142歩目
ドラゴンが全て灰になるとクラリスたちは先へと向かう。
「でも、なんで神龍なんて二頭もいたのかしら?」
「向こうには創造神がいるもの。アイツにかかれば簡単に作れるわよ。」
「バンデスですね……」
「確かにあいつがいれば作れない事はないわね。」
フロールとリーフはジェシカの言葉に納得するのだった。
「さぁ行くわよ。この先にたぶんあるはずよ、そのバンデスがね。」
言葉とともに扉を開ける。そこには玉座に座る髭を生やした人がいた。
「お久しぶりです。エレン様。」
「久しいなジェシカ。して、その者がクラリスか?」
「はい。ですがこの者は無罪です。その潔白をしにきたそうです。」
「そんな事はとうの昔に知っておる!」
「えっ?」
「「「「「「えー!」」」」」」
流石にその場にいた全員が驚いた。
「何を驚いておる。ワシは神だぞ。全ての生き物達が何をしているのかくらいわかる。」
「では、何故クラリスさんを指名手配なんかにしたんですか⁉︎」
フロールの疑問はさも当然だった。何せ妖精の里はそのせいで戦争状態なのだから。
「あれは奴を誘き出す為の作戦だ。奴は今冥界にいる。そこにクラリスという餌を撒いておけば奴らはそこへ来るだろう。」
「つまり妖精の里を囮にしたというわけですか?無関係の者もいるのに。」
怒りで震えた声で質問するクラリスにエレンは答えた。
「安心せい。もとより無関係の非戦闘員や住民は妖精王が匿っておる。その為にも天界からも戦士を向かわせておる。妖精の軍と戦うためではない。大罪人を捕まえる為にな。」
無関係のものは大丈夫と聞き安心したクラリス。だが相手は創造神。じっとしてなどいられない。が、その前にジェシカが気になってた事を聞いた。
「では、あの神龍2体はなんだったのですか?」
「あれか?あれは番犬ならぬ番龍じゃ。バンデスほどではないがワシも作れない事はないからな。もし刺客が来てもアイツらを倒せるはどの者などなかなか現れんからの。お前達は倒してしまったがな……」
「……すいませんでした。」
結構凹んでいたので流石に謝るしかなかったクラリスでした。
気を取り直して、現在の状況確認をするクラリスたち。
「では、私たちはここで待っておいて良いのですか?」
「そうしてもらいたいのだが……そうも言ってられんのだ。」
「えっ?」
「お前達には過去へ飛んでもらい。バンデスを封印し直して貰いたい。」
「何故ですか?」
「もし、奴が妖精の里を壊滅させた場所。その被害は甚大となろう。その前に奴を封じてしまえば被害を無くす事が出来る。」
「なるほど、ですが。1つ聞きたい事が。」
「なんだね?」
「バンデスが封印され続けるのは良いんですが、私たちの出会いはどうなるのですか?」
フロールの疑問にクラリス達はハッとなった。確かにフロールとウールはバンデスによって街に縛られていた。それを助けたのがクラリスなのだからこの出会いも無くなってしまうのだ。
「心配いらん。その点はクラリスが妖精の里に行った時にすでに出会うものだったのだ。少し遅れただけとなる為何も変わらんよ。」
それを聞いて落ち着いたフロール、そしてクラリスが次に質問した。
「では、バンデスによって起こった問題は全て無くなるのですか?」
「そうだな、あの者が起こした問題は全て無くなるはずだ。それで死んだ者もなかった事になるだろう。」
「では、私たち姉妹とクラリスさん達は出会わないのですか?」
不安げに聞いたのはニコラだった。確かにニコラがバンデスにやられたからあの場で出会えたのだ。
「龍族の姉妹か、お前達が本当にクラリス達と会うのは3日後だったのだ。お前達が力比べをして負けた後ついて行くのだ。」
「そ、そうだったのですね。」
「もとよりお前達は皆縁を持っていた。バンデスが関与しようとしまいとな。さぁ悩みは解決したな。では行ってこい!」
エレンがそう言うと辺りが輝きだし、クラリス達は過去へと向かうのだった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は11月9日水曜日の21時です。お楽しみに
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