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35歩目

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ。

夕ご飯を食べ終えた後、クラリスとリーフは食器を洗っていた。


「もぉー、リーフのせいで私のイメージが下がったじゃん!」

「いいんじゃない、ギャップがあって。」 


ふくれっつらのクラリスにリーフは軽くあしらった。


「第一、クラリスは優しいんだから泣き虫でも良いのよ。それに他人の為にも自分の為にも泣けるのは良いことよ。」

「なんでよ、悪い事ではないけど、あまり泣いてると弱く見えるじゃん。」


「あのね、クラリス泣くって事は心が限界を超えちゃったから泣くのよ。それを堪えて我慢ばかりしていたら心が病気になっちゃうのよ。」


洗い物を終えてリーフはクラリスの頭を撫でた。


「今のままでいなさいクラリス。今はもう助けてくれる仲間がこんなにいるんだから。」

「……うん。」


はにかんだ様にクラリスは笑うのであった。


 クラリスは明日に備えて早めに眠りについた。そしてフロールとウールも早めに休むと言って寝てしまった。


「何書いてるの?」

 リーフはエールが何か書き物をしているのに気づいて隣に座った。


「これですか、これはですね。日記です。」

「日記?またなんで?」


「また故郷に帰った時母さん達に見せるんです。どんな冒険をしたのかを……」

「そうなんだ。仲が良いのね。」

「ええ、大事に育てられましたから。」


「私たち妖精は一部の例外を除いて親がいないわ。自然と魔力が宿った物が精霊になり、成長して妖精になるの……」


「でも、確か精霊の間は親代わりになる妖精がいるんでしょう?」

「そうね。でも私は樹木の精霊だったから親になってくれる妖精がいなかったのよ。」

「えっ……」


儚い声をエールは出した。


「樹木の妖精ってね。私以外に3人いるの。でもね、それぞれすでに契約した人間がいたの。だから私は1人で育ったの。もちろん他の妖精が私の面倒を見てくれたわ。だけどね……」


そこでリーフは一旦口を閉じ夜空を見上げた。


「やっぱり寂しかったんだ。みんなはそれぞれに面倒を見てくれてるのに、私はひとりぼっちだったから……」

「でも、今は寂しくないんですよね?」

「そうね。私はある意味幸せ者よ。こんなに良い仲間に巡り会えたのんだからね。」


夜空を見上げてた視線を再びエールへ戻す。そして……


「ねぇ、少し手合わせしない?」

「ええ、私も実はそうしたかったんです。」


そう言うとエールとリーフは立ち上がり少し離れる。

「それじゃあいきますよ!」

「いいわよ!」


そう言うと2人は軽く運動をする様に模擬戦をするのであった。


1時間後……

「ふぅー、良い汗かいたわ。」

「ええ、眠気覚ましになりました。」

「眠気覚ましって寝なくちゃダメでしょ?」

「いいえ、私たちは見張りをしていますんで休んでいて下さい。」

「私たちって……もしかして……」

「そうニコラが今は木の上で見張りをしています。」

「ええ、そんな事しなくていいのに!」

「いえいえ、夜の山は怖いですから見張りはいた方が良いですよ。」


エールの言うことはもっともだけど、リーフ達には必要ないのだ。なぜなら……


「ごめんなさい、2人には言ってなかったわね。私の魔法は樹木だから危険な人物や魔物がいたら私か契約者のクラリスに教えてくれるのよ。」


「え、そんな便利な魔法があるんですか⁉︎」

「ええ、使えるのは私とクラリスだけどね。」


エールは驚く事しか出来なかった。


「じゃあニコラに声をかけて来ますね。」

そう言うとエールはジャンプしてニコラのいる高さまで飛び上がった。しかし……


「このままにしておきましょう。」

「えっ、何かあったの?」

「寝てました。」

「えっ⁉︎」

……

…………


「起こすの可哀想だしそうしましょうか。」

「ええ、そうですよね。」

そう言うと2人はテントの中は入り寝てしまった。


翌朝……

「もぉー、お姉ちゃん酷い!」

「アンタの方こそ見張り番してて居眠りとか何考えてるの!」


朝っぱらから姉妹喧嘩である……

 そして、そんな2人を見てか、フロールがクラリスに目配せをした。

クラリスは少しため息を吐きながら2人に近づいて喧嘩の仲裁に入る。

「2人ともいい加減にしなさい。お互い様でしょ?」

「「だってー!」」

「まだ何かある様なら鉄拳制裁になるけどどうしますか?」


優しい口調で目が笑ってなかったクラリスを見て2人は素直に謝った。


「うぅー……」

「ぐぅー……」

「はぁ、悪かったわよ。ごめんね1人にして。」

「私の方こそごめんなさい。」

「ふぅー、なんとかなって良かったわね。」


そして、リーフはというと……


「ちょっとクラリス、なんで私だけ逆さずりなのよ!」

「リーフがしっかりしてれば防げたんでしょーが、そこで反省してなさい!」

「ぐぬぬ……覚えてなさいよクラリス!」

「リーフならあのくらい簡単に逃げられそうだけど、なんで逃げないんですかね?」


フロールの疑問にクラリスが答えた。


「あの子なりに反省はしてるんでしょう。ただエールが主犯なのに何もされてないから文句言ってるのよ。」

「そういう事ですか。」


 フロールが納得している一方でウールはさっきからリーフを見ていた。


「ちょっとウール、何じっと見てるのよ。」

「いや、リーフ楽しそうだなーって。」

「解放されたら同じ事してあげるから楽しみにしてなさいウール……」

「さぁ、朝ごはん食べたら出発しましょう。2日連続で野宿は嫌でしょ?」


クラリスは指をパチンと鳴らすとリーフが解放される。そして朝ごはんを食べて出発するのであった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

次回更新は11月13日の午後15時です。お楽しみに。


宜しければブックマークと評価してくれると幸いです。

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