表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
徒然百讀録  作者: アレセイア
紹介
7/14

土橋真二郎「殺戮ゲームの館」

 土橋真二郎「殺戮ゲームの館」


 最初は興味本位だった。

 オカルトサークルに所属する十一名は、集団自殺に使われたという廃墟に興味を示し、そこに辿り着く。

 だが、気が付けば、彼らは密室の中に閉じ込められていた。

 そこで待ち受けていたのは、一方的に提示される不可解な〈ルール〉

 それに従わなければ、そして従っても毎晩一人ずつ殺されていく悪夢。

 この中に一人、殺人犯がいる。それに気づいた彼らは、疑心と狂気の渦に呑みこまれていく――。


 人狼ゲームを題材にした、密室サスペンス。


 人狼ゲーム。それは、一種の犯人当てクイズである。

 ちなみに、正式名称は「「Are You a Werewolf?」、日本語訳で「汝は人狼なりや?」とされる。

 ヨーロッパで遊戯されていた伝統的なゲームを題材にし、ソビエト連邦のモスクア大学で作られたゲーム「Mafia」がヨーロッパで流行。20世紀、欧州でさまざまなローカルルールを交えて普及する。それが21世紀のインターネットの普及に従い、世界中に発信された。(日本でいうところの大富豪のような普及の仕方である)

 アメリカのゲームメーカーLooney Labs.が発売したものが国際的に普及。日本では派生したものの一つ「タブラの狼」が主に普及しているが、他にも「ミラーホロウの人狼」「究極の人狼」などローカルルールを取り入れ、尚且つ、研究、精錬されたものが巷では普及している。


 閑話休題。


 人狼ゲームは21世紀初頭、インターネットの普及に際して、日本でも広く普及し、小説やマンガでも取り上げられているが、この小説はそれを題材にしたものと言える。

 ルールは単純なものを使用し、誰もが理解しやすい。だが、その分、狂気や疑心、混乱は凄まじい。

 登場人物が抱く心理の描写は、その事態に心から焦り、惑い、苦しんでいるのが伝わってくる、まさに圧倒的な表現能力だ。土橋真二郎氏のデビュー作「扉の外」でも感じられる、描写能力だ。

 読んでいくうちに、まるで文字の密室に囚われている気分にさえなってくる。

 この作品はそれを通しながら、友人たちの絆も試されていく。彼らのエピソードや、性格、心の在り方――小出しにしながら、徐々に読者たちは彼らに惹かれていく。

 分かりやすいシステムで、ここまで書くか、と一歩下がって見てみればそういう評価もできるだろう。


 土橋真二郎氏の描く世界は、圧巻。それの一端を知ることのできる作品だ。

 人狼ゲームや心理描写を好む作者、読者の方々は是非読むべき作品である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