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6歩目

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ!

「ん……んー……あれ……?此処どこ?」


 クラリスが目を覚ますと知らない部屋に居て、ベッドの上で横になっていた。


「あ!起きましたか?もう少し寝てて良いですよ。」


 そこにはフロールがエプロンを着て洗濯をしていた。


「あれ?それ私の魔道士の時のローブよね…?」

「ええ、汚れてたので脱がして洗っておきましたよ。」


 クラリスは布団の中を覗くと一糸纏わぬ自分の姿だった。


「……きゃあーー!」


 誰もいない街にクラリスの絶叫が響き渡った。


「し、下着まで取らなくても良いでしょ⁉︎」

「でも……一括で全て洗ってた方がいいかと……」

「責めて、私の許可を得てからにしてほしかった……」

「あ……ごめんなさい……」


「うぅー……まぁ、フロールにだけだし……気にしないでおくわ……」


「あの……私の裸見ますか?」

「な、何言ってんのよ⁉︎」

「いえ、それでおあいこにすれば……」

「いい、いいから!もうこの話はお終い!」


 顔を真っ赤にして話を終わらせるクラリスだった。


「ただいま!フロール、食材買ってきたよ!」


 クラリスが着替えていると、ウールが扉から入ってきた。どうやらお使いに行かされてたらしい。


「はい、ご苦労さま、ウールもご飯食べてるわよね?」

「ええ、フロールのご飯は美味しいから!」

「ふふふ。ありがとう。」

「あっ、」

「ん?」


 ウールが私が起きてるのに気づくとツカツカと私の元へやってきた。


「あの……その……昨日はありがとう……フロールを助けてくれて……」

「う、うん。」


「でも、今度フロールを守るのは私なんだから!それだけは忘れないでよね!」

「え、ええ……」


 クラリスはどうやらウールの恋のライバルに認定されてしまった様だ……


(反射的に返事しちゃったけど……私もうこの街を出て行くんだよねー……)


 朝食を取り終わると、ウールは再び風に戻ってしまった。


「洗い物はやろうか?」

「大丈夫ですよ。私、家事好きなんです。」

「そうなのね。じゃあ任せておくわ……服が乾くまで私は寝てるわね。」


 クラリスはまだ眠たかったのでもう一度ベッドで眠ってしまった。


「クラリスさん。起きて下さい。クラリスさん。」


 耳元で優しい声音が聞こえてきて目を覚ました。


「あ、起きましたね、服乾いてますよ。」


 机の上にはクラリスの服が綺麗に畳まれていた。


「ありがとう!フロール、少し後ろ向いてて着替えるから。」

「はい。」

「クラスチェンジ。」


 クラリスは一度裸の状態となって魔道士の時のローブを着た。本来は下着姿で良いのだが今回はそれまで取られていたので仕方なかった。


「よし!いいよ、こっち向いて。」


 フロールはゆっくりとクラリスの方へ向いた。


「ありがとう!良い香りがしたよー」

「そうですか。良かったです。」

「よし、じゃあ私はそろそろ行くわね!」

「えっ?」


「私は旅人なの。だからまた旅にでるのよ。」

「もう会えないのですか…?」


「分からないわ。貴女が消えてしまう可能性もあるし…私が死ぬ可能性もある…そう考えると、会えない可能性の方が高いわね。」


「そう……なんですね……」

「まぁ……それも運命よ!だから……」

「だったら、私、付いて行きます!クラリスさんに!」

「……えっ?」

「クラリスさんに付いて行きたいんです!」

「ちょっ!ちょっと待ってよ、あなた土地神でしょ?そんな事していいの?」


「もう、良いんです。私の魔力はもうすぐ尽きます。でも、この街から解放されれば私はまだ長生き出来るんです。それに……土地神様はこの土地を見捨てられたのかもしれません。街の人の危機に何も手を出してくれませんでした。そんな神様を私はこれ以上信用出来ません。」


「フロールの気持ちはよくわかるよ、でも、私に付いて来ても良い事ないと思うし、じゃあこの街を出て何かしたいの?」


「私は、もっと人と繋がりたいのです。お話したりしてみたいんです。クラリスさんみたいな方々にお会いしたいのです。」


「んー……はぁ……いいよ、じゃあまずは土地神との契約を切らないとね、やり方は知ってるの?」

「はい……一応は……」


 フロールは顔を赤くして目を逸らした


「何、教えて!」

「えーと……ゴニョゴニョ……」

「ごめん聞き取れなかったから、もう少し大きな声でお願い。」


「えーと、ですね…外部の者による接吻です。はい……」

「……はっ⁉︎」


「つ、つまり、この場合クラリスさんが私の唇に……」

「ストーーーーップ‼︎それほんと⁉︎騙されてない⁉︎」

「わ、分かりません!分かりませんけど。これだって教わりました……」


「誰に?」

「他の妖精さんに……元守り神だったけど飽きたからそのへんの人にして貰って出来たそうです……はい……」

「な、なるほどね…実際に出来た守り神も居るんだ……というか……理由!」


 しばし沈黙が流れた。そして…


「分かったわ。一応聞くけど、フロールは私なんかで良いの……その……キスしても……?」

「うふふ。良いに決まってます。私。クラリスさんの事好きですから!」

「ぶふっー」


 クラリスはいきなりな告白に驚いた。


「あ、あの……その好きは友達としてでって意味よね?恋人とかの好きじゃないわよね?」

「どっちだと思います……?」


 顔を赤くして目を逸らしながらフロールはクラリスに聞いてきた。


(あっ……これは……そういうことなのね……だからウールは……)


