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105歩目

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ!

 リーフとサクラは互いに木刀を片手に持っていた。そして立会人はクラリスが務めていた。


「リーフは魔法禁止ね。サクラが使えないからそこはイーブンにしておかないと。」

「分かってるわよ。あくまでも剣のみでの力比べよね。」


「体術は全部使っていいわよ。目潰しとかは無しだけどね。サクラもその辺はダメだからね。」

「分かってるー」


「それじゃあ!試合開始!」


 クラリスの掛け声で2人は一気に間合いを詰めてぶつかった。


「へぇー、このスピードについて来るんだ。」

「この位なら余裕だよ!クラリスより早くないもん。」


「へぇー、クラリスとも戦ったんだー」

「うん、負けたけどね。」


「そう、じゃあ私も負かしてあげるわ!」


 リーフは木刀を振り切った。サクラは上手くそれをいなして後ろに後退した。


「よし、じゃあ私は一段スピードアップするね!」


 そう言うとサクラはさっきよりも早くリーフに突っ込んだ。


「は、はや!」

「この速さはクラリスは余裕で受けてたよ。」


「ぐっ、しかもなかなかに重いじゃない!」

「ほら、どんどんスピード上げてくよ!」


 サクラはどんどんテンポが良くなってリーフは防戦一方になってくる。


「なんじゃリーフは防戦一方じゃな。」

「ええ、でもリーフはまだ本気ではありませんよ。」


「分かっておる。奴の観察眼は凄いからの。」


 ダークとエールはリーフが観察してるのを知っていた。しかしサクラの実力も知ってる2人なので模擬戦をしっかりと見るのだった。


(ぐっ、ほんと重い……でも軌道もスピードもようやく慣れてきたわ。)

(そろそろ慣れて来るわよね……クラリスほどじゃないけど、この子も強い……それだけは分かる。)


 お互いに次の一手を模索しつつ先に動いたのはリーフだった。


「はぁっ!」

「おっと!」


 リーフはサクラの一瞬の隙を突いて蹴りを放った。それをバックステップで躱すサクラ。


「今の避けるの⁉︎」

「ただの山勘よ。運が良かっただけね」


「嘘、今のは読んでた動きよ!」

「さぁ、どっちでしょうね。」


 黒い笑みを浮かべながらサクラは先程よりまた一段と速い速度でリーフに突っ込んだ。だが……


「甘いわよ!」

「うわっ!」


 なんとサクラの突進をそのまま受け止め、更に払ったのだ。


「嘘、そんな力どこに隠してたの?」

「ふふん!切り札は最後まで残しておかないとね」


「へぇー、じゃあ今のがリーフのとっておきなんだー」

「さぁね、言ったじゃない、切り札は最後まで取っておくってね。」


 そして今度はリーフから奇襲をかけて攻めに転じる。先程の鬱憤を晴らす勢いの攻めに今度はサクラが防戦一方となる。


「あの子本当に強いわね。ボタンちゃんはサクラの実力知ってるの?」

「全部は知らないよ。でも強いよ。サクラさんはクラリスさんと真っ向勝負できるんだもん。」


 ニコラとボタンは2人の強さを改めて実感するのだった。


(防御も硬いわね。結構角度つけたりフェイントかけたりしてるのに……)

(凄い少しずつ攻める時の軌道変えて来てる、しかもフェイント上手いな、動き見てないと釣られそうになる……)


 お互いの巧さを知りつつ成長し合う2人をクラリスは楽しそうに見ていた。


(2人とも戦いながら成長してる。お互いに習う物があるからこその修行ね。)


「やるじゃん!正直驚いたわ。」

「私も!そして楽しい!」


「……奇遇ね!私も楽しいわ。エールと模擬戦して以来かも!」

「そうなんだ!じゃあ魔法使える様になったらエールとも手合わせしてもらおっと!」


 2人は笑顔で木刀を振り続け一進一退の攻防が続いた。


「「ハァハァ……」」


 2人の息が上がって一時的に休んでいた。


「ねぇ次の一撃……それで決着つけないサクラ?」

「……良いですよ。私ももうそろそろスタミナの限界なので。」


 そうしてリーフは木刀を構える。サクラは抜刀術の態勢で構えた。


「これで決着。」

「どっちが勝つのかな?」


 フロールとウールは固唾を飲んで見守る。他の5人も瞬きもせず2人に注目した。


(かなりの技が来る……受け止めれるかしら……)

(クラリスの時は出させてすらもらえなかった……2回も負けたくないんだ!絶対勝つ!)


 2人の額には汗が出ていた。そして汗が落ちた時サクラが動いた!


「はあああぁぁぁ!」

「やあああぁぁぁ!」


 お互いの木刀が交じり合う。そして木刀が飛んだ!勝者は……


「そこまで!勝者なし引き分け!」


「「えっ?」」


 引き分けである。納得いかない2人はクラリスに詰め寄る。


「なんで、私の負けじゃないの?」

「私の勝ちじゃないの?」


 そう飛ばされたのはリーフの木刀だった。だがクラリスはサクラの木刀を指差した。


「その木刀でサクラはリーフを倒せる?」


 見ると木刀は折れていた。確かにこれでは勝ちとは言えないのだった。


「なんか……」

「納得いかない……」


「まぁそう言うな。これから毎日戦える。それで勝敗つけて行くといい。」

「そうね。2人とも良い戦いだったよ。」


 見ていた6人も駆け寄ってくる。そしてリーフとサクラは笑い出して握手をした。


「それならまた明日!明日は勝つから!」

「私も!次は受け切って見せる!」


 2人にとってとても価値のある模擬戦になるのだった。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新は4月16日土曜日の15時です。お楽しみに!


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