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138歩目

 クラリスの目の前には懐かしい顔ぶれがいた。


「久しぶりね、クラリス。」

「お前に殺されて何百年経つのか……今まで憎しみが消えることはなかったぞ。」

「まぁ落ち着きたまえ2人とも、今はあそこの天使さんを救う事が優先だ。」


 めちゃくちゃ勝手な事を言っている3人にクラリスはというと……


「天使さん。案内続けて頂戴……」

「えっ⁉︎でも……」


「彼らと争っている場合ではないんです。早く行かないと妖精の里と戦争になってしまうの。」


「で、ですが……」


「おいおい、俺たちを無視とは偉くなったな、クラリス!」

「これはきついお仕置きが必要ね。」


「殺しても死なないんだ。徹底的にやれ、2人とも!」

「おう!」

「はい!」


 クラリスに襲いかかる2人に対してクラリスはというと……


「エアーブラスト……」


「なっ!」

「風魔法⁉︎」


 驚く2人に対してクラリスはさも当然の様に告げる。


「500年……私が何もしなかったと思ったの?あなた方の相手をしてる暇はありません。お引き取りを。」


「随分と舐めた口を聞く様になったなクラリス!だが、お前にこの聖剣を受けれるのか!魔王の力を手に入れたお前にな!」


 そう言って勇者は聖剣を振り上げクラリスへと向かってくる。


「聖剣ね……だったら……」


ガチン!


 クラリスは聖天の剣で聖剣を叩き折った。


「聖剣が神具に勝てるはずないでしょ?」


 聖剣は真っ二つに割れた。それは勇者の心をも割った。


「ま、まさかこれほどとは……」

「あ、ありえない……あのクラリスが……」


「もう皆さんは死んでいるんです。私への怨みなんて捨てて早く次の生を受けて下さい。さようなら……」

「ふざけるな!貴様は俺の不老不死を奪った!それは貴様なんかには相応しくない!」


 勇者の一言にクラリスは足を止め勇者へと歩み寄り胸ぐらを掴んだ。


「アンタ……死んでも何も変わってないわね……」

「なんだと!」


「こんな力、欲しければあげたいわよ!アンタにわかる?1人で生きていく苦しみを!奇異な目で見られ続けられる息苦しさ!どんなに痛い思いをしても死ぬ事の終わらない地獄をがアンタにわかるの⁉︎アンタなんか守るんじゃなかった……そうすればこんな苦しみ……味合わなくて済んだのに……」


 クラリスは掴んでいた胸ぐらを離した。


「もう私に関わらないで……さようなら……」


 クラリスは泣きそうになりながらも前を向いて歩き始めた。その後ろを天使が付いて行くのだった。



「クラリスさん、泣いてます?」

「泣いてなんて……」


「泣いてますよね?」

「泣いてなんていません!」


「でも、涙が……」

「うるさい!泣いてなんてないもん!」


 それでも頬を伝う雫は止むことがなかった。


「本当はかつての仲間と話したかった……」

「何を……」


「本当は謝りたかった……」

「やめて……」


「本当は……」

「やめてってば!私の心を……見ないで!」


 クラリスは怒鳴り声をあげる。それでも天使は続けた。


「あなたは優しすぎます。あの者たちは明らかに敵意がありました。それなのにそんなふうに思えるクラリスさんは優しすぎるし、甘すぎます。」


「……だって……もともと私が悪いんだもん。私があの時アイツを庇ってしまったから……」


「良いんですよ。もう起きてしまった事ですから。それに……今の仲間を大事にすれば良いじゃないですか?」


 そう言って天使が指差した先には……


「えっ?リーフ?」

「私たちもいますよクラリスさん。」


「フロール、ウール、ニコラ、サクラ、ツボミ……なんで?」


「あなたの幸せを第一に願った私が連れてきたのよ。クラリスちゃん。」


 振り向くとそこにはあの時の女神様がいた。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新は10月12日水曜日21時です。お楽しみに。


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