20歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
フロールが夕ご飯を作ってくれている間にウールも帰ってきた。
「ただいま!あれお客さん?」
「うん、フロールが守り神をしてた所の土地神様。」
「えっ?違うよ。フロールと契約してた土地神はこんな神様じゃなかったよ。」
「ええ、どうやら簡単な話じゃなくなったみたよ。」
「はじめまして、土地神をやっております。レーサです。よろしく。」
「あ、は、はい。えーと、フロールと契約してる精霊のウールです。よろしくお願いします。」
軽く挨拶を交わした後、ウールはフロールが居ない事に気づく。
「あれフロールはどこ?」
「えっ?みんなの夕ご飯作ってくれてるけど…」
「えー何させてるのよ。って、クラリスにやらせるよりはマシか。じゃあ私が変わってくるよ。フロールにはしっかり療養して貰わないと!」
そういうとウールは台所へと向かい。フロールと変わった。
フロールが台所からやれやれという顔で戻ってきた。
「今日はあの子凄く張り切ってるの。どうしてだろ?」
「それはまぁ……フロールが心配だからでしょ。」
「ふふふ。そうね、リーフはまだ戻らないのですか?」
「今日は無理でしょうね。やる事もあるだろうし。」
「ごめんなさい。皆さんを巻き込んでしまって…」
「いいのよ。そんな事気にしなくて。私たちは仲間なんだから!」
「…ありがとう。」
クラリスはフロールの頭を撫でながら優しい言葉をかけていた。
クラリスとフロールの様子を見ていたバースとレーサは何故か居心地が悪かった…
バース達の視線に気づいたクラリスは一つ咳払いをして話を始める。
とりあえず、ドラゴンの里に戻るまでにレーサにある程度の事をクラリスは話していた。具体的にはクラリスが最初に訪れた村の事からである。
「えーと、じゃあフロールが来たからある程度話を進めておきましょう。」
「そうじゃな。」
「まず、フロールが契約してた土地神はレーサさんではないんだね。」
クラリスからの質問にフロールは頷いた。
「では、あの街は誰が土地神だったのかだね…」
クラリスは次にレーサの方を見る。その視線を受けて今度はレーサが応える。
「フロールさんが居た街の事はクラリスさんから聞いています。確かに街はある。だが、あそこはしばらく守り神を置いて居なかった。何故なら50程年前に滅んでいるんだよ。」
「「えっ!」」
その言葉にクラリスとフロールは驚いた。
「そんな馬鹿な!あの街は確かにボロボロだったけど、確かに人の営みはありましたよ。」
クラリスはあの街の惨状を知っていたけれど、人が居た痕跡があった事を主張した。
「確かに人は居たのかもしれない。だが私の知る限りフロールさんの居た街は"見捨てられた街"と記録されていた。」
見捨てられた街とは、土地神がこれ以上の加護を与えても再生の見込みがないと判断した土地だ。そしてそうなってしまった場合、人々は連鎖的に姿を消すのだ。その場合の人々の消え方は2通りしかない。他の地へ行く者、そこで命を経つ者だ。
「そんな…では、私とウールが見せられていたのは…?」
「恐らくよく出来たまやかし。もしくはフロールさんと契約していた者が召喚した人のような者だったかもしれません。断言は出来ませんが…」
レーサはフロールの質問に仮説で答えた。
そして、レーサの仮説にクラリスは質問した。
「じゃあ、もしかしてその周りの村も…?」
「いえ、恐らく近くの村は人が居たと思います。でないと、魔物は村に現れませんから。」
「なるほど…そうですね。」
クラリスは納得して話を進めようとしたところでウールが夕ご飯を作ってもってきた。
「はい、お待たせしました。」
ウールは大きな鍋をテーブルの上に置いた。中には肉や野菜、きのこが豊富に入った特製鍋を作ってきた。
「おお、美味しそうじゃの。」
「ええ、頂くとしましょう。」
「ウールが1人で作れる料理はこれだけだもんね。」
「うるさいわよ!フロールがこれしか教えてくれないんだもん。仕方ないでしょ」
クラリスの言葉に少し反撃したウールだった。
「それに、クラリスみたいに全く出来ないよりマシよ!」
「うぐっ…」
クラリスはウールの見事なカウンターを受けて心に大ダメージを受けた。自業自得である。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は10月20日水曜日の21時です。お楽しみに。
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