144歩目
クラリス達は霧の中にいた。
「何よここ!」
「なんか空気が冷たいわね……」
「ここは神の廊下ね。ここを通って行くと封印されたバンデスの元に着くはずよ。」
「それで……ここを通るにも何か仕掛けがあるんでしょ?」「リーフちゃん鋭いわね。そうここを通ると過去の記憶を見る事になるわ。しかもとても嫌な記憶よ。」
「嫌な記憶?」
「簡単に言えばあの日、あの時、あの瞬間。別の行動をしていればって記憶よ。その記憶が流れた時に全く同じ行動をしなければならないの。」
「えっ?なんでよ?」
「じゃないと今の私たちにならない……からでしょ?」
「流石クラリスちゃん分かってるわね。でもその時になってみないと分からないのよ。」
「……そうよね。その時を後悔してるんだからね。て言うか。かなり陰湿よね。そんな記憶をひっぱりだして来るなんて。」
「そうしないと結界にならないでしょ。」
「そういう事。これは下手に意思の弱い者を近づけない為のものだからよ。」
「つまり、精神干渉してくるってわけね。」
「しかも同じ道を選ばないといけないというおまけ付きよ。2人とも流されないようにね。」
クラリスとリーフは頷くと前へ歩きだす。
「ここは……」
気がつくとクラリスは魔王を目の前にしていた。そして周りには自分を裏切った勇者たち。
(なるほど……確かにここであいつの身代わりにならなければ……)
「おのれ……勇者め……ならば貴様に呪いをかける。死なぬ呪いは死ぬより辛いぞ!」
「なに!?」
その瞬間クラリスは前に出ていた。
(確かにこいつを守っても碌な事はなかった……でも!)
「リーフ達に会えたのは私にとっては幸せなのよ!」
魔王の呪いを受けたと同時に霧が晴れ。クラリスは大結晶の前に現れるのだった。
一方リーフは……
「1人ぼっちね……」
リーフは1人で雨に打たれていた。
「そうだったわね。あの時はこんな雨の中で……怯えてたのよね……」
そうこの時のリーフは死にたかったのだ。妖精の里から迫害されて。その追手に追われていたのだ。
「あの時は確か私が里に火を放ったって言われていたんだったわ。そうそして……」
今いるのは崖だった。そして……
「いたぞ!」
(見つかったんだったわね……)
「おあつらえ向けに崖だ!そのまま殺せ!犯罪者を突き落とせ!」
(あー……そうだったわ。ここで落ちていれば誰も傷付かずに済んだんだ。)
雨に打たれて気持ちも落ちていたリーフはさっきの話を忘れていた。本来は無実のために戦っているとクラリスがくるのだ。しかし雨に打たれ、あの時殺した者達の顔がそこにあった。
(そうよね……私がやってないにしても殺したらダメだよね……なら……私が……)
そう思い崖から飛び降りようとした時……彼女は現れた。
「リーフ!」
ここまで読んで頂きありがとうございました!
次回更新は2週飛ばして12月7日の21時です。お楽しみに!
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