149歩目
クラリスの一撃の後には何も残らなかった。
「クラリス……アンタは戦う人じゃないわね。」
「えっ?」
「よく500年も生きて来れたわね。」
「それは不老不死だから……」
「そうね。でも、あなたは戦士にはなれない。」
「えっ?」
「ずっと思ってた。あなたは誰かの為に戦える。でも自分の為には戦えない。」
「そ、そんな事……」
「私の時もそう。全く関係の無い神連中の為に戦った。そして私のことも助けてくれた。」
「それは……」
「あなたがその気になれば全てを殺せたはずよ。前にリーフも言ってたわ。クラリスは甘いって……」
「……」
「だから、この戦いが終わったらもう休みなさい。」
「えっ?」
「もう変に戦わなくてもいいわよ。もう十分戦ったじゃない。これ以上はもういいわよ。」
ツボミは少し涙ぐんでいた。それはこんな優しい人間がいつも最前線で傷ついていたという事を知ってしまったからだ。
「でも、それでまたみんなが危険な事になったら……」
「ばっかじゃないの⁉︎みんなそんなに弱くないし、みんなクラリスの事心配してるのよ?なんで分からないのかなー?」
「えっ……」
「無自覚なのね。フロールなんて心配で泣きそうになってたでしょうが!」
その顔を思い出す。フロールのぎこちない笑みを……
「みんなクラリスにいなくなってほしくないし、苦しんで欲しくないのよ。この戦いが終わったら、みんなで楽しく暮らすのも考えてみてよ。」
「そう……ね。」
クラリスは少し考えるそぶりをみせてリーフ達の後を追った。
「はぁ……これはまた絶景ね……」
リーフとジェシカは今バンデスの封印されている水晶の前にいた。
「これを封印し直せば終わりなのよね?」
「ええ、クラリスちゃん達が来たら出来る準備をしておきましょう。」
そう言うとジェシカは陣を描き始めた。それはとても複雑でリーフには最早理解出来るものではなかった。
「よし、これでいいわね。」
「凄い……複雑過ぎるわ……」
「そうね。リーフちゃんの知らない言葉も含まれてるからね。」
「ええ、あの辺の文字なんて全く分からないわ。」
「……ねぇ、リーフちゃん……」
「何ですか?」
「この戦いが終わったらクラリスちゃんが安心して暮らせる場所を作ってくれない?」
「えっ?」
急な言葉にリーフは戸惑ってしまう。
「もう、あの子はずっと旅をしてきたわ。それでもあの子は1人でこの世界を彷徨い続けてるの……もうあの子が救われても良いと思うのよ。」
「そうですね……もう楽になっても良いと思います。」
「決まりね。」
「でも……それはクラリスが決める事だと思います。私はそれに付いて行くだけなので……」
「……ほんといい仲間と出会えたわね。」
話を終えたころクラリスとツボミが戻ってきた。大詰めである。
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