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78歩目

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ!

「遅い!」


 クラリスとエールを待っていたダーク達であったが、あまりの遅さに苛立っていた。


「も、もう火は消えていますけどね……」

「だからじゃ!だから苛立っておるんじゃ……」


 そうもう帰って来ていてもおかしくない。なのに戻ってこない。何かあったのかと心配になる。だからイライラするのだ。


「こうなったら呼ぶか……」

「呼ぶって誰をですか?」

「リーフじゃ!」


 そう言うとダークは懐から鏡を取り出した。


「それは……?」

「まぁ、みておれ。」


「我が呼びかけに応えよ!リーフ!」


 ダークの呪文にリーフが来た……が……


「すぴー……すぴー……」

「……起きんか!」


 寝ているリーフを往復ビンタで叩き起こした。


「な、なによ!いきなり!ってダークとボタン。何してるのよ!クラリスは⁉︎」

「そのクラリスが戻って来んから今から様子を見てくるんじゃ、お主にはその間あの2人を見ておいてくれ。」


「ていうか、なんでダークが私を呼べるのよ!」

「お主の魔力を解析してすぐに呼べるようにしていたんじゃ、案ずるな、終わったら返してやる。」


「いつの間にそんな事を……」

「お前だけではない、フロール姫も、エールもライト達も呼べるぞ。これを渡すために1週間待てと言っておったのじゃ。」

「そ、そうなのね……じゃあ私はここで待ってればいいのね。」


「うむ、では頼んだぞ。」


 ダークとボタンは村へと降りて行くのであった。


「なんですか……これ?」

「うむ、どうやら焼き討ちにあったようじゃな……」

「どうしてそんなに平気なんですか⁉︎」


「見慣れておるからの。」

「えっ……?」


「わっちもこの国の出身じゃ、しかし、今以上に殺伐とした国だった頃にわっちは生きていた。その時にもこんな風景はみておったからの。」


「そう……なんですね……」


 ボタンは耳をペタンと垂れて落ち込んでいる様に見えた。


「今はまだこの国は発展途上じゃ、きっとこんな風景も時期に無くなっていくじゃろ。」

「そうだと……いいなー……」


 すると目の前に3人の倒れた人間を見つけた。ダーク達は近づいてみた。


「これは……クラリスじゃな。」

「ク、クラリスさんが……あんなに優しい人がこんな事を……」


「クラリスは優しいぞ、じゃがキレたら手がつけられん。」

「傷口から凄い怒りが取れます……急いだ方が……」

「そうじゃの。」


 そうして、死人のいる場所を辿って行くと、クラリスがいた。

 その目には涙を溜めていたが、それでも歩き出そうとしていた。


「もうよかろう、クラリス……」


 クラリスはゆっくりとダークの方を見た。


「私のせいで村人が亡くなった……私のせいで村は火事になった……私が責任取らないと……」

「何を吹き込まれたか知らんが、お主のせいではない。戻れ、クラリス。」


 だが、クラリスがダークの言葉に耳を傾ける事はなかった。クラリスはその足でトボトボと歩きだした。


「これは、力ずくで連れ帰るしかないな。」


 そう言うとダークは黒縄を取り出した。しかし……


「待ってください!」


 いきなりボタンが叫んだのだ。これには流石のクラリスも止まった。


「クラリスさん……あなたは悪くありません。」

「でも、私が……」

「あなたは悪くありません。」


「私が……」

「大丈夫です。私があなたを赦します。」

「は……い……」


 そうしてクラリスは眠ってしまった。


「ボタン、お主何をした?」

「神通力です。私のいた神社は赦しを乞いにくる人が多かったので神様に習って使える様になったんです。」


(なるほど、クラリスが暗示にかかるのも頷けるな……)


 魔法による耐性はあっても神通力にまで抗う術を持っていなかった事から止める事が出来たのだった。


「さて、クラリスも回収したことじゃし、あとはエールを拾って帰るか、」

「クンクン……エールさんはあっちにいそうです。」


「そうか、嗅覚も優秀じゃったな。」


 そうして、ボタンの跡をついて行くダークであった。


 少し行くと町外れの大木に生き残った村人とそれを守るエールがいた。


「皆さん!あれ?クラリスさん!どうしたんですか⁉︎」

「クラリスなら眠っておるだけじゃ、奴らはクラリスが殲滅した。だから帰るぞ。」


「は、はぁ……」


「おい……」


 ダークがエールを連れて帰ろうとすると、ドスの効いた声が聞こえた。


「お前らのせいでこうなったんだぞ!どうしてくれるんだ!」

「そうよ!アンタ達がアイツらにちょっかい出さなければこんなことにならなかったのよ!」


 ダーク達を責める声にそうだそうだと村人達が責め始めた。


「黙れ……」


 しかし、ダークのドスの効いた声に村人達は静まり返った。


「貴様ら、何をふざけた事を言っておるんじゃ?村の娘1人守りもせず、助けたわっちらが悪者か、貴様ら傍観者が被害者面するな!」


 ダークの怒鳴り声に村人達は唖然となった。


「しかもなんじゃ、さっきから聞いてれば罵詈雑言ばかり、村の火を消したクラリスにも貴様らを守っておったエールにも感謝の言葉もないのか⁉︎」


 この言葉に村人達は目を逸らした。


「言っておくがの、こやつはお人好しじゃ、助けを乞う声が聞こえたら誰だって助ける。おまけに助けを求めてなくても困ってたら助けるんじゃ、貴様らを守るために今夜こやつは30人殺したのじゃ、貴様らがやらんからな。なのに、貴様らは罵詈雑言しか吐かん。わっちに言わせれば貴様らなんぞ助ける価値がない。」


 そこまで言ってダークは後ろを向く。


「帰るぞエール。ボタン。後はこやつらがやる事じゃ。」

「は、はい!」


 そうして4人は村を後にするのだった。


ここまで読んで頂きありがとうございました!


次回更新は2月12日土曜日15時です。お楽しみに!


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