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はじめに
名作には、売れる理由がある。
それはどの書店員が実感している事実だ。古今東西、売れている、あるいは読まれている書籍には何かしらの売れる理由が存在する。
たとえば単純な面白さ、たとえば人物関係の複雑さ、たとえば、幻想的な描写技術。
本にはそれぞれの魅力があり、それを生み出した作者の持ち味となっている。いわば、彼らの技術だ。
本には、魅力と技術があふれている。
この書録は、この世にあふれる本たちを取り上げてまとめていくものである。
およそ百の本を読み、八百字前後の要約にまとめて掲載していく。これは、筆者の母校にあったカリキュラム『百讀』を真似てのものである。故に、この題を『百讀』と冠したい。
ジャンルを問わず、今を生きる人たちへ伝える魅力の指針になるように、または今後文章を書いていく人たちの技術を知る指針になるように。
純文学、ライトノベル、ノベルゲーム……多方面を網羅しながら、徒然なるままに作品を紹介しよう。
この書によって、貴方の傍に、幸せな文章の魔法が宿るよう祈っている。