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112歩目

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ!

 いつかの雨の日の少女がクラリス達の目の前に現れた。


「あなたは……」

「久しぶりお姉さん達!こんな所で何してるの?」


「それはこっちのセリフよ!こんな所で何してるのよ!」


「えっ、わたし?わたしはねー鬼を燃やして遊んでたの。新しい鬼を作ってたんだけど逃げちゃって追いかけてたらお姉さん達にあったんだよ!」


 リーフの質問に答えた少女はニコニコしながらとんでもないことを言ってきた。


「鬼を作るって……なんでそんな事を……」

「神様達がわたしを殺しに来てるからね。その為にも戦力を作っておかないと。」


(つまり……この子は……)


「あなたが……鬼蜘蛛なのね。」

「うん。そうだよ。あ、言っとくけどお姉さん達じゃわたしに勝てないよ?」


 クラリスが少女の正体を言うと一気に雰囲気が変わり空気がピリピリとしだす。


「そうね。たぶん戦ったら私たちは負けるわね。」

「分かってるんだねー。わたしもお姉さん達とは戦いたくないから良かった。」


「戦いたくないの?」

「うん!わたしは生きて居たいだけだもの。人を殺す事も極力しないよ?まぁ生まれる為に人を食べてたけどね。」


 無垢に笑う少女は確かに化け物だ。しかし、争う姿勢を見せていない。だからこそクラリス達は戸惑ったのだ。


「あなたは生きたいだけなのね。」

「うん、それだけ!でもその邪魔をする神様がいるから殺さないといけないのー」


「分かった。あなたが人々を襲わないのなら私が神様達と話し合いをしてあげるわ。」

「えーいいよー。」


「なんでよ?」


 クラリスの提案を断る鬼蜘蛛にリーフは理由を聞いた。


「だって、お姉さん達が神様達を説得出来るとは思えないもん。それにわたしのせいでお姉さん達が悩むのは嫌だからねー。」


 なんとクラリス達を心配しての事だった。これには流石のクラリス達も何も言えなかった……


「じゃあね。お姉さん達!」


 そう言うと砂嵐が起こって治った頃には鬼蜘蛛の姿は居なくなっていた。


「なんだったの……今の?」

「分からない……ただ私たちじゃ勝てない事は分かったわ……」


 ウールの疑問にかろうじて答えられたクラリスですらこんな感じである。


「とりあえず拠点に戻ろうか。」

「ええ、そうね」


 そうしてクラリス達は拠点に戻るのだった。


「そうか……奴の狙いは私か……」

「そうですね。今のところは……」


 オオクニヌシに先程の話をすると何処か納得していた。


「それでどうすんのよ。」

「どうする事も出来ないわね。とにかく封印するしかない……」


「いや、奴の狙いは私たちの命だ。クラリス殿に頼みはしたが、奴の狙いが私ならばに君たちにわざわざ負担を強いる必要はない。」


 やはり一国を治める神様である。こちらもクラリス達を守ろうとするのだった。


「ですが、彼女はもう私たちですら手がつけられない化け物になってます。対峙した瞬間に分かりました。勝てないと……そして封印も難しいと…」


 クラリスの言葉に場の空気が一気に重くなる。しかし現実はこうなのだ。


「とにかく、妖精王とも話し合わないと。ライト、面会の算段建てて。」

「分かったわ。たぶんダークが気を利かせてくれてるはずよ。」


 ライトは一旦妖精の里へと帰って行った。そしてオオクニヌシも一時神界に帰ることにした。


「では、すまんが。しばらくこの国を頼む。」

「頼むと言われましても……」


 クラリスの歯切れの悪い返事に笑って返すオオクニヌシ。


「あはは。なに、この国にクラリス殿がおられればしばらくは誤魔化せるという事だ。」

「そこまで私強くないですよ?」


「何を言う。戦神を倒しておいて。クラリス殿の力ならば並大抵の妖怪は手を出せません。自信を持っていいぞ。」


「はぁ……」


 クラリスは空返事をする事しか出来なかった。


「クラリスはやけにあの神様に気に入られてるわね。」

「そぉ?」


「無自覚ですか、クラリスさん……」

「明らかにあの神様はクラリスさんを気に入ってたよ」


「クラリスさんは誰にでも好意を持たれますね。」


 4人は嫉妬しつつも呆れるのでした。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新は5月1日日曜日の午後15時です。お楽しみに!


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