失踪
その朝、目が覚めた時、いつもの朝とは違うことに気が付いた。
瞼を擦る。いや、擦ろう、とした。
その自分の腕が、妙に短い。
手の感触もおかしい。
瞼にさっぱり届かない。
視界に映る世界のサイズもおかしい。
ふと、窓ガラスに映る自分の姿が目に入った。
そこにあったのは、毛玉だった。
け・さ・ら・ん ぱ・さ・ら・ん
なぜだ?
なぜこの姿に?
毒虫になっているよりはマシなのか?
そりゃ、毎日、毎日、ブラックバイトに明け暮れて。
目覚めた時に、どっかの金持ちの飼ってる猫にでもなっていたい! とかは思ったりしたよ。
毛に覆われてるところだけ一緒って……。
け・さ・ら・ん ぱ・さ・ら・ん
しかし、どうやったら、自分の思った通りに動けるのか?
どうにも、力が入らない。
どちらが上で、どちらが右か?
正面はどちらで、どちらへ向いているのか?
自分の叫びは音にならず。
自分の存在は誰かの目に映らず。
け・さ・ら・ん ぱ・さ・ら・ん
声が聞こえた。
知っている声だった。
「もう1年になるのね。時間が過ぎるのが速くなった気がするわ。」
「あぁ、この1年は特に速かったな。」
「いったい、どこで何をしてるのかしら?」
「分からん。あいつは、何を考えているのか、さっぱり分からない子だった。」
アレルギー体質のせいで、実際には、あまりお近付きになれない、ふわもふ……。
ついつい、ネット検索でも、ふわもふ要素を求めて……。
ケサランパサラン
東北地方にいるらしいんですが……。
……東北。
学生時代に貧乏旅行で夜行列車を乗り継いで北海道旅行した際、通過いたしました。
日本海っていう名の列車があったんだよ。
2012年3月16日で終了になっちゃったけど。
あ、でも青森駅で、はまなす(これも、2016年3月26日で終了)に乗り換えだったから、一応、東北の地に降り立ってはいる(のか?)。
駅から出てないけど……。
ケサランパサラン、出会える日は来るのだろうか?




