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99歩目

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ!

 クラリス達は城の中に入っていた。なかなか入る場所が無かったので少し壁を破壊して侵入したのだった。


「ねぇ……人の気配がしないんだけど……」

「リーフも気づいた。さっきから耳を澄ましているけど足跡すら聞こえないのよ」


「私も耳を澄ましているんですが。下からの足音しか聞こえないんですよね。」


 エールですら足音が聞こえない事に違和感を覚えるクラリスとリーフ。そこへいきなり火の玉が現れた。


「えっ?火の玉?」

「へぇー、これがー。初めて見たわ。」


「ワタシも初めて見ました。これって幽霊が近くにいる時に出るんですよね?」


「つまり、この近くに幽霊がいるというわけね……」

「……私たちここに来てからまだ誰とも会ってなくない?」


「つまり……?」

「もしかして幽霊屋敷?」

「いや、この場合、幽霊城(ゆうれいじょう)……」


 急に怖くなる3人であったが、そんなものを吹き飛ばすレベルの事が起きた。


「人間の娘だ!」

「人が喰える!」

「1匹ずつな!」


 3匹の鬼だった。3人は先ほどの恐怖は無くなり鬼を殴り倒した。


「なるほどね……鬼が人を食っていたわけね。」

「そしてその鬼が人を操っていた訳か……」


「たぶん鬼が人を選んでたんでしょう。だからクズの様な人達が集まってしまい村で狩の様なことをしてたのかもしれませんね。」


 幽霊は怖くても、鬼は怖くない3人であった。3人は殴り倒して気絶した鬼にトドメを刺して先へと進んだ。


「人を殺してコイツら何をする気なのかしらね?」

「さぁ?親玉に聞いてみないと分からないわ。」


「……何か来ます!」


 エールの言葉に2人は急ブレーキをかけて止まる。すると何やら鉄が擦れる様な音が聞こえた。


「な、何この音?」


 クラリス達が動揺していると曲がり角から鎧を着て刀を握る人型の何かが現れた。


「コイツ……鬼じゃない、でも人でもない……」

「間違いなく、今まで相手した事のない敵ね。」


 間合いを取って構える3人。すると鎧を着た化け物は不気味な音を立てて何かを話し出した。


「コ……コロシテ……」


 そう言うと、次の瞬間、相手は刀を全力で振り抜いた。クラリス達はそれを交わした……はずだった。


「な、何よこれ⁉︎」

「かまいたちの類ですかね?恐らく物凄い切り込みで風の刃を作って離れてる敵に攻撃してるんでしょう。」


「エールにはあの技の仕組みが分かるの?」

「ええ、ですので2人は先へ進んで下さい。ここは私が引き受けます。」


「大丈夫なの?相手はまだ未知の力を持ってるかもよ?」

「安心してください。私だって妖精の里で強くなりましたから!」


 ニッコリ笑ってクラリス達を安心させようとするエール。ここで任せないのはエールに失礼。そう考えた2人は任せる事にした。


「じゃあお願いするわ。」


 クラリスはそう言うと前方に向かって走り出す。そして相手も同様に突っ込んでくる。しかしそこへエールが飛び込みクラリスとリーフを先へと行かせた。


「あなたの相手はワタシです。」

「コロ……シテ……コロシ……テ……」


「ええ、殺してあげます。あなたに取り憑いたその鎧ごと全て!」


 エールには気づいていた。鎧を着ているのは人である事をそしてその取り憑かれた人はもう助からない事も。そしてそれはクラリスにも出来ない事だと……


「まずは、これでどうですか!」


 エールは口いっぱいに火炎を溜めて吐き出した。廊下いっぱいに広がる炎が鎧武者へと襲いかかる。しかし鎧武者は火炎を切り裂いたのだった。


「このくらいは予想してました。なのでこれならどうですか!」


 今度は空中に氷の矢を作って投射する。しかしこれも次々と切り落とされていく。


「やりますね……ではこんなのはいかがですか?」


 すると廊下がいきなり灼熱の空間へと変わってしまうのだった。


「ここでならどんなものも溶けてしまいます。鎧事消滅して下さい。」


「ヌアアーー‼︎‼︎コロシテーー‼︎‼︎」


 何かが吹っ切れたのか鎧武者はいきなりエールへと突っ込んでくる。


「うわっと!この空間を維持しながら戦うのはきついですね……でも、鎧は溶け始めてる。」


 鎧が徐々に溶け始めてるのをエールは見逃していなかった。この空間は1500度まで上がる仕様にしている。そこが今のエールの限界点だからだ。


「溶け切るまで耐えればワタシの勝ち、溶ける前にあなたがワタシを殺せばあなたの勝ちです。」


 ここからは我慢比べになった。エールは鎧武者の攻撃を避けながら火炎系の魔法で溶けるスピードを早めていた。一方鎧武者の方は鎧が溶ける度に体が軽くなっていきスピードが速くなっていた。そしてついに……


ガシャン……


 鎧を繋ぐ鉄紐が切れて鎧が地面に落ちた。すると仮面も落ちて顔が露わとなる。中身はミイラとなっていた人だった。


「ありがとう……」


 それだけ言うとパタンと倒れて溶けてしまうのだった。


「ありがとう……ですか……」


 独り言を呟くエールは何処か悲しい表情だった。


「初めてです。殺した相手にお礼を言われたのは……」


 空間を元に戻すとエールはその場に座り込んで休むのであった。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新は4月2日土曜日の15時です。お楽しみに


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