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14歩目 

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ!

「2人とも、流石に仕事が早いねー」

「そっちも早かったねー」


フロールとウールが帰って来たのは日が暮れる少し前だった。


「はい、薬草と飲み薬ね。」

「ありがとう。金貨足りた?」

「ええ、それと今回の違約金はいらないってさ。その代わりに、その子を助けて下さいだそうよ。」

「流石、よく分かってるわね!」

「あの…」

「どうしたんですかエールさん?」


不審そうな目でエールがこちらを見てきたので、フロールが話し相手になる。


「あなた達はお人好しなんですか?」

「私たちではなく、クラリスさんがお人好しなんですよ。」

「えっ?では…わざわざ付き合う義理もないのでは?」

「ふふふ。そうですね、でもクラリスさんは私を助けてくれたんです。そんなクラリスさんを私も助けたい。だから私たちは、クラリスさんと一緒にいるんです。」

「…あなたも相当お人好しですね…」

「だとしたら、クラリスさんの影響かも知れませんね。」


エールの皮肉のような言葉をフロールは笑顔で誤魔化した。


「さぁ、夕ご飯の準備するので、手伝って頂けますか?」

「そうね、そのくらいは手伝うわ。ここまでして貰ってるんだからね。」

「ウールも手伝ってね。」

「分かってるわよー」


3人は夕ご飯の調理へと取り掛かった。


(火傷が酷いわね。治癒魔法だけじゃ後が残りそう。)

クラリスは収納魔法から一つの小瓶を取り出し、蓋を開ける


魔水(ますい)よ、我が魔力に応え、その真価を発揮せよ。リバイバルスキン!」


詠唱を終えると小瓶の中の魔水が生き物の様に動き出し、ドラゴンの傷へと向かっていった。


「わああっと!ちょっとクラリス!魔法使うならちゃんと言ってよ!危ないでしょ!」

「あっごめん!」

「もぉー!思いっきり水が飛んできたわよ!当たると痛いのよ!」

「ごめんってば!」

「まぁ、いいわ、それより魔力量大丈夫なの?」

「なんとかね、魔力量は考えてるから安心して。」

「とか言って、これまで無理して何度倒れたのよ、そのあと連れて帰る私の身にもなってほしいわ!」

「流石私のお目付役、頼りにしてるわ。」

「嬉しいけど、嬉しくない…」

「何よそれ?」

「なんでもないわよ!」


急にリーフから怒鳴られて、びぐっとなったクラリスでした。


「2人とも、そろそろ夕ご飯にしましょう。そちらのドラゴンさんはご飯食べられそう?」

「…ちょっと待ってて。」

………

「まだ眠ってるから起きた時にお願いするわ。」

「分かったわ。じゃあ保存魔法かけておくね。」

「フロール、そんな魔法も使えるんだー」

「ふふふ。凍らせておくだけよ。でもこれをしておくと保存期間が延びるし、おまけに次は火を起こさずに魔力を込めるだけで温まるの。便利でしょー」

「へぇー、便利ね今度教えてよ!」

「私も!私も!」

「ええ、この一件が終わったらね。」


ちなみに、今日の夕ご飯はリゾットである。理由はお粥を作る為にお米を使った料理となったのだ。


「エールさんどぉ?美味しい?」

「ええ、美味しいわ。」

「良かったわー」

「ねぇ、フロール味薄いから少し辛味(からみ)の調味料頂戴。」

「ごめんなさい、私も。」


クラリスとフロールが少し濃い目にしたいとの要望が上がった。


「あー、2人は魔力が足りないものね、」

フロールはバッグから調味料を取り出した。

「「ありがとう!」」

とりあえず一振りずつして、食べ始める。


「それで、その子の名前は?」

「この子の名前はニコラよ。人の姿にもなれるけどこの怪我じゃ無理なのよ。」

「まぁ、そうよね。完全に完治するまでにはまだまだ時間がかかりそうだし。」


横目でウールが悲しそうに言う。


「まぁ、焦る必要はないよ。それにさっきクラリスが魔水を使って魔法をかけたから1週間位で治るわよ!」

「えっ、そうなの?」

「まぁ効く事を願うしかないわ…あまりにも傷が酷いからね。」

「ごめんなさい…巻き込んでしまって…」


エールの目から急に涙が落ち出した。


「なっ!ど、どうしたの?」

「何で泣きだしたの?」

「だって…だって…」


すると黙ってフロールはエールの横に座って肩を抱いてあげる。


「エールさんは無力なんかではありませんよ。」

「どうして…分かるの?」

「私もこの前まで似たような者だから。わかるのよ。でもね、結局1人では何も出来なかった。だけど、私には助けてくれる人が居たの。だから、あなたももっと頼りなさい。」

「でも、ワタシは皆さんに迷惑しか…」

「それなら、いつか返してくれれば良いんじゃない?」

「そうね、エールが返せる時に返して貰えればいいのよ。もしくは別の誰かを助けてあげてくれればいいわ。」

「あなたたち…本当にお人好しね…」


エールはクラリス、リーフ、ウール、そして隣のフロールに向かってお礼の様な皮肉を言って、笑顔になった。


ここまで読んで頂きありがとうございました。


面白かった方はブックマークと評価をよろしくお願いします。


次回更新は10月9日土曜日の21時です。よろしくお願いします。

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