲んで外を見た。
「世界は広いの……クラリスよ。こうして外の世界を見て回れるのは何百年ぶりかの……」
「何よ急に感傷的になっちゃって。それにちょこちょここの国には来てるんでしょ?」
「細かい事を言うな。まぁ良い、今回の旅はクラリスにとっては災難じゃったが、わっちとしてはお主と初めて旅をして楽しんでおるのじゃ。」
「そうなのね。」
「うむ、お主がどれほどリーフに負担をかけておるのかもよく分かった。」
「そこは……ごめんなさい……」
「良い。お主を責めるつもりはない。お主は正義感が強く責任感もある。だからこそ自分のせいでと思い込んでしまい暴走する。違うか?」
「まぁそうね。」
怒るわけでもなく、叱るでもなく、ただ言い聞かせてる様に話すダークにクラリスも少し考えてしまう。
「じゃからもう少し感情をコントロールせよ。この旅で習得せよとは言わん。じゃから少しずつ掴んでいけ。もうそろそろ感情のコントロールせんとリーフだけでは済まなくなるぞ。」
「でも、どうすれば……?」
「ボタンに手伝ってもらう。」
「ボタンに?」
「ああ、あやつには心を癒す術を持っておる。あやつの修行にもなるからの。2人の修行に良いじゃろ。」
まだボタンの能力を理解していないクラリスはいまいちピンっときていない様子である。
「今は分からなくてよい。じゃが暴走した後のあやつらの顔をまた見たくはないじゃろ?」
ダークに言われて思い出す。フロールやリーフ、エールやニコラが心配していた顔を……
「そうね……じゃあダークよろしくね。」
「うむ、では、そろそろわっち達も風呂に行くとするかの。」
「そうね。行きましょうか。」
そうして2人も風呂へと向かう準備をするのであった。
その頃リーフ達は……
「なかなか強くなったわね。ニコラ。」
「リーフさんやクラリスさんに早く追いつきたいからね!」
リーフ達は4人で特訓をしていた。
「ニコラ本当に強くなってるわね。」
「何言ってるの。ウールだって強くなってるじゃない。」
「まぁ、物凄いスパルタだったから……うっ、思い出しただけで吐き気が……」
「あらあら……」
気分を悪くしたウールの背中をさするフロールであった。
「まだまだ行きますよ!」
「来なさい!ニコラ!」
「「はあああ!」」
こうして4人は今日も特訓を繋がるのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は2月27日日曜日の15時です。お楽しみに!
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