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44歩目

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ!

翌日……

 霧の中を歩くクラリス達がいた。


「この道で合ってるのクラリス?」

「うん、合ってるはずよ。」


 まだ日が昇っていない為、先が見通せないのでリーフは少し不安になっていた。


「あの、私が上空から見てみましょうか?ここならドラゴンって分からないでしょうし。」

「そうね。エールにお願いするわ。」

「じゃあ私も見てくるわ。2人の方がクラリスも安心でしょ?」

「……そうね、頼んだわよ。リーフ!」


 リーフはドラゴンになったエールの背中に乗ると空へと上昇した。しばらくするとリーフがクラリス目掛けて踵落としをしながら戻ってきた。


「ク〜ラ〜リ〜ス〜!」


 ドーンッという音を立ててリーフの踵落としが炸裂した。クラリスはリーフが怒ってるのを察知して逃げていたが、結局鉄拳制裁を受けた。


「方向が全然違うじゃない!」

「えっ!嘘!」

「ほんとーよ!」

「ええ、リーフの言う通りです。太陽がもう昇り始めてたのでそこから見ると方角が違いましたよ。」


 リーフだけでなく、エールにも指摘されてようやく間違えてたと気づき焦りだす。


「とにかく、ここはワタシがみんなを乗せて行くので乗って下さい。霧が出てるので人目に触れる事もありません。」


 クラリスは頷くとみんなエールの背中に乗った。


「行きますよ!」


 そう言うと、一気に翼を羽ばたかせて霧の中を空へと昇り出した。上に行くほど霧は濃くなっておりなかなか抜けなかったが、程なくして霧が一気に晴れた。


「ようやく抜けたみたいね。」

「さ、寒くないですか?クラリスさん……」

「ええ、多少はね。でも仕方ないわ、まだ完全に太陽が昇ってる訳ではないからね。フロールとウールとニコラは寒いなら毛布渡すから言って。」


 クラリスは収納魔法から毛布を取り出して3人に渡した。


「ちょっと、私にはなんで聞かないのよ!」

「リーフは自分で取り出せるでしょー?」

「そういう気遣いを見せてほしいの。昔は2人で一つの毛布に入って過ごしたじゃない!」

「あれはまだ資金もないし、リーフも寂しいと思ったから……」


 リーフの言葉にフロールとエールは少し反応しかけたが後で聞く事にした。

 リーフはとりあえず置いといて、エールが今の会話中少しピクッと動いたので寒いのかと思ったクラリスはエールにも確認を取る。


「エールは大丈夫?寒くない?今少し震えたみたいだけど?」

「ワタシは大丈夫です。このまま街の方へ飛びますよクラリスさん!」

「分かったわ。でも、寒くなったら言ってね。その時は降りてまだ歩くから。」

「お気遣いありがとうございます!」


 それだけ言うとエールはゆっくりと進み出した。


「それにしても凄い霧ね……」

「寒いからでしょう……空気中の水分が凍って粉末かしてるので暖かくなれば自然と晴れるはずですよ。」


 ウールとフロールが何気ない話をしながら下を見ていた。下は未だに霧が晴れず地上の様子が分からないでいた。

 しばらく飛んでいるとエールから声がかかる。


「クラリスさん、もうそろそろ街の真上のはずですよ。」

「えっ、もうそこまで来たの?」

「ええ、恐らく……」


 エールが歯切れの悪い返事をするので、ニコラが付け加えてくれた。


「下から人々の声が聞こえるね。しかも……これは戦ってるね。金属がぶつかり合う音がするもん。」

「えっ?」


 クラリスには聞こえない音でもエールとニコラには聞こえている。エールはクラリスが争い事に首を突っ込むかと思い言えなかったのだ。


「どうしますか……?クラリスさん……」


 不安そうに聞くエールにクラリスはというと……


「エール、遠くへ!この街には泊まれないから!」

「……わかりました!」


 エールはホッとした表情で飛んで行く。

 ここで戦ってどちらかの味方になるのは簡単……でもみんなを守るのならその選択は間違いなのだ。戦争において、いや、争いで誰も傷つかないなんてあり得ない事をクラリスは誰よりも知っていた。だからこそ、避けるという選択をしたのだった。


(今までなら1人で突っ込んだでしょうけど……)


 クラリスは後ろを振り向いてみんなの顔を見る。


(ーーもう1人じゃないんだ。私がこの子達を守らないといけないんだ。)


 クラリスは知らない誰かの幸せより自分()()の幸せを取る事にしたのだった。



「見て!霧が晴れてるよ!」


 ニコラの声にクラリス達は下を見た。


「本当ね!じゃあそろそろ降りようかエール。」

「はい!」


 エールはゆっくりと降下し始める。太陽もようやく昇って世界を照らし始めていた。


「あ、あそこ!街がある!」

「本当ね。じゃあ街から少し離れた地点に降りてエール。街の人を驚かす訳にはいかないからね。」

「わかりました。」


 返事をすると少し離れた平原へと着陸する。クラリス達はエールから降りると再び歩きだした。


「それにしてもさっきの街は戦争してたのかしらね?」

「分からないわね。ただ朝の霧の濃い時間帯を狙ってくるのは趣味がよろしくないわよね。」


「1つの戦術ですが、下手をすれば味方同士の相打ちもあり得ます。よっぽどのチームワークじゃないと失敗しますね。」


 戦争については分からないけれど、戦術としての評価はクラリスとエールは批評していた。


「でも、意外だったわね。クラリスが首を突っ込まないなんて。てっきり戦争を止める為にエールから飛び降りるかと思ったわ。」

「ふふふ。1人なら今でもするけど……」


 クラリスはみんな前に出ての顔を見た。


「ーー今はみんなの方が大事になったんだ!だからみんなの為にだけ無茶する事にしたのよ。」

「クラリス……成長したわね!」

「わーーー!ちょっ髪が乱れるー!」


 リーフはクラリスに飛びついて頭を撫で回す。その様子を見ていた4人は笑いながらもクラリスの頭を撫で回すのであった。


ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新は12月1日水曜日の22時に更新します。21時台ではもう一つの作品と被ってしまう為、時間をずらします。

ご迷惑をお掛けしてすいません。


それでは次回更新もよろしくお願いします。


宜しければブックマークと評価をよろしくお願いします。

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