家の奴も
読んで頂いている方々ありがとう御座います。
<ハンマーeyes>
「故郷の町まで、後少しだったのに‥つくづく運に見放されたようだな!畜生!」
私は、サイクロプッスと戦いの最中独り言を口にして、「グゥッツッ!」血が出るほど唇を噛み締め、死を覚し最後の力を振り絞り叫んだ!
「闘気開放!」
僅かに残っていた体力と魔法を合わせ、湯気が立ち上る程の力を全身に纏い戦いに備えた。
「何処からでも来い!」
死を目前にした時、それは唐突に私の耳に届いてきた。
「おい!1つ目入道!俺が相手だ!」
そう叫んだ若い男にサイクロップスが向きを変え男を凝視した。
彼は左手で指鉄砲の構えをしたら、サイクロップスが突然痙攣したかと思ったら、
「――ドッタ――ン!――」と音を立て眠る様に倒れたのだ。
次に男はサイクロップスに近寄ると、右手の親指と人差し指の先を繋げて丸を作り口を近ずけ、タコぐちで何やら「「フゥ~フゥ~」」と始め、それが済んだと思ったら左右の手の先を頭の上で付けて、がに股になり屈伸しなが、体の前で上げ下げして丸を作っている。
「少しアレな奴か?何かのマジナイか?」
男が二、三度屈伸しながら丸の動作繰り返したら、サイクロップが宙に浮き出し、あれよあれよと言う間に森へ消えていったのだ。
「少しどころか!かなりのアレな奴だ!」
若い男が何か呟いた
「フゥ~良しっと!」
私は一連の行動に驚いていると、彼が近寄って来たので礼を口にした。
「有り難う‥御仁‥助かった。」
「そのまま動かないで、体を治癒します。」
そう彼が言った途端、優しい風が私の体を癒して行くのが分かった。
気力体力魔力が戻たのが分かるが‥不思議だ‥治癒魔法を行使した様子は無かった‥ん?‥
「ん?あれ?戦で負った左膝も痛く無い‥はぁ?」
私は、立ち上るとその場で、数回ジャンプをしたり屈伸をしてみた。
「信じられん‥こいつは‥軌跡だ‥」
戦を終え、部下に治療魔法を掛けて貰ったり、その後医者にも見てもらったが完治しなかった左膝。
私は嬉しさの余りか知らぬ間に涙をながしていた。
私は彼に、
「御仁、いえ貴方様は神様ですか?」
「いえ、神などおこがましいです。私は霊力を操り霊獣を友だつ霊獣使いのタケルで。元王国副戦士長ハンマー・カチントさん」
私の名を‥全てご存知か‥私の感に狂いが無ければ‥神の系列人だ‥
そんな私をよそに商人親子と話しをした後、岩影から二人の女性を連れて来た。
「こちらは、私と同じ霊獣使いのテラさん。」
同じ霊獣使い?系列人?‥何と美しい女性だ‥長い黒髪、切れ長の眉。透き通る唇‥‥
「そしてコッチがテラさんの妹分のスタッピさん」
「今はハンターギルドに席を置くハンター・カチントだ。宜しく。」
頭を軽く下げ挨拶すると、テラ嬢と目が相い静かに微笑みを返して下さった‥
流行り病で連れ合いと子を無くした私‥‥
‥もう二度と恋心など無縁と思っていたが‥
‥そろそろ家の奴も許してくれるかな‥
その後、私とテラ嬢達は商人親子の計らいで馬車の護衛を兼ねて一緒にモホトの町を目指した。
<タケルeyes>
前の時と比べてトンカチのおっちゃんて、こんなに表情明るかったっけ?
‥何か変‥彼女テラの存在が関係しているのは間違いない‥右目の幻魔眼も少し霞が取れてきたし‥今日のイベントは大体終了したし‥夜にでもゆっくりテラさんと話しをしょう‥
生暖かい目で宜しくお願いします。