3歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
(あの子は無事に着いたかしら…)
フロールは先程逃した少女の事を考えていた。
(ウールも遅いわね……あの子の契約も切らないといけないのに……)
フロールはもう覚悟を決めていた。今日自分の命と引き換えに魔物の頭を倒す事を…そして、自分が消えればこの街は崩壊する事も……
(土地神様はこの街をお捨てになられるのでしょうか…それとも私にまだこの街を託していられるのかしら…)
フロールは沈む夕日を見ながら物思いにふけていた。
その頃クラリスは、魔道士から剣士に変わって戦っていた。
「なんだ……この人間は……」
「強すぎるぜ……」
魔物が倒れたのを確認してウールに話しかける。
「ウールさん!魔力は回復した⁉︎」
「え、ええ。飛べるわよ!」
「じゃあ!行くよ!」
クラリスは魔物の首を収納魔法になおしてウールに乗った。
「クラリス…アンタ何者よ?魔法を使ってたと思ったら急に剣に持ち替えて戦うなんて、私見たことないわよ!」
「そりゃー500年も旅をしてたらそのくらいできるわよ!」
「ご、500年⁉︎アンタまさか不老不死⁉︎」
「そのまさかよ!」
「ひぇーまさかそんな魔法が出来ていたなんて……驚きよ!」
「魔法じゃないわ、呪いよ……」
「呪い……?」
「私ね昔勇者のパーティにいたの。でも、そこで私は盾代わりにされてたの…そして、最後の戦いに私は勇者への攻撃を代わりに受けたの。それが不老不死の呪いだったのよ。」
「そうなんだ……だからアンタは守る事を使命としてるのね。」
「そんなんじゃないわ。私はもう誰にも傷ついて欲しくないだけ!特に目の前ではね!それに……初めてなの!」
「何がよ?」
「誰かに守って貰う事が。」
「はぁ?」
「パーティでは常に盾で私を守ってくれる人はいなかったの……私が倒れても何食わぬ顔で私を使ったわ……それこそ道具の様に。」
「そんな……勇者がそんな事……」
「だから!あんな思いをあの子にはさせたくないの!だから!急いで!」
「分かったわ!その代わり絶対フロールを助けてよ!」
「分かってる!」
(もう日が沈む…どうか間に合って!)
クラリスはウールとフロールを守るという約束をして街へと戻るのであった。
その頃街では魔物達が戻り宴会を行っていた。
「今日はこの前食い逃した人間を食ってやったぞ!」
「はっ!俺は一山向こうの村を滅ぼしたぞ!」
「お前らは小さいのーワシなんぞ冒険者とその使い魔まで食ってやったぞ!がーっはっはっ!」
聞くに耐えない言葉にフロールはウンザリする。
「頭を打とう。そうすれば烏合の衆となる、散り散りになれば後は人の子達でもなんとかなるだろう……」
フロールは姿を戻し、魔物の群れに突っ込んだ!
「なんだ?この子娘は?」
「誰かの土産か?気が利くじゃないか!」
「あなたたち…ここから出ていきなさい!アイスアロー!」
フロールは氷の矢を作り出し一斉射撃した。
「な、なんだ!こいつは⁉︎」
「氷の矢だと?舐めやがって!」
「殺してやる!どこ行きやがった⁉︎」
(撹乱成功!このスキに奥に座ってる奴の頭と心臓に氷の矢を刺せば…)
フロールは再び光の粒になり奥へ奥へと向かっていく。
「お前ら落ち着け!」
指示をしてる奴の後ろまで来て姿を戻して氷の矢を作る。
「探してる奴なら…ここにいるだろうがよ!」
(えっ⁉︎)
守り神の少女はいきなり腕を掴まれた。
「なんで……?」
「フンッ」
「あうっ!」
フロールは広場に放り出された。
「簡単だ。貴様の気配がわかりやすかったからだ。」
「えっ?」
「考えてもみろよ、こんだけの魔族がいて異質の魔力がある。最初から分かってたさ、この街にお前がいるのがな!そして、お前にもう力がない事もな。だからお前を戦いに仕向ける為に街の人間を殺したのさ、それなのにお前は出てこなかった。だから、じっくり痛ぶる事にした。お前を誘き出す為に。まぁ結局みんな居なくなっちまったがな!」
「私が早く出てきていれば…」
「あーお前が逃した人間もしっかり食っといたぜ!魔力がだだ漏れで何処の村に送ったかもすぐに分かったからな!じゃあー絶望したところで俺の血肉になってもらおうか!神の力を手にすれば今度こそ俺が魔王になれるからな!」
「……もう……好きにして下さい……私はもう……存在する価値すらない……」
「そぉーか!だが、お前の力は俺の中で生き続ける。価値は俺が見出してやるよ!」
魔物がフロールを食おうとした瞬間、それは飛んできた。
「うおりゃーーーー!その子から離れろおーー!」
空から金髪の少女が剣を振り下ろしながら落ちてきた。物凄い轟音が響き渡り辺りには砂埃が舞う。
「助けに来たよ!フロール!」
砂埃が治るとそこには金髪の女戦士が剣を構えて立っていた。
「あ、貴女は……」
「助けに来ました。あなたの精霊ウールからの依頼で。」
「ウールから?そうだ、あの子は!ウールは⁉︎」
「ウールなら私を運んで貰って着いたと同時に魔力切れで風の中へ帰ったわ。それより、フロール。貴女には後でお説教ね!ウールも凄く心配してたんだから!」
「な、何言ってるんですか⁉︎それに……どうして!どうして戻ってきたんです⁉︎私なんか……私なんか……守って貰う価値などないのに!」
両目に涙を溜めて今にも泣き出しそうな顔のフロールにクラリスは剣を持ってない方の手でフロールの涙を拭ってあげる。
「それは貴女が決める事じゃないよ。それに、貴女は身を挺して私を守ろうとしてくれた。それだけで、守る理由になるの!だから……私にしっかり捕まってなさい!私がこいつらを倒してあげる!」
「貴女……」
「私の名前はクラリス。さっきは名乗れなかったわね。それじゃあ!いくよ!」
クラリスはしっかりと剣を強く握って構えるのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
それではまた明日の9時に!
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