103歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
「そろそろ行かないと……」
リーフは立ち上がると階段を登り出した。そして登り終えるとすぐ近くの襖が少し開いていたのでそこを覗いた。
「あ、居た。って何よこれ……」
「見ての通りよ。」
そこには人が居た。しかしもう亡くなっていた。背中が割れており何かがそこから出た様だった。
「ここにはもう何もいないわ。後は残党を狩っておしまいみたいよ。」
「この方は……最後何を考えていたのでしょうね……」
「分からないわね。自分の意思とは関係なく自分の家来が死んで行ったんでしょうね。」
「酷い事をしたもんね……一応浄化してあげとく?」
「もうしてあげたわ。寄生されていたから魂もほとんど無かったけど……」
もう少し早く来ていれば……そう思うクラリスであった。
クラリス達はお城の最上階からダーク達のいる場所まで飛んで行った。高い所からなら発見は簡単だったのだ。
「そちらも片付いた様じゃな。」
「ええ、胸糞悪い終わり方だったけどね。」
「うむ、その話はおいおい聞こう。じゃがまずはお主にやって貰いたい事がある。」
「浄化?」
「そうじゃ。死人を利用して鬼を作り出していたみたいじゃ。弔ってやってくれんか?」
「そっちもなんだ……」
「そっちも、という事はお主達の方でもあった様じゃな。」
クラリスの言葉にダークも分かったらしい同じように死体を利用していたという事に……
クラリスとリーフは手分けして陣を描いて行く。そして夜明け前に描き上げた。
「いくよリーフ。」
「ええ、いいわよクラリス!」
2人が同時に魔法を発動させると太い光の柱が出てくる。それは城全体を包む大きさである。
「迷える魂よ、この光をたどり登って行け。」
「さすれば天界の扉が開かれている。迷う事なかれ。」
そうして徐々に光は消えて行き、完全に消えた時、丁度朝日が昇るのであった。
「じゃあ帰りましょう。街の人達が目を覚ます前に。」
「そうじゃな。わっちらが城を壊滅させた首謀者になってはたまらんからの。」
そうしてクラリス達は夜明けと共にフロール達の待つチヨの家に帰るのであった。
しかしクラリス達は知らなかったのだ。もうこの城下町の住人は全て死んでいた事に……昨日クラリス達が殺していた鬼達が町人だった事に……夜明けと共にダーク達が眠らせていた役人達も朝日と共に鬼へと戻りその光で絶命した。これで本当にこの城下町からは人も鬼もいなくなったのであった。そう、本当はもうここは鬼達の街となっていたのであった。
「ただいま。」
「おかえりなさい、皆さん!」
昼になる少し前にクラリス達はチヨの家に戻ってきていた。さすがに疲れたので少し仮眠を取っていたのだ。
「少し寝てから戻ったの。」
「そうだったんですね。チヨさん達は家の奥にいます。」
フロールに言われて奥の部屋へと向かう。するとそこにはチヨとチヨの父、母が座っていた。
「戻りました。」
クラリスが部屋を開けるとクラリスの顔を見た3人は安堵の表情を浮かべた。
「ご無事で何よりです。」
「良かったわ。」
「お姉さん達おかえり!」
両親の2人は言葉を絞り出す様に、チヨはニコニコと笑っていた。
「はい、なんとか無事に帰る事が出来ました。」
「それで城の方はどうでしたか……」
クラリスとダークが残って話を始めた。チヨにはリーフ達が連れて行ってもらった。流石に子供には話せない内容だったからだ。
「まず城の方は鬼の巣窟でした。」
「そして殿様の方じゃが、亡くなられていた。」
「……やっぱりそうでしたか……」
「やっぱり……というと?」
「ええ、殿様が急に変わったのでは、と思うくらいにいきなり税を引き上げられ、我ら農民の命も軽くなりました。なので皆も不信感を抱いておりました。」
「行動は起こさなかったのてすか?」
「起こした者たちもおりました。しかし、皆殺されてしまい恐怖で支配されたのです。」
「なるほどのぅ。」
少し考えた後、ダークは話出した。
「今回はあなた方は無事じゃった。ですが次も安全とは限らん。じゃからもう少し街に近いところに引っ越す事は考えませんか?」
虚を突かれた様な反応の夫妻。だが直ぐに真面目な顔に戻って答えてくれた。
「すみませんがそれは出来ません、ここは代々受け継がれてきました。なのでこの土地を離れる事はありません。」
「そうか、それでは仕方ないの、しかし充分に気をつけよ。この辺りにも少なからず鬼がおるからの。」
「は、はい。」
こうしてこの話は終わった。そして再度お礼言ってニコラとウールが待つ拠点に戻るのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は4月10日日曜日の15時です。お楽しみに。
宜しければブックマークと評価、またはいいねをよろしくお願いします。




