136歩目
「みんな起きて！」
宿屋に戻ったツボミはリーフ達を起こした。だが……
……
…………
………………
「なんで起きないのよ！」
ツボミは怒ってリーフ達の頬を引っ叩いた。しかし起きない。
「ま、まさか……」
「催眠魔法みたいねー……」
ツボミがぎょっとなって後ろを振り向くとそこには白い羽を生やした女の人がいた。
「だ、誰よあなた！」
「クラリスちゃんの知り合いよ。それよりこの子たちを起こさないとね。」
そう言うと左手を掲げて魔法を放つ。
「ホーリーホイミ」
「ん……」
「んん……あれ……頬が痛い……」
「なんか……まだ寝てるみたい……」
「……ふわぁー……」
「……あれ？クラリスさんは……？」
5人は目を覚ました。そしてフロールがクラリスがいない事に気がついた。
「みんな聞いて！クラリスったら1人で天界に行っちゃったの！」
「……はぁ？」
「はぁーー？」
「なんで……私たちに黙って……」
「あの子の仲間なんでしょー、分からないなんてないでしょ？」
そうしてツボミの横に立っていた女性が口を開いた事によってリーフ達はそちらへと振り向いた。
「誰よアンタ？」
「私？私は女神です。主にクラリスちゃんを守護してるね。」
「女神……もしかしてクラリスさんに幸せになる様に言った女神様ですか？」
「へぇークラリスちゃんから聞いてるんだ。その通りよー、さてあなた達はこれからどうする？」
いきなり女神に質問されたリーフ達。
「どうするって！クラリスを追いかけるに決まってるじゃない！」
「そうよ！こんな形で置いてけぼりにしたクラリスさんにはしっかりと謝ってもらわないと！」
「そのクラリスちゃんはみんなに死んでほしくなかったみたいよ。」
いきなり鋭い視線を受けて引いてしまうリーフとサクラ。
「このツボミって子もついて行こうとして無理矢理抑え込まれて連れて行って貰えなかったの……それでもあなた達に行く覚悟があるのかしら？」
「あるに決まってるじゃない！」
「そうですよ！馬鹿にしないで下さい！」
「そうね、フロールが行くなら私はどこまでもついて行くつもりよ。」
「とりあえずクラリスさんを殴らないと気が済まないから行きます。」
「私はクラリスさんに生きててもらわないとまた1人になっちゃうからね。絶対生きててもらわないと！」
「私を置いてけぼりにするなんて絶対許さないわ！絶対ギャフンと言わせてみせる！」
理由は様々だが、クラリスを助けに行くということになった。
「クラリスちゃんったら……いろんな子と仲良くなったのね……分かったわ。じゃあ行きましょうか。クラリスちゃんがいる天界へとね。」
女神さまの力で部屋が光り出す。そうして部屋には誰も居なくなっていた。
その頃クラリスはというと……
「なんてた力だ……」
「我々が手も足も出んとは……」
「あの雑魚だったクラリスに……」
クラリスはかつての仲間、勇者パーティを1人で圧倒しているのだった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は9月28日水曜日の21時です。
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