63歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
日も暮れる頃クラリスは倒れていた。
「ふむ、このくらいで根を上げるとはまだまだじゃな。」
「クラリスちゃん前より弱くなってない?わたくし達に遠慮せずもっと魔法使って良いのよ。」
ダークとライトがクラリスに向けて話しているが当の本人は完全に気絶していた。なので、ライトが王宮まで運んであげるのだった。
「少しハードだけど、このくらいしないとあの神には勝てないの……少しずつでも強くなってねクラリスちゃん……」
背中で気絶しているクラリスへ囁く様に話しかけるライトは母親の様な顔をしているのだった。
「おかえりなさい。クラリス……って今日も気絶してるわね。」
今日で2日連続であったが、前にダークとライトに修行をつけて貰っていたリーフからすればまだ許容範囲内であった。フロールはライトからクラリスを受け取ると怪我とかないかを調べて回復魔法をかけてあげていた。
そんな生活が2週間くらい過ぎた頃、クラリスはようやく気絶せずに帰ってこれた。
「ようやく慣れて来たみたいね。」
「まぁね……それでもライトに送って貰ったんだけど。」
「まぁ、ここまで歩いて帰って来れただけ成長したという事で。」
笑い合う、クラリスとリーフにフロールはやれやれという顔をしていた。
「2人とも笑ってますけど、私は心配でなりません。クラリスさんがいつもボロボロになって帰ってくるのは心臓に悪いです。」
「あはは、心配かけたね。もう大丈夫だから。」
「それにしても……皆さんは修行は上手く行ってるんですかね?」
「ウールはとにかく体力、筋力アップしてるわよ。まぁ、そろそろ魔法の特訓も始めるみたいだけど。エールとニコラもいい具合に成長してるみたいよ。」
「ちょっと、ウールはともかくなんでクラリスがそんな事知ってるのよ?」
「ライトが教えてくれるのよ。私がダークにボコボコにされてる間に2人の所へ行ってくれるのよ。」
「ライトはほんとっ面倒見良いわね。頭が下がるわ。」
「ダークもね。私とウールの面倒を見てくれてるんだからね。」
クラリスはみんなが順調に成長している事をリーフ達に伝える。そしてフロールの事を聞いてみた。
「それで、フロールはどうなの?しっかりと成長出来てる?」
フロールは苦笑いしていたのでリーフが代わりに答えてくれた。
「ええ、今は水と風を両方同時に使いこなす特訓をしてるわ。」
「そう、天候を変えるまではまだ出来ないのね。」
「無茶言うわね。まぁいずれはできるわよ。フロールも真剣に取り組んでるからね。」
「フロールは真面目だからあまり追い込まない様にね。」
「分かってるわよ。」
そんな会話をしていると、ライトが部屋へとやってきた。
「皆さん、出かけますよ。」
「あれ?今日は何かありましたっけ?」
フロールは何か分かっておらず困惑する中、クラリスとリーフは何の日か気づいたらしい。
「そっか、今日はあの日ね。」
「早いわね。一年も……」
「あの、クラリスさん達は分かってるんですか?」
「フロールは知らなくて当然よ。私は数年ここで修行したから知ってるの。」
フロールはクラリスの言葉に納得した。つまり行事として今晩何かあるという事なのだと。
「それじゃあ行きましょう。皆さんお待ちかねの様ですから。」
ライトに案内されて里の中心部に向かう。中心街の入り口にはすでにダークとウール、ゴウカとニコラ、スイとエールが待っていた。
「皆さんお待たせしました。」
「遅いのじゃライト、もう始まるぞ。」
「あらあら、それはごめんなさい。でも間に合ったのでいいじゃないですか?」
「なに、怒ってはおらん。ただもう少し時間に余裕を持てと……」
「あらあら、あなたが遅れた時に私は一度も文句など言ったことはないのにあなたは言うんですね……」
「ぐぬぬ……すまなかった。」
「はい!」
((((ライトさんやっぱり怖い!))))
ダークよりライトを怒らせた方が怖いと思うフロール達4人であった。
「はい、みんなこれ持って!」
「これは?」
ダークとライトが痴話喧嘩をしてる間にクラリスとリーフそしてゴウカとスイが紙風船を持って来ていた。
「これで何をするのですか?」
フロールの質問にリーフが答えた。
「これはねこうするのよ。」
リーフはふぅーっと紙風船の中に息を入れて膨らませる。そしてその中に自分の魔力をいれる。すると……
「あっ、紙風船が……」
「綺麗な緑色……」
魔力に反応した紙風船は綺麗な緑色の光を放ちながら上へ上へと登っていった。
「私の魔力は緑だから紙風船も緑に光ったの。みんなも魔力を込めれば色が出るわよ。」
リーフに言われてフロール達も魔力を込めた。
「わぁー、綺麗……」
「ドラゴンの里ではない行事ですからね。」
ニコラとエールが見とれてる横でゴウカとスイははしゃいでいた。
「みてみてスイ!ウチの風船の赤!去年より綺麗やない?」
「うーん、アタシには分かんないよー、でも綺麗だよ!」
「ホント!やった!スイの青も綺麗だよ!」
「ふふふ。ありがとゴウカ。」
そして少し離れたところではフロールとウールが話していた。
「綺麗だね。フロール。」
「ええ、ウールの魔力は紫なんですね。」
「うん、フロールは薄い青だね。」
「……ウール、キツくないですか?修行……」
「うん……キツイよ。でもね。出来なかった事が出来る様になってきて、私は今楽しいよ。」
屈託のない笑顔を見てフロールはクスクスと笑い始めた。
「そうですか。ならば私も負けられませんね。」
「お互い頑張ろうね!」
2人は手を繋いで登っていく風船を眺めるのだった。
最後にクラリス達はというと……
「クラリスよ、わっちと少し離れた所で話さんか……ウールの事も含めての。」
「ダーク、何を抜け駆けしてるのですか?私だって久しぶりにクラリスちゃんと話したいんですよ!」
「お主は帰ってからでもいいじゃろう⁉︎ここはわっちに譲らんか!」
「クラリス……2人がうるさいから私と一緒に見ましょう。少し静かなところで……」
「「リーフ!抜け駆けは許さないわよ(ぞ)!」」
……という三つ巴のクラリス争奪戦が行われてるのであった。
結局4人で仲良く見るのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は1月10日月曜日の15時です。お楽しみに!
宜しければブックマークと評価をよろしくお願いします。




