本当に頼むよ
読んで頂いている方々、ありがとうございます。
洞窟の最奥に有った居城は歪で禍々しく、如何にも悪の巣窟だと言わんばかりに、その存在を誇示し聳え建っていた。
俺は近所の公園を歩くが如く、ゆっくりした歩幅で城の入口を目指し進んだ。
洞窟を抜け進む足下は綺麗な石畳が引かれ、両脇には等間隔で200体の悪魔を模した石像が並んでいた。
そんな石像を尻目に、ゆっくり進む俺。
当然、俺に気付く化物共。
「珍しいな、こんな場所に人間が入り込むとは。」
何故、魔物は人を見たら弱い存在だと思うのか?
洞窟入口の仲間の化物達は?と疑問に気がつかないのが残念だ。
この辺を、もっと小学新入生に教えるベテラン教師の様に徹底的に教える必要があるな。
「やあ!御疲れさん。七竜魔神王は居るかい?
御主人様が会いにに来たと伝えてください。」
「はあ?お前はバカ!御方に人の知り合いはいねえ!況してや自分を主人と言う人間等を通すと思うか?」
はぁ‥ヤマタよ‥ほんとに頼むよ‥
とても残念な気持ちの俺。
「俺は、君達を本当は殺したく無いんだよ。第一ね、俺は人間だよ!何て一言も口にしてないのになあ~」
3メートル程の岩石人間の門番が、少し慌てている。
「これ以上、話しをするのは無駄だな。最後にもう一度だけ聞く。七竜魔神王に会わせろ。」
そんな問答をしている後ろで、石像の悪魔達が実体化し、俺を囲う様にに逃げ道を塞いで居るのが、霊力の探知網で手に取るように見えていた。
その様を見て門番の岩石人間は、落ち着きを取り戻し、
「御方に聞く迄もねえ!小賢しい人間が!」
「選択は成されたな‥哀れな者共よ‥
(シュッ!)」
「バカか?
人間‥俺はェ‥ッ‥(ズルッ‥)ドサ!」
霊力を薄い円盤状にして、首に投げ飛ばした俺。
「次はどいつ‥」
「騒々しい!何事だ!」
おせーよ!全く‥ヤット御本人の登場か‥
生暖かい目で宜しくお願いします。




