19歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ。
一夜明けてエールとニコラがバースの家にやってきた。
「「おはようございます!」」
「あ、エールにニコラおはよー」
「あれ?フロールさんとウールさんだけですか?クラリスさんとリーフさんは?」
「リーフは妖精の里に里帰りしてるわ。クラリスは昨日の夜からバースさんと一緒にこの前の街へ行ったわ。」
「そうなんだ、それでウールはフロールの看病してるのね。」
「ええ、私の大切な人だもの。」
エールは眠っているフロールを見るのであった。
そのクラリスは…
「うーん…手掛かりなしか…」
「そうじゃの…」
例の神様を探していた。フロールが居た街を中心に探していた。バースさんの背中に乗せてもらっていたため街から街への移動も簡単だが…
「流石に3つの街を廻って手掛かりなしは辛いなー」
「もしかしたら、もう遠くへ逃げたのやもしれんな。」
「じゃあこの辺りを探しても…」
「諦めなさんな。まだまだこの周りには街がある。土地神の管轄範囲は広い。諦めず探そう。」
「はい……」
クラリス達はその後街から街へと飛び回ってみたが、やはり何の手掛かりも掴めなかった。
「今日はここで最後ですね。」
「そうじゃな…」
今いる街はドラゴンの里へ今日中に帰れるギリギリの距離の街だ。ここの守り神をまず探さないといけないが…
「あなた達ですか?私を探してるのは?」
後ろを振り向くと白髪の男性が立っていた。
「わ!あ、あなたは⁉︎」
「えっ?君たちが探してる土地神のレーサです。」
「あなたが!なら話が早いは!フロールになんであんな契約をかけたの?」
「フロール?その様な者とは契約しておりませんが…」
「とぼけないで!今は完全に契約は解いたの!だから契約が切れてて当然でしょ!」
怒り任せにクラリスが怒鳴るが、バースが落ち着く様に促す。クラリスに代わってバースが質問する。
「それは確かかの?フロールという妖精を守り神にして、街の窮地にも訪れなかったらしいのじゃが…」
「その様な土地神はおりません!第一その街はどこですか?私はしばらくここの土地を守って参りましたが、その様な情報は入ってきてすらおりません。」
「そ、そんな…」
(では、あの街はなんだったの?2人はずっと騙されていたというの?)
考えを巡らせるにつれ、クラリスは血の気が引いていった。
「とにかく、そのフロールという子に合わせて頂けませんか?埒があきませんし、もしその様な不届き者が居るのでしたら、私どもも協力しないといけません!」
「そうじゃの。ではワシらと来て貰えないだろうか?」
「ええ、お願いします。」
バースと土地神様が行こうとした時、クラリスは土地神様を呼び止めた。
「あっ、あの!」
「なにか?」
「先程は失礼致しました。仲間を傷つけられて少し感情的になってしまいました。」
「良いのですよ人の子。友や愛する者が傷つけられて冷静におられる者の方が少ないのです。その気持ちは大切にして下さい。」
どこまでも健やかに笑う土地神にクラリスも拍子抜けしてしまった。
「はい…ありがとうございます。」
クラリスはお礼を言って2人の後ろを歩くのであった。
バースさんに乗ってドラゴンの里に戻った頃には日が完全に沈んでいた。
「ただいま、」
「あっ、おかえりなさいクラリスさん。バースさん。あの…そちらの方は…?」
「フロールはやっぱり知らないのね。」
クラリスは俯きながら誰にも聞こえない声で囁いた。
「初めまして、フロールさん。私はこの辺りの土地神のレーサーです。よろしく。」
「よろしくお願いします。」
フロールは軽く会釈をして挨拶をした。
「あれウールは?」
クラリスはウールが居ない事に気づいてフロールに聞く。
「ウールはエールとニコラを送って行ってるわ。さっきまで私の看病してくれていたの。もうすぐ戻って来るはずよ。」
「そうなのね。」
とりあえず立ち話もなんなので、一旦全員椅子に座る。
「それではフロールさん。貴女のお話しを聞かせて頂けますか?場合によってはこれは大きな問題となりますゆえ…」
「はい、分かっています。」
「おっと、その前に!」
今から大事な話が始まろうとしている時に、いきなりバースが話を止めた。
「ど、どうしたのですか?」
「ワシ、流石に腹が減った…何か食ってからにせんか…」
「そういえば私も昨日の夜から何も食べていなかった。」
「そうですね。では何か作りますんで待っていて下さい。レーサさんは嫌いな物ありますか?」
「気が利きますね。では、辛い物は避けて頂けると助かります。」
「分かりました!」
フロールは昨日に比べて明らかに元気になっていた。それが目で見て分かる事にクラリスは一安心した。
こうして話は夕食後となった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は10月16日土曜日の21時からです。
次回もお楽しみに!
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