51歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
朝食を食べた後、クラリス達は街を旅立った。
「なんか、雨が降りそうですね。」
「大丈夫よ。もう少ししたら妖精の里に着くから。」
「そうね。あそこは年がら年中晴れてるからね。」
「クラリスさんは何年もいたのですか?」
「ええ、リーフと契約してから2年ほど修行でね。」
クラリスとリーフ以外は初めて妖精の里に行く為、4人の質問に答えながら歩いていた。
森への入り口に差し掛かる頃、雷が鳴り出した。
「あちゃー……降りそうね。」
「降り出す前に着くといいんだけど。」
クラリスとリーフが心配しながら歩いているとニコラの顔が険しくなった。
「ニコラどうしたの?」
「嫌な匂いがする……」
「嫌な匂い?血とか?」
「そんなのじゃない。嫌な人の匂いよ!」
珍しくニコラが声を荒げる。そして、目の前には誰かが立っていた。
「ここから先には行かせませんよ。」
どうやら声からして男性の様だ。
「貴方は誰なの?私たちはその先に用があるんだけど。」
「そうですか……では、そこの子はここで死んで貰いますね。」
いきなり指を立てて魔法を発動させた。狙いは……
「「フロール!」」
クラリスとリーフが反射的に魔法障壁を展開させて、攻撃を防いだ。
「へぇー、この魔法を耐えるんだー、じゃあこれならどうかな?」
「グッ……フロール。あの人と知り合いなの?」
「あの人が……私と契約していた土地神です……」
「何ですって!」
リーフの質問の答えは予想外の答えだった。なので、クラリスも驚きの声を上げた。それでもクラリスは仲間に支持を出す。
「とにかく!リーフ、ウールはフロールを守って!私とエールとニコラで攻めるから!」
「待って、クラリス!ニコラが!」
クラリスが隣を見るとニコラは既に前に出ていた。
「はああぁぁぁぁ!」
「何してるのよ、あの子は!」
慌ててエールが飛び出した。
「もぉ、あの子達は!私も前に出るからリーフ任せたよ。」
「ダメ!」
クラリスがリーフに任せて飛び込もうとするが、リーフが止めた。
「な、なんでよ!」
「私1人じゃ……持たないのよ……」
「えっ……ウールと2人でなら行けるはずよ!」
「何言ってるの⁉︎できるわけないでしょ⁉︎この力は普通じゃ耐えられないわよ。私とクラリスだから耐えられてるのよ。」
「そんなの……やってみないと分からないわよ!」
「クラリス熱くならないで!失敗すればフロールが死んじゃうわよ!」
「……そうね。まずはフロールを守らないとね。」
リーフの一喝でクラリスは落ち着きを取り戻した。そして、フロールを横目で見る。するとフロールはクラリスの横に立っていた。
「フ、フロール!危ないから下がってて!」
「大丈夫ですクラリスさん。私たちも戦えます!リーフさんの魔力は私たちが増幅します。だから行って下さい!」
「な、何言ってるのよ!命狙われてるのはフロールなのよ!だから下がってて!」
フロールの言葉にリーフが反対する。だけど、フロールも引かなかった。
「もう、守られてばかりは嫌なんです……だから!リーフの力に!」
クラリスはリーフに目配せする。
「クラリス……アンタが決めなさい。戦闘とかの勝負感は私より上なんだから。」
クラリスは一旦前線のエールとニコラを見た。かなり苦戦している。そして、ニコラは明らかに冷静ではなかった。エールもそのせいでリズムが取れていなかった。
「フロール。1つだけ約束しなさい!」
「はい。」
「死んだら許さないから!リーフを傷つけても許さないから!ウールを傷つけてもよ!」
「分かりました。」
「じゃあ任せるよ!ウール!お願い1,2の3で変わるわよ!」
「任せて!私も守られてばかりじゃいられないもの!」
「じゃあいくよ1……2……の……」
「「3!」」
瞬時にクラリスとウールが入れ替わってその後ろからフロールは2人の魔力を増幅する。
「くっ……」
「大丈夫ウール⁉︎」
「へーきよ!フロールとリーフこそ大丈夫なの?」
「「大丈夫よ!」」
それでも長くは持たない事をリーフもクラリスも分かっていた。なのでやる事は1つ……
((短期決戦‼︎))
2人の頭は同じ事を考えていた。
(まずは……ニコラを落ち着かせないと!)
なので、前線に上がって先ずはエールとアイコンタクトを取った。そしてタイミングを見計らってニコラを止めた。そしてその間はエールに任せた。時間が勿体ないが、それでも輪を乱されるよりはマシである。
「ニコラ落ち着きなさい!」
「止めないで、アイツが私を殺そうとしたのよ!」
「何ですって⁉︎」
クラリスはキッと視線を男性へと向けた。
「だからどいて!私がアイツを殺すの!私が……」
ゴンッ!
何かを言う前にクラリスがニコラの頭に拳を落とした。
「イテテテ……」
「ニコラ、怒るのはわかるけど今のままだとエールの足を引っ張る事になる。少しは落ち着いて状況を見なさい。今さっきまでのニコラは私と修行した時の成果は何も出てなかったわよ。」
クラリスは自分が殴ったニコラの頭をなでながらゆっくりと理解させるように話した。
「いい、習った事を実践する。私たち3人でなら倒せるから。」
「……分かった、ごめんなさい……」
「分かればよろしい!」
そうして改めて敵と向き合う。エールは所々擦り傷を負っていた。相手は片手で魔法を放ちながら片手でエールの相手をしていたのだ。
「行くよ、ニコラ!」
「はい!」
そう言って2人は相手へと飛びかかった!
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は12月18日土曜日午後15時です。
お楽しみに!
宜しければブックマークと評価をよろしくお願いします。




