66歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
「それで、2人は2ヶ月も何してたの?」
2人のほっこりする痴話喧嘩が終わり話を始める。
「何って、クラリスちゃん達が戦った神様の調査よ。」
「まぁ、今は神の名を剥奪されたみたいだけどね。」
「えっ?という事はお2人はワタシたちが里に来てからすぐに調査を?」
「ええ、王様に伝わってからすぐに私たちに連絡がきてそのまま旅だったんだー。」
「「「お疲れ様でした。」」」
「それでどうだったの?」
クラリス達は2人にお礼を言った。そして調査結果を聞いてみるが……
「ごめんね。まだ公には話せないの。」
「うん、王様に話してからじゃないと話せないんだ。」
「まぁ、当然よね。」
「仕方ないわ。」
「なんなら今から王宮に行くから一緒に聞く?クラリスちゃん達なら王様も駄目とは言わないでしょ。」
「でもまずはお茶を飲んでからね。」
デンジはお茶を啜ってだらけるのだった。
((あれが……堅実……))
だらけていたデンジを見てクラリスの先程の言葉を疑ってしまうエールとニコラだった。そんな2人を見てクラリスは声をかける。
「大丈夫よ、あの子はスイッチが入ってない時はいつもあんな感じだから。スイッチが入ると凄いから。」
「は、はぁ……」
いまいちピンと来ていないエールであった。
王宮に戻るとリーフとフロールが出迎えてくれた。そしてウールとダークもいた。
「あっ、久しぶりにみんな揃ったわね。」
「本当ね。みんな雰囲気も違う。」
フロールとリーフが話していたがダークが先を促すので明日へと行く。
「皆のものよく集まってくれた。」
王様の一言にクラリスたちは一礼して応えた。
「まずはフゥとデンジよ。依頼した内容を報告せよ。」
「「はい!」」
((本当に違ったー……))
先程のだらけたデンジとは違う姿にエールとニコラは驚いていた。
「まず、今回の一件に関わっていた神は封印されていた創造神バンデスという事が分かりました。」
「次にフロール姫を攫ったのは偶然だったそうです。これに関しては精霊であれば誰でも良かったみたいで向こうもまさか妖精の里の姫君とは思ってもなかったようです。」
「ふむ。その辺はリーフ達か話してくれたからの。してその後じゃ。」
「まず、今は現世には居ません。そして、神界にも居ないでしょう。クラリス達を生かしてしまった以上、妖精王も動いていると察しが付いてるはずですから。」
「となると、残る場所は……」
「死界か天界か魔界かでしょう。隠れ家としては持ってこいでしょうから……」
「ふむ……そうなるとワシでも手が出せんな。特に魔界は今戦争中とも聞く。ここは待つしかないか。」
王様も打つ手無しという状態の様だ。
「しかし、奴は何が目的なのだ?戦争でもしたいのか?」
王様の疑問にクラリスが答えた。
「彼は……人を絶滅させたいと言っていました。その為に人と妖精、人とドラゴンに火種を作ると言ってました。」
「なるほど……人への恨みか……そしてワシらはその手駒にされかけていたという事か。」
「そう考えていいかと……」
「うむ、2日前に神界から通達が来た。バンデスを炙り出す為に全種族への協力指令だ。」
「そんなので出てくるとは思えませんが……」
ライトが珍しく弱気な発言をしているが、ここにいる者全て同じ考えだった。
「ワシもそう思っておる。その証拠に連携がとれておらん。特に数の多い人間と反抗的な魔族などはな。」
やはりダークも同じ意見の様だ。
(流石はダーク……物事を見る目は確かだ。)
「それでも、やらぬよりマシであろう。これ以上の被害は避けたいであろうしな。どの種族も……」
王様のフォローでこの話は幕を閉じた。
そしてクラリス達は部屋へ戻ってきていた。ウールはダークと一緒に戻り、エールとニコラもスイとゴウカと一緒に戻って行った。
「正直厄介ね……」
「厄介ですね……」
リーフとフロールは神妙な顔で悩んでいた。先程の話は自分達の当分の敵になるからだ。
「2人とも、神妙になり過ぎだよ。当分の間は向こうも攻めてはこないわよ。」
「それでも厄介な事この上ないわよ。相手は神、しかも創造神よ!」
「それなら私たちが強くなればいいだけ、フロールももう妖精と胸を張れるくらいには強くなってるでしょ?」
「そりゃーそうだけど、クラリスは楽観的過ぎよ!」
クラリスが楽観過ぎるのでリーフが叱るも全く反省すらしていないらしい。
「とにかく!7日後に里を出て行くのなら旅の準備するわよ。買い出しもしないと!」
「それじゃあ私は食料を買ってくるわ。」
「それでは私は……」
「あー、フロールは留守番してて、それでこの前教えた風魔法の練習をしててくれない。」
「えっでも、あの魔法は部屋では……」
「そう、だからガラスを割らない様に制御しなさい。今回の特訓はそこだから。」
「なるほど、精密さですか……」
「そういう事。じゃあ私とクラリスは行ってくるわね。」
そうしてクラリスとリーフは部屋を出て行った。
「1人にして大丈夫なの?」
「大丈夫よ。フロールだもん。クラリスみたいに建物を壊す心配はないわ。」
「……それもそうね。」
リーフの言葉にクラリスはムッときたが何度も魔法実験に失敗して多大な被害を出しているので文句は言えなかった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は1月16日日曜日15時です。お楽しみに。
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