7歩目
お待たせしました。
ここからは読切の続きとなります。
それでは本編をどうぞ
クラリスとフロールは山の奥地にいた。
「ふぅー少し休憩!フロールは大丈夫?」
「ええ、私は全然平気です。」
今は川のほとりで2人で休んでいた。街を出て2日目になるが、魔物はおろか動物すらいなかった。
「なにか変ですね、この山…魔物はともかく動物すらいないなんて…」
「そうね、魔物はこの前街でほとんど倒したから良いとして、野生動物。特に小動物もいないなんて…」
フロールの疑問にクラリスも同じ疑問を持っていた事を話す。
すると…
「あークラリス!こんな所に居た!」
「ん…どこから声が…?」
「あっ!ヤバイ!」
フロールは声の主を探し、クラリスはしまったという表情をする。
「もぉ!クラリスのせいで私、休暇から帰ってきて早速大目玉よ!どうしてくれるの!」
頭上から降りてきたのは、妖精の様な少女だった。背中には羽があり、髪は薄い緑色で瞳の色は深い緑。肌は白く。葉っぱを使ってる様な服を着ていた。
「ごめんなさい!忙しかったからつい…」
「それに…私に内緒で浮気?いい度胸ねー…」
「う、浮気って私は誰とも付き合ってないわよ!」
「クラリスさん…私にキスしておいてどういう事ですか⁉︎」
「キス…?私にはしないで他の子にするなんて…」
「フロール!それは今関係ないでしょ!」
「「大アリよ!」」
2人に怒鳴られるクラリスだった。
「ええーと、では紹介します。この子は私の監視役兼使役関係のリーフ。樹木の妖精です。」
「どうも…リーフです。先程は失礼しました。」
「いえ…こちらこそ…私はフロール。流れる物を操る妖精です。使える魔法は風と水です。」
「風と水!私たち仲良くなれそうね!」
「ええ?そうなのですか?」
「当たり前よ!水があるから木々は育つし、優しい風を生み出す事が出来るのよー仲良くしましょうね!」
「は、はい!では、この子とも仲良く出来るかもしれませんね。ウール!」
「呼んだ?どったの?」
「この子は私が育てている精霊でウールです。」
「えっ?何この子可愛い!」
リーフはいきなりウールに飛びついた。
「な、なんだこいつは!は、離して!」
「だーめ!気にいっちゃった!」
リーフはウールを抱っこしたり頭をなでなでして可愛いがっていた。ウールはというと…
「うぅーもう好きにしてー…」
根負けして好きにされていた。
「リーフ。そろそろ戻っておいで、話が進まない。」
「はーい。」
そのままウールを抱えてこちらに戻ってくる。どうやらウールのおかげで機嫌は治った様だ。
「まぁ、とりあえず休暇どうだったの?」
「うん、楽しかったわよ!クラリスが面倒事を犯さなければもっと良かったのに!」
ジト目でリーフはこちらを見てくる。なので話題を変える。
「そういえば、フロールも妖精なのに羽がないよね?どうして?」
「あっ!話変えた!」
リーフを一旦スルーし、クラリスはフロールの方を向く。
「私は今魔力不足なので、羽を出すことは出来ません。わたしの想像以上に魔力が枯渇してたみたいなのでまだしばらくかかります。」
「そうなのね。」
「ねぇ、フロールとウールはどうしてクラリスと一緒にいるの?」
リーフの疑問は最もなので、今度はしっかりと答える。ここ数日の出来事についてを。
「はぁ⁉︎何よそれ!何処の土地神よ?私が直談判してくるわ!」
「まぁまぁ、落ち着いて、もう解約はしたし、今は静養中だから安静にさせてあげよ。」
「クラリスの意見は今は要らないの!フロールはどうして欲しい?私が妖精界の上層部に言えば、然るべき処置をしてくれるわよ?」
「私は…大丈夫です。あとは魔力が回復すればいつでも帰れるんだし。それに…今はクラリスさんの側に居たいの…」
「そう…でも、何かあったら私に言ってね!同じ妖精なんだから遠慮しないでね!」
「はい!ありがとうございます!」
「ねぇーリーフ…私はいつまで頭を撫でられ続けられるの?」
「うーん…もう少しねー風の精霊は良い匂いがするのよーだからもう少し。」
「あぅー…」
(凄い…あのツンデレのウールを手名付けた。)
