145歩目
「クラリス⁉︎」
しかしそこにはクラリスはいなかった。
「そ、そうよね……いるはずないものね……でも!」
リーフの目に再び光が戻った。
「そうよね!このまま死ぬなんてアホらしいわよ!またみんなと……クラリスと冒険に行くんだから!」
そしてそのまま戦い続けているとあの時と同じくクラリスが現れた。そこで全てが終わった。
「リーフ!良かった……遅かったから心配したのよ!」
クラリスはリーフを抱きしめる。
「もう!なんで泣いてるのよ!」
「だって……」
結構強く言っているがその腕を離す事はないリーフ。だからジェシカが割って入る。
「はいはい、お熱いのは結構だけどまだ何も始まってないわよ。」
「何?ジェシカはヤキモチ?」
「神様は全ての生き物を愛するの。クラリスちゃんだけじゃないわよ。」
「ふぅーん。」
どこか疑いの目を浮かべるリーフ。そしてそこにいないはずの子の声がした。
「いや、アンタら全員クラリスの事好きでしょ?」
「ツボミ⁉︎ってクラリスの中にいるから居てもおかしくないのか……」
「あら、鬼蜘蛛のお嬢さんもいたのね。」
「そうよ。クラリスの中に封印されてるのよ。ある意味みんなよりクラリスの事を知ってるかも。」
「なんでアンタが1番知ってるのよ!」
「だって、クラリスの中にいるから何を見て来て何を思ったのか全て分かるのよ。」
「あの……プライバシーの侵害なんですが?」
「封印させてるならそのくらい見られる覚悟しときなさいよ。」
「ていうか、なんで出て来てるのよ?」
「いや、暇だもんだから自分で開けられる様にした。」
「アンタ封印されてるのよね?」
「そうよ。でも抜け出せる様にしたのはクラリスだから、クラリスがそんな事しなかったら私も大人しくしてたわよ。」
何も言えないクラリスに冷ややかな視線を送るリーフ。それでも後悔のないクラリスだった。
「さぁ、前へ進みましょう。もう少し先にあるはずよ。」
ここに来てのツボミが仲間に加わった。そしてクラリス達はまた前へと進み始める。
「そう言えばクラリスちゃんの昔の事が見えるって言ってたけどどんなのが見えたの?」
「そうねー、1人で焚き火をして泣いている時とか……」
「ちょっ!」
「リーフのおでこにキスしてる時のドキドキ具合とか……」
「ちよっと!ちょっと!」
「ダークとか言うお姉さん達に叱られてる時も実は嬉しかったりしてるとかかな?」
「ぎゃー!やーめーてー!」
もはや羞恥心でクラリスのメンタルはボロボロになっていた。大事な仕事前に……そしてリーフもその時の事を思い出してドキドキしているのだった。
「はいはい、ツボミちゃん続きはまた帰ったら聞かせてね。このままだと仕事前にクラリスちゃんが使い物にならないから」
「分かったわ。」
どちらにしろ後で公開処刑である……
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は12月14日水曜日の21時です。お楽しみに!
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