61歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
その夜……
「ねぇー、フロール。なんで私の部屋にいるの?」
「ウールがいなくて寂しいからですよ。」
「じゃあ、リーフ、なんであなたもここにいるのかな?」
「昨日も一緒に寝たから良いんじゃないの?」
2人の言い分を聞き、ため息を吐く
「じゃあフロールとリーフで寝たら?私は1人でいいから。」
「「ダメに決まってるでしょ!」」
2人に怒鳴られてしまうクラリスである。
なので、今日だけは3人で寝ることになるのだった。しかも2人ともクラリスの腕にしがみついていた
「ちょっとー!動けないんだけど〜!」
深夜にクラリスは1人泣き叫ぶのだった。
次の日の朝、クラリスは目にクマが出来ていた。
「クラリスさん……目にクマが出来てますよ。」
「2人が寝かせてくれなかったのよ。」
エールとニコラと並んでクラリスは歯磨きをしながら昨日の夜のことを話していた。ニコラは出遅れたみたい顔をしているので、今日辺り恐ろしい事になりそうだった。
朝食を済ませて、まずはダークの家に向かった。もちろん理由はウールの様子を見にである。
「ウール!」
「あっ!フロール!」
「何してるの?」
「見ての通り……薪割りよ。」
「薪割りって……あなた風魔法でやってたでしょ?」
そうウールは今斧を使って薪割りをしていたのだ。その事に疑問を持ったのでウールに聞いているのだ。
「簡単じゃ、此奴はまだ体力が無さ過ぎるのじゃ。」
「ダークさん。お久しぶりです。」
「何を言われますか、フロール姫よ。2日ぶりですぞ。」
((うわー……ダークが畏まるとこうなるんだー……))
とても失礼な事を思うクラリスとリーフだった。しかしすぐにダークが2人をムチで叩き回すのであった。
2人がコテンパンに締め上げられてからフロールとダークが話をする。
「あっ、ダークさん、変に畏まらなくでいいですよ。私はまだ肩書きを背負えるほどの実力はありませんので。」
「ふむ、その御心感謝致します。では、まずウールじゃが……なかなかに見込みがありそうじゃ。」
「はぁ⁉︎昨日はそんな事一言もイテッ……」
「お主は黙って薪を割っておれ、未熟者!」
先程のクラリスとリーフと同様にムチを飛ばすダークにフロールは少し恐怖を覚えた。
「あはは……それで……」
「ふむ、まず風魔法はまだ開花しておらんな。そして、おそらくフロール姫はご存知ないかも知れませんが、あやつには闇の属性も持っておる。そこを知って置いてもらいたいのじゃ。」
「闇属性もですか……」
「はい、闇属性の才能が開花次第、次はフゥという風の大妖精に任せる所存です。今は里の外に出ておりますゆえ。」
「そうですか……では、あまりウールをいじめないで下さいね。」
「分かっております。ただ、躾はしっかりさせます。特に目上の人物への……」
背筋の寒くなるクラリスとリーフ、そしてウールであった。
「さてと、ウールも大丈夫そうだし、行きましょう。」
クラリスの一言でダークの家を後にする5人であったが、フロールが急に立ち止まって後ろを振り返った。
「ん?どうしたのフロール。」
「あ、いえ……なんか……娘が旅立ってしまった気分です。いつもべったりだったウールが私に帰りたいとか言わなかったのが意外でして……」
「そうね。初めて離れるもんね……あれでウールも意外と大人なのかもよ……」
クラリスに言われて再び前を見て歩きだす。フロールも前を向いて頑張る様だった。
一方で……
「意外じゃな……」
「何が……ですか?」
少しは学習したのか、敬語を使う様になったウールにダークは話を続けた。
「一緒帰りたいと言い出すのかと思ったのじゃがな。」
「フンッ!私だって弱いままではいられないの。みんなを守る為に力が欲しいの。その為の最短距離があなたに習う事なら私は頑張るわよ!」
「……そうか、ならば薪を割れ、そして力をつけよ、その後は走って持久力を身につけよ。今の主に足りぬものじゃ。」
「はい!……ところで、私のこの薪割りは少なくなった薪の補填ではないですよね?」
「何を言っておる……それも兼ねておるに決まっておろう。久々の弟子じゃ、こきつかわせてもらうぞ!」
「……」
「ん?なんじゃ?」
「やっぱり帰るー!」
「逃すかー!」
その後ウールは走り回された挙句しっかり薪割りもきっちりさせられた。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は1月8日土曜日午後15時です。お楽しみに!
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