130歩目
引き続きホラー回です。
「めちゃくちゃ怖かったんだけど!」
「じゃあボタンちゃん寝ちゃってるから次はどっちがいく?」
「えー!やるの?」
ニコラは嫌らしく終わりにしたいらしい。
「ニコラは怖い話苦手だったっけ?」
「怖いのは嫌!」
「じゃあエールさんお願いします!」
「続けるの⁉︎嫌なんだけど!」
ニコラが嫌々言っているが有無を言わずにエールは始めた。黒い笑みを浮かべるエールが目に浮かぶニコラであった……
「とある村に12段の階段がありました。そこは通る人によって13段になるそうです。」
「へぇー。それからそれから!」
さくらは興味深々だがもうこの話を知ってるニコラは既に耳を塞いでいた。なのでエールがニコラの手を耳から引き剥がした。
「その階段で13段の時、その人は不幸になると言われてます。私は何度も登り降りしたんですが12段にしかなりませんでした。」
「じゃあ迷信だったんだ。」
「いいえ、私が30回目のチャレンジをした時に……」
「け、結構やったわね……」
流石の回数にサクラは引いていた。
「私の後に登ってきた子供が13段だったの……そしてその子はこう言ったの。」
『やった!13段。これでお母様に逢える……』
「いやーーー!」
その瞬間ニコラは叫ぶ。そしてそれを他所にエールは話を続けた。
「そうしてその少年はすぅーっと消えていきました。あの階段はもしかしたら天国に繋がっていたのかもしれませんね。」
「……なんか良い話ですね。怖い話を期待してたんだけど……」
「いや、怖いから!要はその階段が13段の時は死んでるって事でしょ!もし数えてなくていきなり天国に飛ばされるなんて考えたくもない!」
鈍感なサクラに盛大にツッコむエール。するとそこに……
「ニコラ!どうしたの?」
「ニコラさん大丈夫ですか?」
いきなり後ろからサクラが現れたのだ!
「サ、サクラ!」
「ボタンも!なんで今私たちの目の前に……」
しかし振り返っても先程サクラが座っていた場所には誰もいなかった。そして気絶していたボタンも居なくなっていた。
「あの……もしかして今までここにいなかった?」
「えっ?私たちは今戻ってきたんですよ。山賊に絡まれてそいつら追って壊滅させてきてから戻ってきたので……あの何かありました?」
「「……」」
2人の顔色が真っ青だったのでサクラとボタンが心配していると……
「かひゅー……」
「いやーー!」
ニコラはそのままぶっ倒れて、エールは絶叫するのだった。
ニコラが気絶してしまったのでエールが先程の話をした。
「えー!そんな事があったんだ!」
「怖い……」
「ほんとーーーに、サクラたちじゃないのよね?」
「違うって。私たちは山賊たちを蹴散らしてたんだから。ね?」
「うん……私を狙ってた……」
「ボタンを狙ってた……まぁこの辺りじゃキツネは珍しいものね。それにキツネの毛皮は重宝されるから。」
それを聞いたボタンは顔を真っ青にした。なので急いでエールがフォローした。
「し、心配しないで!私たちがいるんだから安全よ。」
「う、うん。」
少しは恐怖を取り除けたのかボタンの顔は安心しているように見えるのだった。
「でも、意外だね。エールさんが怖い話苦手そうなのにまさかのニコラさんが苦手とはね。」
「この子は気丈にしてるけど、本当は気弱なのよ。でも私と一緒に居たいから強くなったって母から聞いたことがあるの。」
「そうなんだ。2人は凄く仲良しなんだね。」
「ふふふ。そうね。さぁ2人はお腹すいたでしょ?夕飯作るから少し待っててね。」
「そういえば何も食べてなかったわ!何作ってくれるの?」
「お楽しみです。」
こうして奇妙な夜は終わりを告げるのでした。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は8月17日水曜日の21時です。お楽しみに!
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