「それで、今回はなんで怒ってるの?浄化の魔法を使ったから?」
「それは良いのよ、必要だって分かってるから、ただ一言言って欲しかったのよ!しかも魔力が少ない時にしたから魔法庁の魔力を勝手に借りたことになってたの!だから怒られたのよ!」
魔力庁は妖精の里で魔力を管理してる機関である。主に妖精と契約しているものが魔力が枯渇してる時に引き出せる場所だ。本来は妖精を通じて貰うのだが、今回は非常事態だったので勝手に借りたのだ。
「あー…ごめん。でも、リーフ休暇中だったから呼ぶのも悪いかと思って…」
「そのくらいの事で怒らないわよ!」
「えー…でも行く前凄く楽しそうにしてたし…わざわざ私に言って行くくらいだったし…」
「そりゃー楽しみにしてたわよ。でも、クラリスの頼みならすぐに駆けつけるわよ!」
「あー…ごめんなさい。次は気をつけます。」
「もぉー!これからは気をつけてよね!あと、これからは私もクラリスに同行します!」
「えっ?なんで?」
「フロールの事もあるけど、クラリスが無茶苦茶しない為によ!」
「私の無茶はいつもの事だけど…」
「分かってるならしないでちょうだい!」
リーフから盛大に怒鳴られるクラリスでした。
その日の夜は山で野営をした。夕食を食べ終わるとウールは風の中へ帰った。そしてクラリスが眠ってから少し経ってフロールはリーフに話しかけた。
「ねぇ、リーフさん…」
「リーフでいいわよ、どうしたの?」
「えーと…クラリスさんってどんな方なんですか?」
「どんな方って…うーんあの子はとにかく真っ直ぐな子よ、そして、困ってる事があったら絶対見捨てない子よ、人であろうと妖精であろうと、時には魔物でもよ。」
「…お人好しなんですね…」
「お人好しなんてレベルじゃないわよ!あの子不老不死だからって無茶苦茶するのよ!それに付き合わされる私の身にもなって欲しいわ!呼び出される度に問題事よ!」
かなりリーフはクラリスに対してうっぷんが溜まってたみたいだ。
「けど、本当に優しい子なの。だから憎めないの…本当は監視役なんかじゃなく…友達として恋人として相棒として本当は居たいのよ…」
「出来ないのですか?」
どこか寂しそうにしていたリーフにフロールは聞いた。
「出来ないのよ…樹木の力は強大で悪用は絶対に許されないの。もちろんクラリスがそんな子じゃない事くらい知ってるわ。でも、それが掟なのよ…」
「私も妖精界に居た時に少し聞いた事があります。確か大昔に1人の人間が樹木を使って妖精界を侵略したんですよね…」
「そうよ、その人間は結局妖精だけでは倒せなかった…だから封印されたのよ…その人間を、人間と妖精が力を合わせて…」
「今ではお伽話や神話に近いですけどね…」
「ええ、でもその事件から樹木の妖精と契約する際は規約が3つ増えたのよ。1つ目は必ず自然界6属性の魔法が使えなければならない。」
「これは逆に強くなり過ぎる気がするわ…」
「まぁ、難易度を上げさせるという面ではよかったのかもね。2つ目は妖精との信頼関係ね。妖精とのタッグ技が出来るのかね、」
「私、人との使役関係になった事ないのでよく分からないんですが…」
「結構簡単よ、私とクラリスで例えると魔力の交換や、接近戦や遠距離戦を交互に入れ替わったりでも良いみたいよ。実際、私とクラリスは試験は魔法でのタッグ技なんてないから…」
「へぇーそうなんですね。」
「最後は…能力権限の剥奪権を妖精側が待つ事よ…」
「えっ…?」
「もし、契約者が明らかに世界の敵となると妖精が判断した場合行使される権限よ…私がこれを持ってる以上私はクラリスの監視役なのよ…」
「…やはりあの神話からなのですか?」
「そうね…私たちが生まれる前からある神話…そのせいで私とクラリスは本当の友達にはなれないのよ…さぁ、もう寝ましょう。明日も歩かないといけないのだから。」
「…そうですね。」
2人はクラリスが寝ているテントへと入って眠りにつくのでした。
ここまで読んで頂きありがとうございます
次回更新は25日午前9時です。
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