60歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
ダークはリーフの話を終えて、次にもう1つの解説を始めた
「そして2つ目は貴様やわっちのような死した人間が精霊になる場合じゃ。」
「でも、私死んだ記憶なんてないわよ。」
「そりゃそうじゃ、死んであるんじゃからな。いわば魂に魔力が宿ったから生き返ったくらいの話じゃからな。」
凄く軽く言っているがウールにとってはカルチャーショックである。
「で、でもそんなのどうやって証明するのよ。私が死んだ記憶がないのになんで私が人間だったなんて言えるの?」
「まぁ、確かにのぅ、貴様が思うのも無理はない。じゃがな、1つだけ見分ける方法があるんじゃ。」
「そ、それはなによ?」
「魔力の質じゃ。」
「質?」
ウールは少し小首を傾げて聞き返した。
「そうじゃ、純粋な精霊と死んだ人間からの精霊とでは魔力の質が違う事から魔法にもキレが変わってくるんじゃ。だから先ほどの風に化けようとした時もすぐに捕まえられるのじゃ。」
「えっ?あれは心眼で見つけたんじゃ……」
「たわけ!あの程度で心眼など使わんわ!使うまでもなく捕まえられたんじゃよ。」
ダークの言葉にウールは自信喪失しかけていた。それをみてダークは一応フォローを入れておく。
「フンッ、まぁどちらにしろ貴様がどんなに成長しようともわっちからは逃れられぬそれだけは変わらんのじゃ、じゃから落ち込むな。」
フォローのつもりが完全にトドメを刺してしまうダークであった。なのでウールは完全に自信喪失してしまうのであった。
その頃クラリス達は王宮に戻っていた。
「あの……本当にウールは大丈夫なんですよね?」
神妙な面持ちでクラリスとリーフに詰め寄るフロールに心配ないとしか伝えられないクラリス達であった。
「大丈夫よ。ダークはあれで育てるの上手いんだから私を育ててくれた1人でもあるんだからね。」
「まぁ、悪い事をしたらお仕置きされるでしょうけど、言葉遣いからたぶん躾られると思うから……たぶん今頃は……」
「私……今からでも……」
「もぉー!フロールさん過保護過ぎるよー」
「だって、あの子私から離れた事ないのよ。心配にもなるでしょ?」
流石に過保護過ぎるのでニコラにも指摘されるがそれでもフロールは心配な様だ。
「フロール、大丈夫よ。あの子は強いから、もし、本当に嫌なら死ぬ気で逃げてくるはずだから。」
「でも……」
リーフの言葉を聞いても心配そうにしてるフロールを見てクラリスが提案する。
「それなら明日、私と一緒に行こうよ。ダークの所へね。」
「えっ?良いんですか?」
「いいわよ。どうせしばらくはここにいるんだしさ。それよりフロールの方はどうだったの?」
とりあえずクラリスは話を変えることにした。
「私の方は……特に問題はないかな?挨拶をして、その後食事をしながらこれまでの話をしてきました。そして夕方から王様は天界に行かれましたよ。」
「えっ?あの王様大丈夫?」
「大丈夫でしょ?あの王様はこの里で1番強いんだしさ。」
「ねぇ、リーフ、その王様はなんの魔法を使うの?」
今まで黙ってたエールがリーフに聞いてきた。
「あの王様は時間と空間を司る大妖精よ。兼任で王様もやってるだけよ。」
「えっ、なにそれ……?」
ニコラは驚きのあまりドン引きしてしまった。同じく知らなかったフロールとエールと絶句してしまう。
「まぁ、使う時は世界の危機の時だけよ。今までに2回だけあっただけだし。」
「に、2回って何があったのよ。」
ニコラが物凄い勢いで食いついてきたので、とりあえず触りだけ話すことにした?
「1回目は戦争で全種族が絶滅した時、2回目は宇宙からの侵略戦争を持ちかけられた時よ。」
「「ちょっと待って!」」
エールとニコラがさっきより凄い勢いで食いついた。
「何よその事件ワタシたち知りませんよ!」
「そうだよ!いつ起こったのよ。」
「この世界線では起こってないわよ。」
「そうよ。起こってないわ。知ってるのは大妖精と妖精王とクラリスと私だけよ。」
「えっ?それはどういう……?」
「あっ!なるほどそういう事なんですね……」
クラリスとリーフの言葉にニコラは分からないようだけどエールとフロールは分かっていた。
「そう、滅びかけたなら滅ぶ前の時間にもどってその根本を排除すればいいだけでしょ?」
「でも、そしたら同じ時間に同じ人がいる事にならないの?」
ニコラの質問にリーフが答えてくれた。
「確かに本来ならそうなるわよね。だからその時間にいる私たちに会わない様にして根本を排除したのよ。つまり、そこが分岐点になるわけよ。」
「ごめんなさい、私はちんぷんかんぷんです!」
「こらっニコラ!自信持って言わない!」
「あはは。まぁ、分からないと思うわ。私たちも言ってて分からない部分もあるもの。」
リーフもクラリスもまだ分かってない事もあるのでニコラを責める事はしないのだった。
「それで、フロールはこれからどうするの?」
「えっ?これからですか?」
クラリスの質問にフロールはピンッと来てないので詳しく質問した。
「いや、王様から言われたでしょ?王宮に残れとか……私たちはしばらくはここにいるけど、また旅に出る事になるわ。フロールがお姫様って事は王宮に残らないと行けないでしょ?」
「えっ?お断りましたよ。クラリスさんに付いて行きたいって言ったら快く承諾してくれました。」
「はぁ〜あの王様何考えてるの⁉︎」
「クラリスさんなら安心だと笑われてましたよ。」
「あのバカ王め〜私に何を求めてるのよ!ついこの前フロールを守りきれなかったばかりなのに!」
「クラリスさんは……私と一緒は嫌ですか?」
上目遣いでフロールはクラリスを見つめて聞いてくる。それを3人は……
(うわ〜、やりおるわー)
という目で見ていた。
「いや、嫌じゃないわよ。ただ、私じゃフロールを守れないから……」
「だから、私も強くなります!もうクラリスさんに守られないように!自分の身は自分で守れる様に!」
フロールの目には既に覚悟があった。それを見てしまったクラリスはもう止める理由がなくなるのだった。
「分かったわ。王様が良いって言ってるなら私が止めるのも筋違いだもんね。改めてよろしくねフロール。」
「はい!クラリスさん!」
クラリスは握手のために手を伸ばしたがフロールは飛びついて抱きつくのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は1月5日水曜日の22時です。お楽しみに!
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