123歩目
「嘘でしょ?マグマなんて妖精でも操れないわよ。」
「私も一度土魔法と火魔法を融合させたブレスで偽のマグマを作り出した事があるけど、その時の比じゃないよ。」
ライトとニコラが驚きの声を上げるなか、クラリスは冷静に考えていた。
(確かに熱い……でも、これは本物なの……)
「クラリスさん。もしかして……」
どうやらフロールも違和感がある様だったのでクラリスが幻影解除をした。
「みんな一旦目を閉じて!」
クラリスの言葉にみんな目を閉じる。戦いの最中に目を閉じるのは握手だが、このままでは戦えない。そして狙われてるオオクニヌシにはダークが幻影を作って見せた。長い時間だとバレるがほんの少しならバレないと思っての行動だ。
「解除!」
クラリスが解除するとマグマは消えた。その代わり目の前に鬼蜘蛛の少女がいた。
「お姉さんが1番厄介だから気絶してて。」
「ぐっ……」
鬼蜘蛛の蹴り一つでクラリスは大きく吹き飛んだ。腕でガードはしたもののダメージは深刻だ。
「クラリスさん……?」
「大丈夫、殺してないから。でも気絶はしてるよ。」
フロールはクラリスが何も出来ずに倒れた事に驚いた。
「フロール!気をしっかり持て!あやつがあのくらいでへばるわけなかろう!」
ダークの声にハッとなるフロール。
「大丈夫よ、そんなやわな鍛え方してないもの。」
「そうよ!クラリスがあのくらいで立ち上がれないなんて無いわ!」
「みんな……そうですね!それなら起き上がってくるまで私たちで粘りましょう!」
「ふふふ。お姉さんたちカッコいいね。でも私はやる事はやるよ。だから眠ってて。」
そう言うと鬼蜘蛛は催眠術を使ってくる。
「ぐっ……この音は……」
「ライト!お主の出番じゃ!」
「分かってるわ。解除!」
「へぇー、白いお姉さんはそういうタイプなんだ。」
「ええ、そうですよ。」
「じゃあお姉さんも厄介だから寝ててよ。」
そうして鬼蜘蛛は先程のクラリス同様ライトの懐に飛び込む。
「一度見た技です。防ぎ用はあります。」
ライトは光の壁を貼り攻撃を防いだ。しかし……
「このくらいなら壊せるよ!」
「うぐっ……」
なんと壁ごと蹴りで破壊してしまう。しかしライト大妖精、咄嗟に杖を間に入れて直撃を防いだ。
「杖……折られましたね……」
「へぇー気絶しなかったんだー、やるねー」
「軽口を叩くのもいい加減にせい!」
ダークがついに守りから攻めへと転じた。代わりにウールとニコラが守り入る。
「今度は黒のお姉さんが遊んでくれるの?」
「あぁ、悪ガキに仕置きをしに来てやったわ!」
そうしてダークの攻撃が始まる。黒い魔力のムチで鬼蜘蛛を攻撃していく。
「あはは。当たらないよー」
「貴様、遊んでおるな!」
「うん、お姉さん達は私にとって前座だもん。本気なんて出す必要ないもん。」
「随分な言いようじゃが……わっちも大妖精じゃ、貴様に本気くらい出させねばな!」
すると先程よりスピードを上げたダーク。
「へぇー、まだ早くできるんだー。でも当たらないよー」
「ふっ……当たらなくていいんじゃ。ライト!」
「時間稼ぎありがとう!決めますよ!ライトニングクラウド!」
ダークはライトの詠唱時間を稼いでいたのだ。そして詠唱を終えると地面と空から稲妻が出てくる。
「うげっ……」
ここに来て初めて嫌な顔をする鬼蜘蛛。そうして四方八方からの雷撃が鬼蜘蛛を襲う。
「殺しはせん。クラリスは殺したくないと言ったからのぅ。」
「あなたが引き下がって頂ければもう戦わなくて済みますので。」
「下がらないよー、あとお姉さんたち、隙だらけ!」
「「はっ⁉︎」」
振り向いた時にはもう遅かった。ダークとライトは蹴り飛ばされていた。
そうして2人とも立ち上がる事はなかった。
「これであと2人だねー。オオクニヌシ様、どんな気分ですか?あなたが助けを求めた事で沢山の人が傷つきましたよー?」
「ぐっ……」
「まだ……負けてないよ!」
「そうよ!まだ私たちがいるもの!」
恐怖を感じながらもウールとニコラはオオクニヌシの前に並び立つ。
「はぁぁぁぁ!」
ニコラは体術を仕掛ける。上と見せかけて下、フェイント……今までクラリスやゴウカに教えてもらった事を駆使しながら。でも鬼蜘蛛にはクリーンヒットしない。
(遊ばれてる……)
「遊んでるよーあなたくらいの人なら沢山見てきたから。」
「心を読まれた⁉︎」
「ええ、格下なら簡単に読めますからね。」
そうしてニコラの攻撃の一つにカウンターを合わせた。ニコラの体は激しく吹き飛んだ。残るはウールただ1人。
「あなただけになったね。どうするまだやる?」
「……やるわ!私だけ逃げる訳にはいかないもの!」
「うん、カッコいいわね!だからカッコよく飛ばしてあげる!」
(何か一つ……次に繋げないと!)
ウールは風を作り出す。
「エアーカッター!」
「うっ!」
なんとウールの攻撃は鬼蜘蛛の拳に少しのダメージを与えたのだ!
「へぇー、考えたね。確かにその中に入れは私が攻撃しただけ私にダメージが入るもの。」
そう、ウールはなんと風の壁を作ると同時にエアーカッターを仕込ませたのだ。
「私はあなたにスピードもパワーもないわ。それなら耐えながら攻撃するしかないの。」
「ふぅーん……でも、私も遠隔から攻撃出来ないなんて言ってないわよ。」
すると空から氷の矢が降ってくる。
「きゃあああー!」
風の壁が消えたのを確認すると鬼蜘蛛はいよいよオオクニヌシを殺しにかかろうとする。
「さてと、それじゃあオオクニヌシ様、死んで下さい。」
しかし鬼蜘蛛はある事を思い出す。
(あれ?私は確か5人のお姉さんを倒したわよね。でも最初は6人じゃなかった?)
そうまだフロールがやられていなかったのだ。それに気が付いた時幻影が解かれた。
「フロールありがとう。だいぶあの子の事が分かったわ。」
「じゃな。しかしわっちらをやられさせる理由はあったのか?」
「まぁ、良いじゃない。調子に乗るほど手の内晒してくれるタイプみたいだったし。」
そこにはオオクニヌシを守るクラリス達が立っていた。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は6月22日水曜日の21時です。お楽しみに!
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