「わ、分かったわ。貴女の告白はしっかり受け止めます。」

「それじゃあ……」

「フロール、目をつぶって。」

「は、はい。」


 少し緊張した面持ちでフロールは目をつぶる。そして……


(うぅー……緊張する。まだファーストキスもしたことないからなー……)


 クラリスも緊張した面持ちでフロールの顔に近づく……


(うゎーまつ毛長い!しかも、近くで見ると余計に美人じゃん!)


 じっくり見ていたいがあまり待たせるわけにもいかなのでクラリスはフロールのくちびるに自分のくちびるを重ねた……


「「ぷはっ!」」

「ど、どうですか…?」


 クラリスは何故か敬語でフロールに尋ねた。


「ふふふ。甘かったです!」

「な……なんですか!それー!」


 盛大にクラリスはフロールにツッコミを入れた。すると……いきなり家が揺れ出した。

「な、なに?地震?」

「いえ、おそらく私の魔力か街に行き渡らなくなったので崩壊が始まってしまったかと……」


……

………

…………


「まずいよね?」

「まずいですね……」

「逃げるよ!」


 クラリスはフロールの手を握って外へ出る。


「うわっ!既に崩壊を始まってる!」

「大丈夫です。ウール!」

「呼んだ?フロールはあんまり魔力無いんだから。あまり呼ばないでよね!」


「ウール!私たちを街の外へ連れってって!」

「はぁ?クラリスはともかくフロールは無理でしょ?」

「いいから、お願い!」

「まさか……」


 ウールはキッとこっちを見た。


「全く!後で話は聞くからね!行くよ!」


 ウールは風を作ってクラリスとフロールを巻き上げて運ぶ。そして、街から少し離れた平原へと運ばれた。


 無事に着地してクラリスはフロールを見た。そして、フロールもクラリスを見ていた。

「ふふ。」

「ふふふ。」

「「あはは。」」


 2人とも何がおかしいのか分からないけど笑いだした。そして、平原に寝っ転がった。


「はぁー、笑った笑った!」

「うふふ、こんなに笑ったのいつ以来かしら。」

「フロールはなんかさっきより顔色いいね、どうして?」


「えっ?……そうですね、魔力が徐々にですが回復してきたからですかね、今までは街に魔力を割いていたので回復出来たら、魔法の範囲も幅広くなりますよ。」


「そうなんだ。じゃあゆっくり回復していってね。」

「はい!」

「ねぇ……?」

 2人で話してるといきなり低い声のウールが話しかけてきた。

「なんでフロールが街を出られたのか……ちゃんと説明してよね……クラリスさん?」


「あのー……フロールさん……ウールさんは……もしかして、解約方法を……?」

「ええ、知ってますよ?」


「よくもフロールのくちびるを奪ったわね!」

「ちょっ!待って!ちゃんと了承してなんだよ!だから!」


「分かってるわよ!分かってるからこそ、この怒りをどこにぶつければいいのよ!」

「だからって私に当たらないでー!」


 その後疲れるまでクラリスとウールは追いかけっこしていた。


「はぁ……はぁ……どぉ?少しは……落ち着いた?」

「はぁ……はぁ……ぐぬぬ…まぁ少しは……」


 今は2人で草原に寝っ転がっていた。


「ウール、クラリスさんとも仲良くしてくださいね、私の命の恩人なんですから。」

「わ、分かってるわよ!ただ……」

「ただ?」

「な、なんでもないわよ!それとクラリス!」

「な!何よ……」

「その……んっと……フロールの事ありがとう…」

「……ふふふ。どういたしまして!」

「ま、まぁ……また何かあったら呼んでちょうだい!助けにくるから!」


 そう言うと再び風に戻ってしまった。


「あの子、ツンデレだね。」

「ええ、でもほとんどデレなのよ、可愛いでしょ?」

「ええ、とっても!」

「それじゃあ、何処行こうか?」

「そうですね。あの山向こうの村に行ってみたいです。」

「よし、私は特に行く当てもないから行きましょうか!」

「はい!」


 こうして2人は歩きだした。新たな目的地へ向かって!

ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新は本日の21時です。


今しばらくお待ち下さい。

面白いと思った方はバックマークをよろしくお願いします。お手数でなければ評価もお願いします。

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