31歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
戦いの翌日、バースは里を一望出来る場所に墓が造られた。
これからも皆の発展を見守って貰うため、そして、さとの発展を1番近く1番眺めの良い場所が選ばれたのだ。
そして戦いの2日目、里に居た最強のドラゴン、バースと最凶のドラゴン、クローズ、お互いの代表が亡くなり、そして、クローズの攻撃の余波で現長も亡くなってしまっていた。つまり里を纏める者が居なくなってしまい穏健派と混沌派は大きく割れかけた。
しかし…それを防いだのはクラリスだった。クラリスは双方の長候補のドラゴンとの話し合いの場を作ったのだ。これ以上争えば里が崩壊してしまう。そうなれば二度と修復が出来なくなるのが分かっていたのだ。
穏健派からはバースと共に戦った人間という信頼から混沌派からはクローズを倒した人間という興味から話し合いに応じてくれている。
「まずは里の復旧からですかね。これはお二方両方賛成ですよね。」
「もちろん。」
「ああ、」
穏健派代表のメージュと混沌派代表のヘルは返事をした。
「分かりました。では、私たちも協力します。次に医療ですね。回復魔法を使えるドラゴンは何人いますか?」
「そうですね。穏健派は50人いるかと。」
「混沌派は40人くらいだ。」
「あの、派閥によってそこも分けられてるのですか?」
クラリスの質問にヘルが答えた。
「当たり前だ。それで派閥を変えられては堪らんからな」
「では、中立派のドラゴンたちはどうしてるんですか?」
今度はメージュが答えてくれる。
「中立派はどちらにでもいける。それでどちらになるかを決めているんだ。」
「あの、その図式やめませんか?」
「「はぁ?」」
2人が不満の声をあげる。
「貴様は里の者ではないのだぞ!なぜ従わなければならぬ!」
ヘルはクラリスに対して怒鳴りつけた。
「私もヘルと同じ意見です。私たちが何故あなたに従わなければならないのですか?」
怒鳴る事はなかったがメージュも不満の声をあげる。
「すいません、言い方が悪かったですね。一時的に穏健派と混沌派の垣根を取り払って貰えれば良いんです。」
「何故だ、それぞれの枠組で診てもらえば良いではないか。問題もないであろう。」
ヘルの言葉にクラリスは首を横に振る。
「いいえ、今だけは医療を統一して1人でも多く早く元気になってもらった方がいい。その方が復興も速く進みます。」
クラリスの言葉に2人は少し考え込んだ。
「なるほど、一理ある。」
「実際私の仲間3人が治癒魔法を使って診てますが、それでも間に合っていません。そして、そのほとんどが中立派です。怪我が軽い方は良いんですが、重症の方の回復には時間がかかるんです。どうか中立派の方も行きやすい様にして頂けませんか?」
「なるほど、確かに里のことを旅人に任せ過ぎるのは問題だな。だろう、ヘル?」
「確かにな!ならば一時的に垣根を取り払おう。里の者が居てこその我々だからな。」
(ふぅー……これでひとまずリーフ達の負担も減らせるはず。)
「ではここからはあの戦いについて当事者に聞きたい事があるのだがいいかな?」
「……手短になら、私も戻らないと他の者に負担をかけてしまいますからね。」
「ああ、分かっている。聞きたい事はクローズについてだ。」
「あいつは混沌派の代表みたいなもんだが、素行は最悪だった。そして今回里をも吹き飛ばした。こう言っちゃーなんだが奴にはそこまでの力はなかったはず。なのに何故あんな力を使えたのか、何か知らないか?」
クラリスは2人から視線を逸らし、少し考える……
「分かりません。バースさんが押さえつけていたのですが、いきなり魔力の質が変わりました。そして次の瞬間…空には黄金のドラゴンが居ました……」
「なるほど……クローズは新たな魔法を作っていたのかもしれんな……」
「強化魔法の類か……だがあの力は……」
「神龍でしたね……」
クラリスの核心的な一言に2人は沈黙した。
「すまなかったな。君たちに任せてしまって……」
