ドゴッ
読んで頂いている方々、ありがとう御座います。
暫く待つと、ガタイの良い1人の男が受付嬢と降りてきて俺の前に来ると、
「私は、支部長のライバーだ。悪いが、もう一度スクロールに手を置いてくるか?」
言われるがまま手を置き、浮き上がる文字をみて、
「間違いないな。マイナ君、試験場に彼等を頼む。」
マイナと言わた受付嬢に案内される道すがら、俺は聞いてみた。
「これって‥どう言う事でしょうか?」
「さぁ‥私にも、ちんぷんかんぷんで。支部長には考えがあるんでしょうけど‥。」
体育館程の広さの二階建で、二階には踊り場がぐるりと回りを囲んでいる。上下前後左右に大き魔法陣が描かれている。
二階の踊り場からライバーが顔を出し、
「今から、実技試験を行う!特殊な魔法陣があるから死にはせん!存分に力を発揮してくれ!」
困惑する俺達に、後ろに下がったマイナさんが、
「時々あるんです、こうゆうの。」
「何をやれば‥」
「見てれば分かりますよ。」
そんな会話をしていると、奥から魔法使いらしい男が現れ、杖を持ちながら何か詠唱を初めた。
魔法陣が中空に出現し、その下から鬼の様な角を二本生やした強そうな魔物が現れた。
「うそ‥あれはオーガケンタウロス!ハンターのシルバー以上じゃなければ‥‥」
そんな声が後ろから聞こえたが、強そうと思っただけで、俺達より全然たいした事は無いと感じだった。
横の霊人達がじゃん拳をし出し、
「じゃいけんポン!ポン!ポン!ポン‥やほ~!」
どうやら、コンが勝ったようだ。
コンが中央に歩み寄ると、二階からライバーの声が響き渡った。
「始め!」
鬼馬が雄叫びを上げると、あらぬ方に走りだし、1人シャドーボクシングを始めた。コンは笑いながらその様子を楽しんでいる
(コンの思考操作だ。)
暫くすると、感覚を取り戻した鬼馬がコンを見付けると走り寄り、後ろ足でコンを蹴り上げた。
と思ったら、その姿は無く鬼馬の前面に現れて、コンがジャンプと共に鬼馬の額にデコピンをお見舞し、鬼馬が豪快にぶっ飛び消えてしまった。
「そこまで!」
澄ました顔のコンとは真逆の召喚主の男が笑えた。後ろからは、
「えっ‥‥?」の一言を耳にする。
「次にタケル・ロックス!君の実力を見せてくれ!」
支部長の声と共に、魔法使いが詠唱を始めた。
現れたのは‥‥例えるなら鬼阿修羅。
「まじ?!やり過ぎよ!トレジャーのゴールでも難しい、サンメンオーガ!を‥‥」
召喚主の男はシテヤッタリ顔をしていて、妙に鼻に付く気にくわない感じの奴だ。
俺は頭を掻きながら、前に出ると、
「始め!」
の合図で3面鬼が突進し、手に持つ金棒で殴り付けたのだ!だが、殴られた俺は、蚊程痛くなく微動だにせず、だだ立っているだけだ。
立っているだけで何もして無い俺に、焦った3面鬼は金棒でタコ殴りしてきた。肩腰腹太股…痛くも痒くも無い俺。たださすがに鬱陶しさを感じ、右手で軽く握りこぶしを作り前に突き出し、3面鬼の腹に当てたら、
(((((ドゴッーー!!!!)))))
と、轟音が鳴り3面鬼の土手って腹に風穴が空き倒れながら消えてしまった。
「はぁ?」
驚き過ぎて、俺は間抜けな自分の声に、冷静さを取り戻した。
ちょこっとお腹に触った程度なのに‥‥脆い。
と言うか、腕試しにもならなかった。
「そこまで!」
支部長の声で試験は終わり、前を見ると魔法使いの召喚主が、膝を付き項垂れ、後ろを見ると受付嬢のマイナさんが、口を開け固まっていた。
「マイナ君、彼等を私の部屋まで案内を頼む!」
二階からの呼び声に我を取り戻したマイナさんが、
「こっっ・ん‥ちららに、どどう~ぞっ」
と畏まりながら、部屋へ案内された。
生暖か目で宜しくお願いします。