129歩目
*微ホラー有りです。苦手な方はブラウザバックして下さい。
エールとニコラの手合わせが終わった。後はねるだけなのだが……
「後ろを振り返るとそこには……」
「「きゃー!」」
「……」
何故か怪談話をしていた。始めたのはサクラである。何故こんな事になったのか。時間は少し遡る。
「ねぇ、エールさん達の里に伝わる怪談話ってない?」
「「怪談?」」
「なんですかそれ?登り降りをするのですか?」
「階段なら里のあちこちにあったでしょ?」
2人とも分かっていなかったのでサクラが説明してくれた。
「そっちの階段じゃないわよ!怪談って言うのは怖い話の事なの。」
「「へぇー」」
「それで2人の里にそんな話はあるかしら?」
エールとニコラは顔を見合わせて少し考える。
「怖い話かー……エール何かある?」
「そうねー、でも具体例が欲しいからサクラさんに先ずは話してもらおうかしら。」
「私から⁉︎ボタンちゃんは何かある?」
「わ、私は2つくらいなら……」
「じゃあ私とサクラちゃんでまわしてその後2人でお願いね。」
「えっ……いきなり……頑張る。」
少し驚いていたがボタンは了承した。
「じゃあ私から!」
一つ咳払いをしてサクラが話を切り出した。
「私が旅をしていた途中に村がありました。その村は至って普通でした。でも夜になると……いや月が登る前にみんな家の中に入ってしまうんだ。それでね泊めて貰ってる宿の人にその事を聞いたのでも答えてくれなかったわ。」
「えっ?じゃあ理由が分からないままなの?」
「そう。だから私が調べたの。もう玄関は閉まっているから宿の窓を開けてそこから外へね。」
エールの疑問に答えてサクラは話を続けた。
「真夜中ってわけじゃないわ。丁度この位の時間くらいだったと思う。私は外に出ると提灯……ここで言う松明の様なものね。それを持った数人の誰かが山に入って行くのが見えたの。」
「追ったの?」
「……うん」
少し溜めて頷くサクラ。
「山に入って気づかれない様に少し離れて追ってたわ。7つの松明を目印に私は跡をつけたわ。でもね……追いかけてて気がついたの。そいつら足跡がなかったの。真後ろを付いて行ってたわけではないけど山の中で地面はぬかるんでる所もあったの。それなのに……」
それを聞いて3人は顔が青くなった。
「そ、それでどうなったの?」
エールが続きを促し、ニコラはコクコクと首を縦に振る。ボタンは怖すぎてニコラとエールの間にいた。
「そのまま奥へと歩いて行くと前にいた7つの松明が1つ消えたの……そして前には6人の影が立ち止まったままだった。だから私は少し距離を縮めたの。そしたらこんな話が聞こえてきたの。」
ゴクリ……
3人は息を飲み込んだ。
「良いのか、1人逝ったぞ。」
「良いよ。1人来たからな。」
「新しい仲間だね。」
「良かった、良かった。また見える人間が来てくれた。」
「でもね……」
「ああ、まだ死んでないから殺さないと仲間に出来ないよな……」
「それを聞いた私は一目散に逃げました。でも、彼らは影になって私に襲ってきたの。そして私が後ろを振り返ると……」
「「きゃーー!」」
叫んだのはエールとニコラ、そしてボタンは怖すぎて気絶していた。
「ちょっとここからなのよ。」
「もういいよ!怖い怖いから!」
「私は……もう少し聞きたい。どうなったの?」
反ベソのニコラは聞きたい様なので仕方なくエールも聞くことにした。ボタンはエールが抱き抱えてあげることにした。
「私が振り返るとそこには人の影が私を包み込んだの。そして私は気を失ったわ。その間に話が聞こえたの。」
「こいつ殺さない……」
「死なない……人間……」
「じゃあ仲間にできないな……」
「では、海に行こう。そこで仲間を探そうぞ……」
「あーあ、早く成仏したいなー……」
「そして目が覚めると私は森の中で寝てたわ。村に戻ると私を見て驚きの声を上げたわ。理由を聞くと私が森へ連れて行かれたと思って死んだと思ってたらしいの。そして私は昨日の夜のことを話して村のみんなは一安心した様に息を吐いたわ。」
「それで結局そいつらはなんだったの?」
「分からないわ。ただ村の人たちは7人ミサキって言ってたわ。」
こうしてサクラの怪談話が終わったのだった。
1週間休ませて頂きありがとうございました。そしてここまで読んで頂きありがとうございました。
今回の話のネタは7人ミサキという話を元ネタにしています。良かったら調べてみて下さい。
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