「我々はあの時建物の下敷きになって翼をやられて飛べる状態ではなかった……情けない話だがな。」
「改めて礼を言う、クラリス殿。ありがとう。」
「戦ったのは私だけではありません。バースさん、リーフやエール、ニコラ、そして、裏ではフロールとウールも戦ってくれました。みんなで掴んだ平和です。」
「そうだな。クラリス殿が救ってくれたこの里を必ず復興させてみせます。」
「ええ、良い里を作って下さい。」
そのあと少し今後の話をして2人は持ち場に戻った。
(ふぅー…これで良い方向に進むはず。)
「さてと、私もリーフ達の元に戻ろう。」
リーフ達は今、バースの家で怪我人を診ている。ウールも治癒魔法を覚えたとはいえまだ複雑な事が出来ないので2人の助手をしている。
「ただいまー」
「あ、おかえりなさいクラリス。どうだった?」
出てきたのはリーフだった。
「うん、とりあえずこちらの負担は減らせそうよ。丸一日寝てないでしょ?寝てていいわよ。怪我人が来たら私が診るから。」
「ダメよ、クラリスだって全然寝てないじゃない。それに怪我もまだ完治してないでしょ、先に寝てきなさい。」
「……お互い譲り合い過ぎるのも良くないわね。いいわ。じゃあ少し仮眠とってくるから起きたらリーフも寝るのよ。」
「分かったわ。じゃあおやすみ。」
「そういえばフロールとウールは?」
「さっき里の人に呼ばれて治療しに行ってるわ。」
「え?動かせないほど重体なの?」
「みたいよ。亡くなったドラゴンは今のところ10人…行方不明が50人以上……殆ど死体確認よ。」
「辛いわね…」
「ええ……」
それだけ話すとクラリスは奥の部屋に入り眠りについた。
クラリスが眠った後、エールとニコラが訪ねてきた。
「「こんにちは。」」
「手伝いに来ました。」
「何か手伝う事ある?」
「あら、2人とももう怪我はいいの?」
「大丈夫よ。クラリスさんこそ大丈夫なの?」
「そうよ。確か骨にヒビが入ってたんでしょ?大人しくしとかないといけないのに、1日休んだだけでしょ。」
「ええ、だから今寝かせたわ。その間私は患者さん待ちよ。」
「それならリーフさんも寝てて下さい。私達が待機してますから。」
「いいの?2人とも治癒魔法使えないでしょ?」
「ええ、だから待機してる。誰か来たら起こしてあげるからゆっくり寝てて。」
2人に勧められたリーフはクラリスと一緒に休む事にした。
フロールとウールが帰ってくると、リーフ達同様休む様勧めて寝かせた。
その後1週間はドラゴンの里の復興作業をするクラリス達であった。
死界にて……
「ここは……」
クローズが目覚めると知らない場所にいた。
「まだ金色の身体のままだな。ならば……」
クローズはクラリス達に復讐する為に飛び立とうとした。
しかし……
「あー……生者の匂いだ……」
「肉がある……」
「肉が喰える……」
クローズは怯んだ。得体の知れない者達に……
「ええい、鬱陶しい!失せろ!」
クローズは亡者達に向かってブレスを吐いた。
しかし……
亡者達はすぐに復活しクローズに襲い掛かる。
「や、やめろ……やめてくれ!」
「生きた肉だ……腐ってない……」
そう言って亡者たちは柔らかい目玉などから喰っていった。
「ぬあああー!目が!目が!」
「次は舌を貰おうかの……」
「そうだね……近くで叫ばれるとうるさいし……」
目玉をくり抜かれて悶えるクローズをお構いなしに喰っていく亡者達……
「ねぇ、これウロコがあるよ。」
「なーに、ゆっくり剥がしていけばいい、ここでは無限に時間があるからな……」
「……そうだね。」
死界にクローズの叫びが響き渡る。死んでいるが肉体がある……
これからがクローズにとっての地獄の始まりであった。
2日間付き合って頂きありがとうございました。戦闘だったので一気に進めさせて頂きました。
楽しんで頂けていれば幸いです。
次回更新日は11月3日水曜日の21時です。
お楽しみに!
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